16 / 73
糖度4*粉雪舞うクリスマス
3
しおりを挟む
香坂君が予約してくれたフレンチレストランは夜景が綺麗な雰囲気の良いお店だった。
オススメのワインを飲み、美味しい物を食べてとても有意義な時間。
デザートまで食べ終わり、食後の紅茶を飲んでいる時に香坂君から小さい箱に入ったプレゼントを手渡された。
「ベタな感じのヤツだけど…」
「可愛いっ、ネックレス!大切にするね」
箱の上にラッピングされていたリボンを外してフタを開けると、ピンク色の宝石が綺麗な大人可愛いデザインのネックレスが入っていた。
前彼にも貰った事のない気品溢れるネックレスに感化された私は、自分が知らぬ間に大人になっていたんだとしみじみ思った。
「喜んで貰えて良かった。店員さんに自分で選びたいからじっくり見させて貰ったんだ。アクセサリーなんて選んだ事ないから…恥ずかしかったけど、今の時期はね、男性も沢山来てたから心強かったかなぁ…」
右手で唇を覆い隠す様に話す香坂君は少し照れている様に見える。
唇を覆い隠す仕草は本日二回目で照れている時にする仕草なのかも?と思い、新たな一面を発見して嬉しい。
「私…ネックレス貰ったの初めて。香坂君が選んでくれたネックレス早くつけてみたいなぁ」
「…そろそろお店出ようか?」
「…うん。ごちそうさまでした」
私達はディナーの後、イルミネーションが光り輝く通りを歩く。
今日の為に新調したコート、黒のフレアなスカートだけど子供っぽくならないひざ丈位のAラインのワンピース、少し高めなヒール。
私の方が二歳年上なので、香坂君と釣り合うようにと綾美がプロデュースしてくれた今日のファッション。
高めなヒールが歩きにくいのが難点。
香坂君は手を繋いでいる私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
「…雪降ってきたね」
空からハラハラと雪が舞い降りて、髪や頬に触れる。
そう言えば、今朝のニュースでホワイトクリスマスになりそうですって言ってたのを思い出した。
クリスマスイブに雪が降るなんて子供の頃以来かも?
「雪が沢山降らない内に帰ろうか…?それとも今日、お泊まり大丈夫?」
恥ずかしいからか、私の顔を見ないように空を見上げる様にしながら聞いてくる香坂君。
「……うん」
「ホテルが満室で予約出来なくて、俺ん家だけど良い?」
声は出さずに静かに頷くと香坂君は嬉しそうに微笑んだ。
実は言うとお泊まりコースになっても慌てない為に下着の替えだけはバックに忍ばせてきた。
お泊まりするドキドキ感は変わらないのだが、学生時代とは違い経験が豊富になったのか、羞恥心が少なくなったのか・・・用意周到だったりする。
今日こそは進展して、日下部さんの事でモヤモヤしたりしないようにして欲しい。
日下部さんには『好き』って言われた訳ではないし、強引にキスマークを付けられただけ。
五年間一緒に居るけれど、好きとかそんな素振りは一度もなくて何で今更?
私に彼氏が出来たからって面白くなくてからかってるだけなんだよ、きっと。
困ったお兄ちゃんだ───・・・・・・
「…お邪魔します」
「殺風景な部屋でしょ。ゆかりちゃんはソファーに座って、ちょっと待ってて」
香坂君の住むアパートは1LDKの部屋だった。
リビングに通されて、ソファーに座って待っている間に香坂君はエアコンのスイッチを入れたり、キッチンに行ったりと慌ただしく動いていた。
整理整頓された部屋の中は統一感のあるシンプルな家具でまとめられていた。
男の子なのに整理整頓されていて、几帳面な性格なんだなぁと思う。
経済学部出身だけあって、ベッド脇の小さな本棚には"経営学"や有名企業の社長の本が並んでいた。
「シャンパン飲む?」
「うん、ありがとう」
テーブルに並べられたのは4号サイズのホールケーキとシャンパン。
香坂君はスーツのジャケットを脱いで、ソファー横に置くと私の隣に座る。
「改めてメリークリスマス」
注いでくれたシャンパンで乾杯をして、私達は一杯目を飲み干す。
「…実はゆかりちゃんが来てくれる事を想定して、ケーキを用意したんだけど。来てくれて良かった!」
「いつ用意してくれたの?」
「駅前に美味しいケーキ屋さんがあるって聞いたから昼間に買いに行って、冷蔵庫にしまって置いた。来てくれなかったら夜に一人で寂しく食べてたね…。
そうだ!行儀悪いんだけど、このままケーキを食べてみたくない?」
「子供の頃は怒られるから、したくても出来なかったよね」
子供っぽい事を言う香坂君がとても可愛いらしく、少年の様だった。
「食べる前に写真撮ってもいい?このケーキ、とっても綺麗」
苺と生クリーム、飾り付けに薄く削ったホワイトチョコを使用したケーキは大人びていてとても綺麗。
ケーキとシャンパン、香坂君とケーキ、香坂君と私の組み合わせで何枚かスマホで写真を撮った。
オススメのワインを飲み、美味しい物を食べてとても有意義な時間。
デザートまで食べ終わり、食後の紅茶を飲んでいる時に香坂君から小さい箱に入ったプレゼントを手渡された。
「ベタな感じのヤツだけど…」
「可愛いっ、ネックレス!大切にするね」
箱の上にラッピングされていたリボンを外してフタを開けると、ピンク色の宝石が綺麗な大人可愛いデザインのネックレスが入っていた。
前彼にも貰った事のない気品溢れるネックレスに感化された私は、自分が知らぬ間に大人になっていたんだとしみじみ思った。
「喜んで貰えて良かった。店員さんに自分で選びたいからじっくり見させて貰ったんだ。アクセサリーなんて選んだ事ないから…恥ずかしかったけど、今の時期はね、男性も沢山来てたから心強かったかなぁ…」
右手で唇を覆い隠す様に話す香坂君は少し照れている様に見える。
唇を覆い隠す仕草は本日二回目で照れている時にする仕草なのかも?と思い、新たな一面を発見して嬉しい。
「私…ネックレス貰ったの初めて。香坂君が選んでくれたネックレス早くつけてみたいなぁ」
「…そろそろお店出ようか?」
「…うん。ごちそうさまでした」
私達はディナーの後、イルミネーションが光り輝く通りを歩く。
今日の為に新調したコート、黒のフレアなスカートだけど子供っぽくならないひざ丈位のAラインのワンピース、少し高めなヒール。
私の方が二歳年上なので、香坂君と釣り合うようにと綾美がプロデュースしてくれた今日のファッション。
高めなヒールが歩きにくいのが難点。
香坂君は手を繋いでいる私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
「…雪降ってきたね」
空からハラハラと雪が舞い降りて、髪や頬に触れる。
そう言えば、今朝のニュースでホワイトクリスマスになりそうですって言ってたのを思い出した。
クリスマスイブに雪が降るなんて子供の頃以来かも?
「雪が沢山降らない内に帰ろうか…?それとも今日、お泊まり大丈夫?」
恥ずかしいからか、私の顔を見ないように空を見上げる様にしながら聞いてくる香坂君。
「……うん」
「ホテルが満室で予約出来なくて、俺ん家だけど良い?」
声は出さずに静かに頷くと香坂君は嬉しそうに微笑んだ。
実は言うとお泊まりコースになっても慌てない為に下着の替えだけはバックに忍ばせてきた。
お泊まりするドキドキ感は変わらないのだが、学生時代とは違い経験が豊富になったのか、羞恥心が少なくなったのか・・・用意周到だったりする。
今日こそは進展して、日下部さんの事でモヤモヤしたりしないようにして欲しい。
日下部さんには『好き』って言われた訳ではないし、強引にキスマークを付けられただけ。
五年間一緒に居るけれど、好きとかそんな素振りは一度もなくて何で今更?
私に彼氏が出来たからって面白くなくてからかってるだけなんだよ、きっと。
困ったお兄ちゃんだ───・・・・・・
「…お邪魔します」
「殺風景な部屋でしょ。ゆかりちゃんはソファーに座って、ちょっと待ってて」
香坂君の住むアパートは1LDKの部屋だった。
リビングに通されて、ソファーに座って待っている間に香坂君はエアコンのスイッチを入れたり、キッチンに行ったりと慌ただしく動いていた。
整理整頓された部屋の中は統一感のあるシンプルな家具でまとめられていた。
男の子なのに整理整頓されていて、几帳面な性格なんだなぁと思う。
経済学部出身だけあって、ベッド脇の小さな本棚には"経営学"や有名企業の社長の本が並んでいた。
「シャンパン飲む?」
「うん、ありがとう」
テーブルに並べられたのは4号サイズのホールケーキとシャンパン。
香坂君はスーツのジャケットを脱いで、ソファー横に置くと私の隣に座る。
「改めてメリークリスマス」
注いでくれたシャンパンで乾杯をして、私達は一杯目を飲み干す。
「…実はゆかりちゃんが来てくれる事を想定して、ケーキを用意したんだけど。来てくれて良かった!」
「いつ用意してくれたの?」
「駅前に美味しいケーキ屋さんがあるって聞いたから昼間に買いに行って、冷蔵庫にしまって置いた。来てくれなかったら夜に一人で寂しく食べてたね…。
そうだ!行儀悪いんだけど、このままケーキを食べてみたくない?」
「子供の頃は怒られるから、したくても出来なかったよね」
子供っぽい事を言う香坂君がとても可愛いらしく、少年の様だった。
「食べる前に写真撮ってもいい?このケーキ、とっても綺麗」
苺と生クリーム、飾り付けに薄く削ったホワイトチョコを使用したケーキは大人びていてとても綺麗。
ケーキとシャンパン、香坂君とケーキ、香坂君と私の組み合わせで何枚かスマホで写真を撮った。
1
お気に入りに追加
179
あなたにおすすめの小説

羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。
でも今、確かに思ってる。
―――この愛は、重い。
------------------------------------------
羽柴健人(30)
羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問
座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』
好き:柊みゆ
嫌い:褒められること
×
柊 みゆ(28)
弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部
座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』
好き:走ること
苦手:羽柴健人
------------------------------------------
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
会社の後輩が諦めてくれません
碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。
彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。
亀じゃなくて良かったな・・
と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。
結は吾郎が何度振っても諦めない。
むしろ、変に条件を出してくる。
誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。

乗り換え ~結婚したい明子の打算~
G3M
恋愛
吉田明子は職場の後輩の四谷正敏に自分のアパートへの荷物運びを頼む。アパートの部屋で二人は肉体関係を持つ。その後、残業のたびに明子は正敏を情事に誘うようになる。ある日、明子は正敏に結婚してほしいと頼みむのだが断られてしまう。それから明子がとった解決策 は……。
<登場人物>
四谷正敏・・・・主人公、工場勤務の会社員
吉田明子・・・・正敏の職場の先輩
山本達也・・・・明子の同期
松本・・・・・・正敏と明子の上司、課長
山川・・・・・・正敏と明子の上司
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
小さな恋のトライアングル
葉月 まい
恋愛
OL × 課長 × 保育園児
わちゃわちゃ・ラブラブ・バチバチの三角関係
人づき合いが苦手な真美は ある日近所の保育園から 男の子と手を繋いで現れた課長を見かけ 親子だと勘違いする 小さな男の子、岳を中心に 三人のちょっと不思議で ほんわか温かい 恋の三角関係が始まった
*✻:::✻*✻:::✻* 登場人物 *✻:::✻*✻:::✻*
望月 真美(25歳)… ITソリューション課 OL
五十嵐 潤(29歳)… ITソリューション課 課長
五十嵐 岳(4歳)… 潤の甥
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる