上 下
20 / 73
糖度5*忘年会には危険がいっぱい!?

しおりを挟む
*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚

忘年会の会場は、来春から展開するブライダル企画に前向きなホテルのブッフェ。

今日は忘年会なので、参加不参加関係なくノー残業デー&17時には必ず退社デー。

司会進行や準備などは企画開発部が担当で、席順は毎年恒例のクジ引き。

企画開発部の先発隊は社員全員に当たるハズレ無しのビンゴ大会の商品を並べたり、席順の番号の配置が済ませると自分達が先に席順のクジ引きをする。

「ゆかり、何番?私は45番。後ろの方じゃん!」

「私は24番。真ん中の方だね」

私と綾美は先発隊で先に会場入りしていて、クジ引きの席順を見せ合いをしていた。

「そろそろ皆来る頃だね」

「社長は最後に来るかな?」

社長はいつも集合時間ピッタリに来て、宴会中はとにかく社員に挨拶をしまくる。

一人一人の社員の名前を覚えているのは流石だなぁと感心する。

話をするチャンスも自分をアピールするチャンスも年に一度の今日限りなので、社員は緊張もしているが期待も膨らませている。

忘年会開始30分前になると続々と社員達が集まり、クジ引きをしてから席に着いた。

社長も席に着いたので、企画開発部の社員も席に着き始めたが・・・私の隣には空席が1つ。

企画開発部の誰かかなぁ?・・・そう思いながら席に着くと隣には座って欲しくない人物が座って居た。

「…お疲れ様です」

私はおずおずと話かけると「お疲れ様です」とよそよそしく返ってきた。

今までなら嫌味の1つでも飛んでくるのだが、私の存在を無視するかのように私に背を向ける様にして左隣に座って居る女子社員と話している。

別にいいけどね、無視されても・・・。

「秋葉さんはビールにします?」

「私はビールは飲めないので…」

テーブル上にはビール、赤と白のワインのデキャンタ、烏龍茶、オレンジジュースが置いてある。

乾杯の前にテーブル上にある飲み物の注ぎ合いをしていて、私にも順番が回ってきたのだけれど私はビールの苦味が苦手で飲めない。

「お前はワインがいいんだろ。コイツ、ビール飲めないんで…」

勝手に白ワインを私のグラスに注いだ日下部さんは一口、口に含んで
「甘いからお前好みだから大丈夫」
と言って私にグラスを返した。

それを見ていた同じテーブルの女子社員からは非難の視線を感じた。

「日下部さんのワイングラスと交換して下さい…」

「何で?いいじゃん、別に。いつもの事だろ?」

おいおい、ちょっと待て。

話掛けて来たと思ったら、余計な事を言ってるし!!

"いつもの事"って、間接キスなど一度もした事ありません!!・・・キスはしたけど、ってそうじゃなくて・・・!

ますます女子社員からの視線が怖いよ、間が持たないから早く乾杯しちゃって欲しい。

綾美と席を交換すれば良かった。

気まづい・・・拷問を受けているかの様だ。

「秋葉さんて彼氏居るんですか?」
「秋葉さんは仕事も出来るから結婚は考えてないんですか?」

乾杯が終わるとしばしの歓談タイムなのだけれども、私に質問が集中した。

日下部さんファンの女の子が私に対する当て付けで聞いてるのがバレバレ。

テーブル上には個人盛りの前菜だけが並んでいるが、その他はブッフェスタイルだから早く取りに行きなよ!

日下部さんもどこかに行って!

「居るけど…結婚はまだ考えてないよ」

愛想笑いを浮かべて答える。

「どんな人ですか?職場はどこ!?」
「私も聞きたい!」

興味本位でしょ?

だいたいこの子達はどこの部署の誰ですか?

「え、と…」

答えようとすると私を遮り、代わりに日下部さんが口を開いた。

「花野井  有澄。彩羽コーポレーション社長の息子」

「え…!?嘘!?何で……?知ってるの?…って言うか、あれ?」

日下部さんが何故か、名前を知っていた。

有澄って名前はなかなか居ないと思うから、本人だと思うが名字が違う。

彼氏の存在を知っていても、綾美にも名前を教えてないし・・・まだ紹介もしていない。

それに"社長の息子"ってどういう事───!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Perverse

伊吹美香
恋愛
『高嶺の花』なんて立派なものじゃない ただ一人の女として愛してほしいだけなの… あなたはゆっくりと私の心に浸食してくる 触れ合う身体は熱いのに あなたの心がわからない… あなたは私に何を求めてるの? 私の気持ちはあなたに届いているの? 周りからは高嶺の花と呼ばれ本当の自分を出し切れずに悩んでいる女 三崎結菜 × 口も態度も悪いが営業成績No.1で結菜を振り回す冷たい同期男 柴垣義人 大人オフィスラブ

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる

あさの紅茶
恋愛
学生のときにストーカーされたことがトラウマで恋愛に二の足を踏んでいる、橘和花(25) 仕事はできるが恋愛は下手なエリートチーム長、佐伯秀人(32) 職場で気分が悪くなった和花を助けてくれたのは、通りすがりの佐伯だった。 「あの、その、佐伯さんは覚えていらっしゃらないかもしれませんが、その節はお世話になりました」 「……とても驚きましたし心配しましたけど、元気な姿を見ることができてほっとしています」 和花と秀人、恋愛下手な二人の恋はここから始まった。 ********** このお話は他のサイトにも掲載しています

逃げるが価値

maruko
恋愛
侯爵家の次女として生まれたが、両親の愛は全て姉に向いていた。 姉に来た最悪の縁談の生贄にされた私は前世を思い出し家出を決行。 逃げる事に価値を見い出した私は無事に逃げ切りたい! 自分の人生のために! ★長編に変更しました★ ※作者の妄想の産物です

転移した異世界が無茶苦茶なのは、オレのせいではない!

どら焼き
ファンタジー
ありがとうございます。 おかげさまで、第一部無事終了しました。 これも、皆様が読んでくれたおかげです。 第二部は、ゆっくりな投稿頻度になると思われます。 不遇の生活を送っていた主人公が、ある日学校のクラスごと、異世界に強制召喚されてしまった。 しかもチートスキル無し! 生命維持用・基本・言語スキル無し! そして、転移場所が地元の住民すら立ち入らないスーパーハードなモンスター地帯! いきなり吐血から始まる、異世界生活! 何故か物理攻撃が効かない主人公は、生きるためなら何でも投げつけます! たとえ、それがバナナでも! ざまぁ要素はありますが、少し複雑です。 作者の初投稿作品です。拙い文章ですが、暖かく見守ってほしいいただけるとうれしいです。よろしくおねがいします。

処理中です...