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十九 逆プロポーズ?
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「やっちまえぇ」
迫りくる悪漢どもが口々に叫びながらこちらに来ていました。
しかし、ロラン様が華麗な動きで次々とちぎっては投げを繰り返して、その間に私はエドワード様に抱きかかえられて出口までたどり着くことができました。
「あ、あのロラン様は……」
「大丈夫。息子を信用しなさい。あのくらいの輩を倒せなくて近衛兵を名乗るものじゃない。それより怖かっただろう。もう、大丈夫だ。私達が来たからね」
「エドワード様、ひっく……」
暖かい腕の中で可憐に泣こうと思ったのですが、実際はわんわん泣いていました。だって……。
本当にどうなるかと思ったの。いじめにしても、今度はやりすぎです。
「父上! クレア!」
一通り悪漢どもを床に沈めたロラン様が私達の待ってるところにやってきました。
ロラン様はエドワード様から私を奪い取るようにして抱きかかえました。
「クレア、ケガは無いかい?」
「ろ、ロラン様、ですよね。大丈夫です」
だって、ロラン様はお化粧をしてたんです、どこの美女かと思いました。
「クレア、俺が付いていながら、こんなことになってしまって……。申し訳なかった」
「本当に。出世払いと今回のことと。高くつくぞ」
「父上……」
「こほん。まあ、これだけ美しい人を手に入れるんだ。困難もあるだろう。頑張りたまえ」
「あ、あの……」
「おお、このままではクレアさんも疲れているだろう。早く馬車に乗って帰ろう」
馬車に皆で乗り込みました。私は麻袋のままロラン様に抱き抱えられています。
「しかし、今回のは酷すぎるな。誘拐に不正な人身売買。それも俺の目の前で行われた」
「相手もなりふり構っていられなかったのだろうな」
「……相手って、ご存じなのですか?」
私の言葉にロラン様とエドワード様は顔を見合わせました。
「まあ、これだけいろいろあれば調べるよ。特に私はそれなりに敵もいるからね」
エドワード様の言葉にロラン様は肯いていました。
「だが、今回はどうやら、愚息の方だったがね」
「父上! 俺は、潔白だ」
「くくくっ。モテる男は辛いとこだ。しかし、大事な人は守るように」
「ロラン様の……」
王宮でのあの女官見習の方々の視線はロラン様への熱を帯びたものでしたし。
「おや、花嫁は不安そうだ。まあ、お前の不徳の致すところだ」
「クレア、もう二度とこのようなことにはさせない。だからっ」
「は、はい」
「ロラン。そういうことは家に戻ってゆっくりしてからだ」
エドワード様の言葉にしゅんとなるロラン様は年上ですが可愛いと思ってしまいました。
「でも、父上、流石です。最後はあのような手ができるなんて」
「どうなるか本当にはらはらいたしました。私は……、私……」
「ああ? あれは、レディの前で言うほどのものではないよ」
エドワード様は軽くウインクをしましした。
「ほら、クレアさんも恐ろしくて震えている」
「私は、私はロラン様ではなく……」
「何をいっているのだ?」
驚いて私を覗き込んでくるロラン様に宣言いたしました。
「私はエドワード様の花嫁になりたいです!」
「は?」
「おやおや、これは困ったことだね」
迫りくる悪漢どもが口々に叫びながらこちらに来ていました。
しかし、ロラン様が華麗な動きで次々とちぎっては投げを繰り返して、その間に私はエドワード様に抱きかかえられて出口までたどり着くことができました。
「あ、あのロラン様は……」
「大丈夫。息子を信用しなさい。あのくらいの輩を倒せなくて近衛兵を名乗るものじゃない。それより怖かっただろう。もう、大丈夫だ。私達が来たからね」
「エドワード様、ひっく……」
暖かい腕の中で可憐に泣こうと思ったのですが、実際はわんわん泣いていました。だって……。
本当にどうなるかと思ったの。いじめにしても、今度はやりすぎです。
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「クレア、俺が付いていながら、こんなことになってしまって……。申し訳なかった」
「本当に。出世払いと今回のことと。高くつくぞ」
「父上……」
「こほん。まあ、これだけ美しい人を手に入れるんだ。困難もあるだろう。頑張りたまえ」
「あ、あの……」
「おお、このままではクレアさんも疲れているだろう。早く馬車に乗って帰ろう」
馬車に皆で乗り込みました。私は麻袋のままロラン様に抱き抱えられています。
「しかし、今回のは酷すぎるな。誘拐に不正な人身売買。それも俺の目の前で行われた」
「相手もなりふり構っていられなかったのだろうな」
「……相手って、ご存じなのですか?」
私の言葉にロラン様とエドワード様は顔を見合わせました。
「まあ、これだけいろいろあれば調べるよ。特に私はそれなりに敵もいるからね」
エドワード様の言葉にロラン様は肯いていました。
「だが、今回はどうやら、愚息の方だったがね」
「父上! 俺は、潔白だ」
「くくくっ。モテる男は辛いとこだ。しかし、大事な人は守るように」
「ロラン様の……」
王宮でのあの女官見習の方々の視線はロラン様への熱を帯びたものでしたし。
「おや、花嫁は不安そうだ。まあ、お前の不徳の致すところだ」
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「は、はい」
「ロラン。そういうことは家に戻ってゆっくりしてからだ」
エドワード様の言葉にしゅんとなるロラン様は年上ですが可愛いと思ってしまいました。
「でも、父上、流石です。最後はあのような手ができるなんて」
「どうなるか本当にはらはらいたしました。私は……、私……」
「ああ? あれは、レディの前で言うほどのものではないよ」
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「ほら、クレアさんも恐ろしくて震えている」
「私は、私はロラン様ではなく……」
「何をいっているのだ?」
驚いて私を覗き込んでくるロラン様に宣言いたしました。
「私はエドワード様の花嫁になりたいです!」
「は?」
「おやおや、これは困ったことだね」
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