追放系婚約破棄令嬢な私は追放系チート王子様と道連れに

えとう蜜夏☆コミカライズ中

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十五 冒険者ギルド

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 それから私達はギルドを出て、宿に戻るかと思えば、今度は冒険者ギルドにも立寄った。

 二つはほど近い距離にあった。

「ここが君の来たかった冒険者ギルドだよ」

 私は目当ての建物の前に辿り着いてそれを見上げました。

「『たのもう』と叫びたいかもね」

 そう呟きながら運命のドラスを開けた。

 中に入ると物々しい感じかと思うと朝の中途半端な時間だったせいか人は少なく、依頼の掲示板をレイノルド様は確認していた。

「ちょっと遅かったから良い依頼は残ってないな……」

「すみません」

「どうして君が謝るの? ちょっと謝り過ぎたよ。アゼリア。君らしくない」

 そんな不服気なレイノルド様に更に謝りそうになった。

「もしかしてBクラスのレイノルド様ですか?」

 ここでもレイノルド様は有名人らしく、ギルド職員がレイノルド様を見つけて話し掛けてきた。

 どうやら、人が少ないのは魔獣の襲来があって、そのために外壁も崩れ、冒険者達は魔獣退治や外壁補修に出ているそうだ。

「スタンピードかい?」

 スタンピードとはモンスター達が増えすぎて氾濫することだ。

 そんなことは今まで聞いたことはなかった。王国騎士団や冒険者達が間引いているので起こらないと聞いていた。

 子どもの頃に騎士や冒険者の冒険譚として聞かされる一つだ。だから小さい頃は騎士や冒険者に憧れを抱く。

「まだ調査中ですが、そこまでではないと思われます」

「じゃあ、こちらでも薬草が手薄ですね?」

「はい。ぜひうちでも買い取らせてください。お願いします」

「了解。どのくらいかな、これに記載して」

 そう言うとレイノルド様はいつの間にか出した冒険者カードをギルド職員に差し出した。

「これで依頼を確認できますので。ええとそちらの方は……」

 職員が私の方に視線を送ってきた。

 もちろん、今の私はドレス姿ではなく先ほどの店で揃えてもらった冒険者用の姿だ。

「ああ、彼女は僕の商隊の方の職員です。戦闘はできません」

「ああ、そうなんですね。レイノルド様は手広くされているから、よろしくお願いしますね」

「ああ、どうにかするよ」

「ありがとうございます。助かります」

 冒険者ギルドの職員にも頭を下げられて、レイノルド様と一緒に宿に戻った。
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