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一 始まりの扉は婚約破棄と追放された王子
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シエナ国の王宮では第一王子のレイノルド様が追放されようとしていた。
玉座に座る国王陛下がじっとレイノルド王子を見て嘲笑っていた。
「魔法が使えるものは尊い。特に王族ともなれば使えて当然なのだ」
周囲の貴族達もその通りだという雰囲気で静かにその様子を見ていた。
レイノルド王子は黙って首を垂れていた。
黒というより濃紺の髪に深い青が光を受けて輝いて、その瞳は黒に近く藍色の怜悧な光を帯びていた。
国王はなおも続けた。
「しかし、お前は魔法が使えない。そのような出来損ないの王子などこの国には必要はない。どこにでも行くがよい」
「えっ?」
つい出てしまった私の声に幾人かはこちらを見た。
――これって悪役令嬢の断罪からの追放系ではなく無能王子の追放系の物語だったの?
今、目の前で国王陛下がレイノルド様に追放を言い渡しているところだった。
レイノルド様の母君は出産の際に命を落としたので、レイノルド様は不吉な王子として呼ばれあまりよくない待遇をされてきた。
国王陛下は現王妃様を新たに迎え、第二王子様のリーダイ様が生まれたのだった。
レイノルド王子様はお母様を亡くし、有力な後ろ盾もない王子だったので王宮では華々しく表に出ることはなかった。
国王陛下のおっしゃったようにレイノルド様が魔法を使えないことも大きかったようだ。
このシエナ国では魔法が使えないものは貴族としていられないからだ。生まれが貴族でも魔法がないなら平民に落とされていた。王族ならもっと厳しい。
他国も似たようなものだと聞いている。
そして、実のところ私は光魔法が使えた。
だから第二王子のリーダイ様と婚約していた。
私の家が公爵家でも上位の方だったことも大きかったみたいだけど。
その時、第二王子のリーダイ様が進み出てレイノルド様に意気揚々と宣言した。
「次の王はこの僕だ。魔法が使えないお前など屑以下だ。さっさと出て行け!」
玉座に座る国王陛下がじっとレイノルド王子を見て嘲笑っていた。
「魔法が使えるものは尊い。特に王族ともなれば使えて当然なのだ」
周囲の貴族達もその通りだという雰囲気で静かにその様子を見ていた。
レイノルド王子は黙って首を垂れていた。
黒というより濃紺の髪に深い青が光を受けて輝いて、その瞳は黒に近く藍色の怜悧な光を帯びていた。
国王はなおも続けた。
「しかし、お前は魔法が使えない。そのような出来損ないの王子などこの国には必要はない。どこにでも行くがよい」
「えっ?」
つい出てしまった私の声に幾人かはこちらを見た。
――これって悪役令嬢の断罪からの追放系ではなく無能王子の追放系の物語だったの?
今、目の前で国王陛下がレイノルド様に追放を言い渡しているところだった。
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