糖度高めな秘密の密会はいかが?

桜井 響華

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糖度2*主回路の誤作動に要注意!

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頭が少し痛くて、胃がムカムカする。

香坂君と一緒に飲みすぎてしまったみたい。

昨日の夜の出来事の余韻にも浸れないまま、朝日は私にお構い無しに顔を出していた。

そのまま寝てしまっていたので、スーツは皺になり、シャワーも浴びていない状態で遅刻寸前だった。

唯一の救いはアラームを毎日鳴るようにセットしていた事位。

かろうじて出勤はしたものの、頭の回転が悪く仕事が進んでない。

自分の落ち度は十分に理解していて反省しているので、少しでも仕事を進めたいと思ってはいるのに、日下部さんと来たら───・・・・・・

「秋葉、デザイン案まとまったのか?」
「秋葉、春先の企画案は見たのか?」
「秋葉、サンプルが届いたから段ボールから取り出して机に並べろ」

秋葉、秋葉、と連呼しなくて結構!

私は二日酔い気味だから、じっと座ったままで仕事をしたいのに、今日に限って何度も自分のデスクまで呼び出しては何かと用事を言いつける。

用事が終わり、これでやっと落ち着いて仕事が出来ると思い自分のデスクに座ると更に呼びつけて、「秋葉、コーヒーおかわり」との事。

コーヒーをおかわりは流石に私ではなく、他の誰かでも良いでしょう?

「日下部さん、おかわりはご自分でどうぞっ!!」

私は自分のデスクから立つ事なく、お断り申し上げた。

私の態度に周辺が凍りつく。

企画開発部の室内では誰も日下部さんには口答えしたり、タメ口を聞いたりはしないからだ。

日下部さんよりも年上の社員からも常に敬語。

日下部さんは昨日の帰り際から機嫌が悪い。

おはようの挨拶は無視したくせに、職権を使い用事ばかりを言いつけてくる。

普段、仕事中にこんなにも名字を連呼したり、デスクまで呼ばれたりはしない。

何だか、調子狂うな───・・・・・・

「秋葉さん、先日のタオルハンカチの見本が届きました。色合いとかどうかな?」

「手触りはふわふわっ気持ち良いし、想像通りの色と刺繍です。部長のオッケーが出れば生産に入って下さい」

来春から販売予定のタオルハンカチの色違いの見本と資料を持ち、見かけは私に確認に来たように見えるが・・・本題はこっち。

「ゆかりっ、日下部さんと何かあったの?」

資料を使い、やり取りをしているような振りをして話かけて来たのは、後輩だけれども同い年の杉野  綾美(すぎの  あやみ)。

「昨日、機嫌を損ねてしまったみたい…特に何をしたって訳ではないと思うんだけど…」

「そうなんだ…今日はめちゃくちゃ機嫌悪そうだよね!」

「職権乱用してるし、扱いめんどくさいっ」

ヒソヒソと話込んでると背後から悪寒がし、丸めた資料らしき紙の束で頭を軽く叩かれた。

「秋葉、杉野、無駄話禁止。全部聞こえてるから!」

「わーっ、すみません、デスク戻りまぁす!」
「…すみませんでした」

自分のデスクに戻った綾美は会社のパソコンの私のアドレス宛に『仕事が終わったら、また話そうねっ』とメールをくれた。

私は『了解』とだけ返信し、メールの履歴を削除した。

私用メールもたまにするのだが、パソコンにロックを掛けている(商品などの重要なデータが入っている為)とはいえ、いつどんな時に他人に見られるか分からない為、すぐに削除するように心がけている。

眠くなって来たよ・・・定時まで三時間もあるよ。早退しちゃいたい。

仕事を再開すると急激な眠気に襲われた。

今すぐにでも眠りたい・・・。

アクビは出るわ、瞼は重いわ、頭が痛くて気分も悪いわ、最悪な状態。

「部長、ちょっとだけ抜けます!すぐ戻ります!」

眠気が限界に達した私は目が覚めるように、仕事を放棄して休憩所へと向かった。

日下部さんが何か言ってた様に思えたが、聞こえない振りをして出てきてしまった。

自販機で暖かいカフェオレを購入し一口だけ口に含んで、会議室へと移動。

今日はどの部署も居なそうだから、少しだけ、15分間だけ寝てしまおう。

どっちにしても、寝ないと仕事になりません。

お許しください───・・・・・・
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