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糖度3*社員食堂での戯れ

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綾美は残業したくない!とゴネながら、日下部さんの後を追うように下膳しに向かった。

二人きりになると高橋さんは「照れ隠しじゃないですか?」と言った。

照れ隠し?日下部さんが??

「…怒らない程度に言うと、日下部さんは秋葉さんの事を危なっかしい妹みたいで放って置けないって言ってました。後は秘密ですけど…」

『後は秘密』という言葉は気になるけれど、これ以上の深追いは高橋さんにとってマイナスになるから良くない。

年上だし何だかんだと面倒見は良いから、妹の例えならば分かる気もする。

妹だとしたら、日下部さんにとっては恋愛対象外なのだろう。

「私は妹に見られてるんだから、恋愛対象外なんですよ、きっと…」

「そんな事はないと思いますけどね…」

「あっ、そんな事よりも高橋さん、私は先に戻るので綾美と二人でおしゃべりして下さいね」

高橋さんに気を遣い、綾美には内緒で企画開発部に先に戻ろうと思い席を立った。

下膳をしてから自販機コーナーの前に行くと日下部さんが女子に囲まれていた。

「今度、皆でカラオケ行きませんか?」
「忙しいと思うんで忘年会の後とかどうですか?」

商品流通部の女の子達かな?

彼女と別れたと噂が流れてるから、皆は必死にアピールしてるんだろうな。

見た目が若そうだから入社1~2年位の女の子達だと思うのだが、若いだけあって積極的で学生のノリが抜けていない感じが社会的には初々しい。

こんな事考えているだけで、私はもう若くはないのかな───・・・・・・

横目で日下部さんを見ると満更でもないような感じに見えるけれど・・・・・・。

私はノンシュガーの紅茶のペットボトルを購入すると、関わり合いを避けるようにエレベーターへと向かう。

日下部さんは若い女の子達とカラオケ行くのかな?

・・・・・・私には関係のない事だけれども。

「秋葉、何で助けてくれなかった?」

エレベーターを待つ私に追いついた日下部さんは、どうやら助けを求めていたらしい。

「満更でもないように見えましたが?行けばいいじゃん、カラオケ。常にハーレムでいーですね!」

「…嫌味っぽいな、お前は」

胸の内がスッキリしなくて、当たり散らす様にガチャガチャと開閉ボタンと階数ボタンを押す。

エレベーターには日下部さんと二人きり。

「…またドアが開かないかも?」

「ちゃんと開きます!」

「何怒ってるの?」

「怒ってないですっ!」

日下部さんの態度に無性にイライラする。

ふとした瞬間にエレベーターに閉じ込められた時の事を思い出してしまうし、日下部さんが女の子と話しているとモヤモヤするし・・・私は香坂君が好きなのに───・・・・・・

今日は約束してなかったけれど、明日は休みだから仕事が終わったら香坂君に会いに行こう。

香坂君に会って癒されよう。

今日こそは進展があると良いな。

進展がないから、日下部さんに一喜一憂してしまうんだ───そう、自分に言い聞かせる。

「降りないの?」

「降りませんっ!」

エレベーターが企画開発部の階に留まると日下部さんだけを降ろして、私は自販機だけが置いてある休憩スペースの階へと向かう。

ランチタイム中だからか、休憩スペースには誰一人として居ない。

自販機横にある長椅子に座り、スマホを手に取った。

今は仕事中で香坂君に電話しても繋がらないだろうから、トークアプリでメッセージを入れておこう。

私は基本は土日祝が休みだけれど、香坂君は飲食業だから基本は平日が休み。

会えたら嬉しいけれど、明日は土曜日で仕事が忙しいだろうから無理はして欲しくないな。

"突然ですが今日は会えますか?"・・・送信っと。

後は返信を待つのみ。

もうすぐ休憩時間が終わるけれど、日下部さんとは何となく会いたくないからギリギリまで戻らないようにしよう。

私は残り少ない休憩時間をネットを見たり、化粧直しに行ったりして過ごした。
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