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十一 令嬢方との恋のから騒ぎ?
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ドレスと言われて今日のロラン様とのお出かけにも持っていないことに気が付きました。とりあえず、部屋まで戻ると侍女のアンが待ち構えておりました。
「ロラン様と外にお食事にですか。分かりました。こういうこともあろうかとご用意しております」
「え? そうなの?」
「勿論です。お嬢様は、その、あまりにも身の周りのことを気になさらないものですから。夜会服はまだご用意できませんが近々に手配しております」
「……そうなのですか。なんだか申し訳ないわ」
それもエドワード様からのものよね。ますます借金が増えてしまいますわ。いつになったら返済できるのかしら?
「いいえ、主人のお世話をするのが私の仕事です。ご安心ください」
アンは私のメイド服を脱がすのを手伝ってくれました。ゆったりとしたガウンに身を包んで寛いでいるとアンがもってきたのはフリルだけど甘すぎないドレス。センスの良さが分かるものでした。
「エドワード様はセンスも良いのですね。素敵だわ」
「ええ、でもこれはロラン様がご用意されたもので」
アンがてきぱきと着つけてくれました。
「まあ、ロラン様ですか? 早速お礼を申し上げないと。義理の家族なのに良くしてくれますわ」
「え? ……そう、そうですか……」
アンが私の言葉に奇妙な表情をしました。
「だ、だって、ロラン様は私の義理の息子になるから……」
「は? クレア様は何を仰っているのですか?」
アンに心底分からない表情をされました。
「エドワード様の後妻になるのだから、ロラン様は私の息子でしょう?」
「え、えええ?!」
「な、何かおかしいのでしょうか?」
アンは口をぽかんと開けたままもう何も言わなくなりました。少しするとロラン様が迎えに参りました。でも彼は鎧兜を着てドレスらしきものを抱えていました。
「すまない。急遽今夜の夜会の警備の応援を頼まれてしまった。約束したのに出かけられない。代わりに夜会のドレスを用意したのでそれで良かったら出席をしてくれ。私も会場にいるから」
慌てているロラン様にアンが話しかけていました。
「ロラン様。差し出がましいと思われますが、クレア様とよく話し合われた方がよろしいかと存じます」
ロラン様も不思議そうな表情をいたしましたが、ドレスをアンへと手渡して去っていかれました。
「今から……、間に合うかしら?」
「間に合わせてみせますわ!」
アンはドレスを抱えたまま私を凝視しています。
「髪は……。口紅……、ああいろいろと足りない! でも、困難こそ燃えます!」
アンに髪を引っ張られ、おしろいを叩かれ、最後にドレスの微調整をしてくれました。
「まあ、素敵だわ! これが私? まるでおとぎ話のお姫様のようね」
「クレア様はご令嬢としての常識はアレですけれど見た目はとてもお美しいですから、お手入れが十分でなくも……。いえ、これから婚儀まではお手入れも万全にいたします!」
「婚儀……。そう言えば、夜会はエスコートが必要なのではないのかしら? ロラン様は警備のお仕事なのに」
でも、令嬢方もエスコトート役の方はいなかったわね。私は先程の女性達を思い出した。
この居住スペースは女性しか入室できなところになっていますので、後で合流するのかしら?
とりあえず彼女達の行った方向を私は目指しました。入り口近くになると鎧兜の衛兵さんに腕を取られました。
「クレア!」
「……ロラン様?」
「良かった。間に合ったようだな。中は食事もできるし、合間を見て一緒に……」
私は肯くとロラン様はほっとしたようです。私は言われたように中に入り食事するところを探しました。するとアデラさんと再びお会いました。
「あら、あなたも来ることができたのね……」
嫌そうな表情で私を上から下まで眺めるとふんと顔を背けて何も言わずに過ぎ去りました。
早々に嫌な感じでしたけれどお食事をしないとね。
確かに王宮の夜会は珍しい食べ物が一杯ありました。食べやすいように作られた物ばかりで、見栄えも良く作られていました。
「これってサンドウィッチ? 生クリームが入ってケーキのよう。家でも作れるかしら?」
「ちょっと、あなた、ロラン様に気に入れられてるからっていい気になってるんじゃなくて?」
振り返ると今度はメアリー様が少し離れたところでこちらをご覧になっていました。
「仲良くするのは良いことと思いますわ」
「んまああ。あなたって本当に嫌味な方ね」
彼女が憤りながらこちらにやってくるので私は仕方なくベランダから中庭へ逃れようとしめしたそれでも彼女とそのご友人方は私の方へとやって来て私は中庭の池のところまで逃げることに。
「ちょっと美人だからいい気になって」
美人って私のこと? それでも今まで良かったことなど有りません。家で家事に勤しんでいましたわ。
「何か言いなさいよ!」
何人かのご令嬢に詰め寄られてもみ合いになりましたの。
「ロラン様は私が先に目をつけていたのよ!」
その叫び声とともにどんと押されると私はよろけてぼちゃんと池の中に……。
「あ……」
――だから、一体どういうことなの? 私はエドワード様の後妻ですのっ!
私は池の中に沈みつつ、なんとか浮き上がろうともがいてました。
「ロラン様と外にお食事にですか。分かりました。こういうこともあろうかとご用意しております」
「え? そうなの?」
「勿論です。お嬢様は、その、あまりにも身の周りのことを気になさらないものですから。夜会服はまだご用意できませんが近々に手配しております」
「……そうなのですか。なんだか申し訳ないわ」
それもエドワード様からのものよね。ますます借金が増えてしまいますわ。いつになったら返済できるのかしら?
「いいえ、主人のお世話をするのが私の仕事です。ご安心ください」
アンは私のメイド服を脱がすのを手伝ってくれました。ゆったりとしたガウンに身を包んで寛いでいるとアンがもってきたのはフリルだけど甘すぎないドレス。センスの良さが分かるものでした。
「エドワード様はセンスも良いのですね。素敵だわ」
「ええ、でもこれはロラン様がご用意されたもので」
アンがてきぱきと着つけてくれました。
「まあ、ロラン様ですか? 早速お礼を申し上げないと。義理の家族なのに良くしてくれますわ」
「え? ……そう、そうですか……」
アンが私の言葉に奇妙な表情をしました。
「だ、だって、ロラン様は私の義理の息子になるから……」
「は? クレア様は何を仰っているのですか?」
アンに心底分からない表情をされました。
「エドワード様の後妻になるのだから、ロラン様は私の息子でしょう?」
「え、えええ?!」
「な、何かおかしいのでしょうか?」
アンは口をぽかんと開けたままもう何も言わなくなりました。少しするとロラン様が迎えに参りました。でも彼は鎧兜を着てドレスらしきものを抱えていました。
「すまない。急遽今夜の夜会の警備の応援を頼まれてしまった。約束したのに出かけられない。代わりに夜会のドレスを用意したのでそれで良かったら出席をしてくれ。私も会場にいるから」
慌てているロラン様にアンが話しかけていました。
「ロラン様。差し出がましいと思われますが、クレア様とよく話し合われた方がよろしいかと存じます」
ロラン様も不思議そうな表情をいたしましたが、ドレスをアンへと手渡して去っていかれました。
「今から……、間に合うかしら?」
「間に合わせてみせますわ!」
アンはドレスを抱えたまま私を凝視しています。
「髪は……。口紅……、ああいろいろと足りない! でも、困難こそ燃えます!」
アンに髪を引っ張られ、おしろいを叩かれ、最後にドレスの微調整をしてくれました。
「まあ、素敵だわ! これが私? まるでおとぎ話のお姫様のようね」
「クレア様はご令嬢としての常識はアレですけれど見た目はとてもお美しいですから、お手入れが十分でなくも……。いえ、これから婚儀まではお手入れも万全にいたします!」
「婚儀……。そう言えば、夜会はエスコートが必要なのではないのかしら? ロラン様は警備のお仕事なのに」
でも、令嬢方もエスコトート役の方はいなかったわね。私は先程の女性達を思い出した。
この居住スペースは女性しか入室できなところになっていますので、後で合流するのかしら?
とりあえず彼女達の行った方向を私は目指しました。入り口近くになると鎧兜の衛兵さんに腕を取られました。
「クレア!」
「……ロラン様?」
「良かった。間に合ったようだな。中は食事もできるし、合間を見て一緒に……」
私は肯くとロラン様はほっとしたようです。私は言われたように中に入り食事するところを探しました。するとアデラさんと再びお会いました。
「あら、あなたも来ることができたのね……」
嫌そうな表情で私を上から下まで眺めるとふんと顔を背けて何も言わずに過ぎ去りました。
早々に嫌な感じでしたけれどお食事をしないとね。
確かに王宮の夜会は珍しい食べ物が一杯ありました。食べやすいように作られた物ばかりで、見栄えも良く作られていました。
「これってサンドウィッチ? 生クリームが入ってケーキのよう。家でも作れるかしら?」
「ちょっと、あなた、ロラン様に気に入れられてるからっていい気になってるんじゃなくて?」
振り返ると今度はメアリー様が少し離れたところでこちらをご覧になっていました。
「仲良くするのは良いことと思いますわ」
「んまああ。あなたって本当に嫌味な方ね」
彼女が憤りながらこちらにやってくるので私は仕方なくベランダから中庭へ逃れようとしめしたそれでも彼女とそのご友人方は私の方へとやって来て私は中庭の池のところまで逃げることに。
「ちょっと美人だからいい気になって」
美人って私のこと? それでも今まで良かったことなど有りません。家で家事に勤しんでいましたわ。
「何か言いなさいよ!」
何人かのご令嬢に詰め寄られてもみ合いになりましたの。
「ロラン様は私が先に目をつけていたのよ!」
その叫び声とともにどんと押されると私はよろけてぼちゃんと池の中に……。
「あ……」
――だから、一体どういうことなの? 私はエドワード様の後妻ですのっ!
私は池の中に沈みつつ、なんとか浮き上がろうともがいてました。
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