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糖度5*忘年会には危険がいっぱい!?
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「ふ、二股なんてしないって言うか、してないけど…。日下部さんの事を考えると最近…心がザワザワする…」
慌てながら否定するが、日下部さんの下りはだんだんと小さい声になっていった。
綾美は一瞬、目を丸くした様にみえたけれど、優しく微笑んでカクテルを私に手渡す。
「はい、甘いカクテルだから、ゆかりも飲めるよ」
「ありがと…」
日下部さんへの気持ちに対する綾美からの返事はなかった。
綾美なりに私の微妙な気持ちを察してくれたのだと思う。
これ以上、詮索しないのも綾美の思いやりだ。
「二人はここに居たんですね」
「あ、高橋君。どうしたの?パシリ?」
二人でカクテルを飲んでいたら、後ろから高橋さんがトレーに沢山のグラスを持ってバーカウンターへと現れた。
「うちの部長達、飲みすぎですよ。通りかかる度に呼び止められて…。日下部さんまで混ざってるし…どうにかして下さい!!」
総務部の上司におまけの日下部さん、その組み合わせは高橋さんにとって最強らしく、断れずに弱気になっている様だ。
「焼酎のボトル貰えないか聞いてみたら?オジサン達に構ってたら自分が楽しめないから、ボトル置いてきて勝手にやれって言えばいいのに!」
対して綾美は強気な態度で高橋さんに上から目線で注意する。
「いや、それは…」
「高橋さんには出来ないんじゃないかな…。ほら、上司だし。綾美なら出来そうな気もするけど…」
私達はオドオドしていると、綾美が焼酎のボトル、氷の入ったアイスペール、水のペットボトルを手に入れてオジサン達(オジサンと言っても、うちの会社は比較的若い社員が多いから40代)の所に向かう。
「お疲れ様です!焼酎です」
席に着くなりドンッと勢い良く焼酎のボトルを置く綾美、恐る恐る氷と水を置く高橋さん。
「綾美ちゃん、お疲れ様ね」
「一緒に飲もうよ~」
「綾美ちゃん、作ってくれる?」
「作りません!」
綾美は華があり、目立つから社内で知らない人は居ないと思う。
見る限り、この人達、クジ引きで決めた席順とか関係なく集まって座ってるから、この席の人達は可愛そうだな・・・と思いながら、少し離れている場所にいると、
「綾美ちゃん、怖いなぁ。ゆりちゃん隠れてないでこっちおいで!」
「綾美ちゃんより秋葉ちゃんの方が優しいよなぁ。俺、好みなんだよなぁ」
と手招きされた。
「ゆりちゃんじゃなくて、ゆかりね。名前間違えたから駄目です!それに私は彼氏にしか優しくしないって決めてるんです!」
売り言葉に買い言葉で綾美が受け答えしていくと、
「誰なんだ、そいつは。社内の奴なの?」
「ここに居るなら連れておいで。品定めするから」
と総務部の上司達が騒ぎ立てる。
話を聞いていた高橋さんは顔が真っ赤になっている。
クリスマスに食事してから"お試し期間"として仮の彼氏彼女の関係だ、と綾美が言っていた。
「居るじゃないですか、そこに!」
綾美は隠す事はせずに指を指して答えたのだが、上司達は酔っていて指の指す方向など見てはいない。
「まさか、日下部か?」
「日下部なら安泰じゃない。合格!」
上司達が盛り上がる中、キッパリと
「違います、高橋君です」
と綾美は言った。
一瞬、静かになった上司達だが、再び歓声が上がる。
「高橋、俺達の綾美ちゃんに何やってんだよ!」
「お前は来年からは残業倍増だ」
総務部のマスコット的存在な高橋さんは皆からいじられている。
そんな場面を見ながら私も笑っていたら、日下部さんと目が合った。
表情が固まってしまい、目線をずらした。
何やってるんだろう、私。
まるで意識してるみたいな行為。
普通にしてた方が私も日下部さんも楽に居られるのに───・・・・・・
「皆さん、お疲れ様です。こちらのテーブルは盛り上がっていて楽しそうね」
「お、お疲れ様です」
「社長、お疲れ様です」
彩美と高橋さんの話題で盛り上がっていたら、社長が秘書と一緒に巡回に来た。
社長が来たとなると、上司達も一瞬で目が覚めたかの様に一同起立して挨拶をする。
年に一度の無礼講なアピールタイムに上司達は必死である。
社長が来たことにより、違う場所に行くチャンスを逃してしまい、上司達の話に愛想笑いを浮かべる。
一人一人の話を聞いていき、残りは綾美と私になった。
「企画開発部の秋葉さんと杉野さんね。杉野さんの分析力は素晴らしいと聞いているわ。これからも情報の収集と分析に力を入れて、良い商品を開発して行きましょうね」
企画開発部には、マーケットリサーチが不可欠で営業マンと一緒に店舗に出向く事もあれば、今後の流行などの情報収集、分析力が欠かせない。
既存の商品を改良するよりも、新製品を開発する方が遥かに大変でより高精度な収集力、分析力が必要になる為、綾美は即戦力なのだ。
「ありがとうございます。これからも頑張ります!」
お礼を伝えて社長と握手をする綾美。
「秋葉さん、お疲れ様です。今度のウェディング参入は秋葉さんのデザインにかかっていると言っても二言はないわ。大好きなのよ、秋葉さんのデザイン。私の独断で選ばせて貰ったの。ウェディング関係の仕上がりがとても楽しみ。これからもよろしくね」
慌てながら否定するが、日下部さんの下りはだんだんと小さい声になっていった。
綾美は一瞬、目を丸くした様にみえたけれど、優しく微笑んでカクテルを私に手渡す。
「はい、甘いカクテルだから、ゆかりも飲めるよ」
「ありがと…」
日下部さんへの気持ちに対する綾美からの返事はなかった。
綾美なりに私の微妙な気持ちを察してくれたのだと思う。
これ以上、詮索しないのも綾美の思いやりだ。
「二人はここに居たんですね」
「あ、高橋君。どうしたの?パシリ?」
二人でカクテルを飲んでいたら、後ろから高橋さんがトレーに沢山のグラスを持ってバーカウンターへと現れた。
「うちの部長達、飲みすぎですよ。通りかかる度に呼び止められて…。日下部さんまで混ざってるし…どうにかして下さい!!」
総務部の上司におまけの日下部さん、その組み合わせは高橋さんにとって最強らしく、断れずに弱気になっている様だ。
「焼酎のボトル貰えないか聞いてみたら?オジサン達に構ってたら自分が楽しめないから、ボトル置いてきて勝手にやれって言えばいいのに!」
対して綾美は強気な態度で高橋さんに上から目線で注意する。
「いや、それは…」
「高橋さんには出来ないんじゃないかな…。ほら、上司だし。綾美なら出来そうな気もするけど…」
私達はオドオドしていると、綾美が焼酎のボトル、氷の入ったアイスペール、水のペットボトルを手に入れてオジサン達(オジサンと言っても、うちの会社は比較的若い社員が多いから40代)の所に向かう。
「お疲れ様です!焼酎です」
席に着くなりドンッと勢い良く焼酎のボトルを置く綾美、恐る恐る氷と水を置く高橋さん。
「綾美ちゃん、お疲れ様ね」
「一緒に飲もうよ~」
「綾美ちゃん、作ってくれる?」
「作りません!」
綾美は華があり、目立つから社内で知らない人は居ないと思う。
見る限り、この人達、クジ引きで決めた席順とか関係なく集まって座ってるから、この席の人達は可愛そうだな・・・と思いながら、少し離れている場所にいると、
「綾美ちゃん、怖いなぁ。ゆりちゃん隠れてないでこっちおいで!」
「綾美ちゃんより秋葉ちゃんの方が優しいよなぁ。俺、好みなんだよなぁ」
と手招きされた。
「ゆりちゃんじゃなくて、ゆかりね。名前間違えたから駄目です!それに私は彼氏にしか優しくしないって決めてるんです!」
売り言葉に買い言葉で綾美が受け答えしていくと、
「誰なんだ、そいつは。社内の奴なの?」
「ここに居るなら連れておいで。品定めするから」
と総務部の上司達が騒ぎ立てる。
話を聞いていた高橋さんは顔が真っ赤になっている。
クリスマスに食事してから"お試し期間"として仮の彼氏彼女の関係だ、と綾美が言っていた。
「居るじゃないですか、そこに!」
綾美は隠す事はせずに指を指して答えたのだが、上司達は酔っていて指の指す方向など見てはいない。
「まさか、日下部か?」
「日下部なら安泰じゃない。合格!」
上司達が盛り上がる中、キッパリと
「違います、高橋君です」
と綾美は言った。
一瞬、静かになった上司達だが、再び歓声が上がる。
「高橋、俺達の綾美ちゃんに何やってんだよ!」
「お前は来年からは残業倍増だ」
総務部のマスコット的存在な高橋さんは皆からいじられている。
そんな場面を見ながら私も笑っていたら、日下部さんと目が合った。
表情が固まってしまい、目線をずらした。
何やってるんだろう、私。
まるで意識してるみたいな行為。
普通にしてた方が私も日下部さんも楽に居られるのに───・・・・・・
「皆さん、お疲れ様です。こちらのテーブルは盛り上がっていて楽しそうね」
「お、お疲れ様です」
「社長、お疲れ様です」
彩美と高橋さんの話題で盛り上がっていたら、社長が秘書と一緒に巡回に来た。
社長が来たとなると、上司達も一瞬で目が覚めたかの様に一同起立して挨拶をする。
年に一度の無礼講なアピールタイムに上司達は必死である。
社長が来たことにより、違う場所に行くチャンスを逃してしまい、上司達の話に愛想笑いを浮かべる。
一人一人の話を聞いていき、残りは綾美と私になった。
「企画開発部の秋葉さんと杉野さんね。杉野さんの分析力は素晴らしいと聞いているわ。これからも情報の収集と分析に力を入れて、良い商品を開発して行きましょうね」
企画開発部には、マーケットリサーチが不可欠で営業マンと一緒に店舗に出向く事もあれば、今後の流行などの情報収集、分析力が欠かせない。
既存の商品を改良するよりも、新製品を開発する方が遥かに大変でより高精度な収集力、分析力が必要になる為、綾美は即戦力なのだ。
「ありがとうございます。これからも頑張ります!」
お礼を伝えて社長と握手をする綾美。
「秋葉さん、お疲れ様です。今度のウェディング参入は秋葉さんのデザインにかかっていると言っても二言はないわ。大好きなのよ、秋葉さんのデザイン。私の独断で選ばせて貰ったの。ウェディング関係の仕上がりがとても楽しみ。これからもよろしくね」
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