追放系婚約破棄令嬢な私は追放系チート王子様と道連れに

えとう蜜夏☆コミカライズ中

文字の大きさ
上 下
16 / 17

十六 ギルドの依頼

しおりを挟む
 宿にはアドニスさんが既に戻っていた。市場で買い物をしてきたらしい。

「昼食を食べながら情報交換しよう」

 そうして、あの幌馬車の食堂に集まった。

 既にアドニスさんが食事の準備をしてくれていた。

 美味しそうな匂いが漂っている。

「わあ! シチューですね。とっても好きです」

「ええ、良い肉が手に入りましたので」 

 アドニスさんは料理に掃除に裁縫と家事スキルを持っている。ぜひ弟子入りさせて欲しいくらいだ。

「それじゃあ、とりあえず食事だ」

 私は配膳のお手伝いをした。それはあちらの世界のビーフシチューに似た味でとても美味しかった。

 シチューは美味し過ぎてそれぞれ黙々と食べていた。当然おかわりをさせてもらった。

「明日の分もと思っていましたが……」

 困った感じだったけれどアドニスさんは嬉しそうだった。

 貴族のご令嬢は少食と思われていたかもしれないけど私はこれからのためにしっかり食べて力をつけるつもり。

「…どうやらギルドで話を聞くとモンスターの襲撃が起きたようだ。東北の外壁と負傷者がいるため、冒険者、商業ギルドの両方から薬草追加の依頼を受けた」

「では、他の値段も高騰しますね。それに薬草作りの用意をいたしましょう」

 アドニスさんは分かってるみたいだった。

 レイノルド様は頷くだけだった。 

 アドニスさんは食卓を急ぎ片付けたので私も一緒に手伝った。

 その後レイノルド様と打ち合わせをしているみたいだった。

 多分ずっとこうしてきたのだなと感じた。

「私も何かお手伝いしたいけどどうすればいいのでしょうか?」

 話が終わった時に二人に尋ねてみた。

「では薬草の準備のお手伝いをお願いできますか? もちろんお給料も出します」

「はい。分かりました」

 レイノルド様は八番の部屋へと向かった。左右に五部屋づつある廊下を挟んで左側だ。

 私も一緒に付いていった。

 八番の部屋は倉庫で食材や品物を置いてあった。その中に薬草もあり、レイノルド様は必要な薬草を選び出して、

「これが薬草の材料になる基本の草です。後は……」

 それから、私は薬草の下準備として、草を選別することから教えてもらった。

 薬草になる草は大きさは人の顔くらいあった。これを錬金術で薬草に変えると摘めるサイズになるらしい。ミニチュアのほうれん草の束みたい。

「ここの草は俺が選別してあるのでそう不良品はないけれど薬草などによっては、品質の悪い物もあるから気をつけて」

「うう、難しそう。みんな同じに見えます」

「ふふ、最初は皆そうだよ」

 でも、私は鑑定眼があるので、こっそりを使ってみた。でも、ここのはほぼ上級品だった。

 ここにあるのはほぼ品質の変わらない薬草を作ることができるのも分かった。

 元々ここに置いてあるのは良い品だから、そう選別に苦労することはなかった。

 そもそもレイノルド様のスキルに鑑定があるのは知っていたので不思議ではない。

「でも薬草ってどうやって作るのかしら? たくさん請け負ったけど……」

「俺は錬金術のスキルを持ってるから」

「錬金術ですか? それって上位スキルですよね。そうか、それで何でもできるのですね」

「え? そんなことないよ。魔法なしの追放者だよ」

「そんなことありません。レイノルド様は天才の上に努力家です」

 私はレイノルド様の無限に近いスキルの数々を視ていたのでそう話した。

「そうかな? そうだったらいいな。アゼリア嬢に言われると嬉しいよ」

「でも、かなりな数の納品を請けていました大丈夫なのですか?」

 正直、ここにある薬草とかで足りるのだろうか?

「もちろん、できない契約などしないよ。失敗すればペナルティがあるのだから」

 レイノルド様は楽しそうに語った。

 その雰囲気に私は昔のアゼリアとレイノルド様の楽しそうな思い出が脳裏に浮かんだ。

 無邪気に遊ぶアゼリア。リーダイ様ではなく、レイノルド様との思い出だった。リーダイ様とはあまり良い思い出はなかったのよね。

「さあ、薬草を作る前に少しお茶とお菓子で一休みいたしましょうか」

 アドニスさんが街の人気のクッキーを買ってきてくれてたらしく、それも美味しくいただいた。


      ○○〇〇〇〇〇〇〇〇
ここから書き溜めがないので、一日一回更新かちょっと間が開きます。温かい応援ブックマークありがとうございました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結80万pt感謝】不貞をしても婚約破棄されたくない美男子たちはどうするべきなのか?

宇水涼麻
恋愛
高位貴族令息である三人の美男子たちは学園内で一人の男爵令嬢に侍っている。 そんな彼らが卒業式の前日に家に戻ると父親から衝撃的な話をされた。 婚約者から婚約を破棄され、第一後継者から降ろされるというのだ。 彼らは慌てて学園へ戻り、学生寮の食堂内で各々の婚約者を探す。 婚約者を前に彼らはどうするのだろうか? 短編になる予定です。 たくさんのご感想をいただきましてありがとうございます! 【ネタバレ】マークをつけ忘れているものがあります。 ご感想をお読みになる時にはお気をつけください。すみません。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

美人の偽聖女に真実の愛を見た王太子は、超デブス聖女と婚約破棄、今さら戻ってこいと言えずに国は滅ぶ

青の雀
恋愛
メープル国には二人の聖女候補がいるが、一人は超デブスな醜女、もう一人は見た目だけの超絶美人 世界旅行を続けていく中で、痩せて見違えるほどの美女に変身します。 デブスは本当の聖女で、美人は偽聖女 小国は栄え、大国は滅びる。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

処理中です...