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〜佐藤家の異世界渡航〜
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時は流れて数年が経った……。
「よう人喰い!! 今日も人狩るのか??」
「ああそうだよ! 今日はランベルクさんに呼ばれてギルドに来たんだよ」
「依頼が終わったら,夜にでも一緒に酒飲もうぜ」
「わかったよ。じゃあまた後でな」
哲治はランベルクにギルドに呼ばれ,ギルドマスターの部屋へと向かう。
ノックをする。
「哲治か!? 入れ!」
「ランベルクさんどうも! 今日はどうしたんですか?」
「いやぁ~なお前に頼みたい依頼があってだな」
「え!? 嫌ですよ」
「そう言うなよ。久しぶりの人間相手の依頼だぞ?」
「え!? 本当ですか? それなら受けます」
「哲治のおかげで街が平和になったし,荷車を運ぶ道中にも盗賊が現れなくなって助かってるんだ。まあそのせいで哲治が受けたい依頼がほとんどなくなってるけどね」
「いつかはこんな事になるかなと思ってましたが,意外に早かったです」
「今回の依頼なんだが,つい最近出来た組織がターゲットだ。その組織は暗殺を請け負っているらしくてな,次々にこの国の貴族を暗殺しているんだよ。貴族の間で,そして王宮で大問題になってるんだが,実際に実行している暗殺者の討伐をお願いしたいんだ。頼めるかな?」
「分かりましたランベルクさん。任せて下さい! 依頼の詳細を教えてもらえますか?」
「実は今日裏で手を回して嘘の暗殺依頼を頼んだんだ。だから時間になれば現れるようにしてある。詳細はここに書いてある。後は頼んだぞ哲治」
「なるほどわかりました。現れるのは夜みたいですね。仕事まで時間あるんで武器の手入れでもしていきます」
「じゃあランベルクさんまた明日」
「ああ……また明日な!」
哲治は依頼を受けると,依頼の時間は夜なので,武器屋ローリエに行き,剣を磨いてもらうことにした。そして屋台や街を周り時間を潰した。
「舞さん,実は頼みたい暗殺があるんです……」
「ミケランド伯爵また依頼ですか? 今度はどんな貴族ですか?」
「今回は貴族じゃないんだ。とある人間をやってもらいたいんだ」
「そうなんですか? 詳細を教えてもらえますか?」
伯爵が言うには,貴族が資金を得るためにしている事業を片っ端から邪魔してくる人間がいるという。
「貴族が行っている商いや組織が次々に解体されてしまって困っているんだよ。だから問題となっている人間の暗殺を頼みたいんだ」
「なるほど……それは困りますね。分かりました! その依頼承ります」
「今夜その人間がここに現れるように手配しておいた。後はいつも通りで頼みます」
「分かりました」
舞は伯爵から依頼を聞いて雑貨屋トマトへ目指す。
「いらっしゃいませ~! あやさ~ん! いつもの人が来ましたよ~!
店の店員があやを大きな声で呼んだ。二階からあやが降りてきた。
「あ! こっち来て」
二階へ上がり,あやの部屋にはいる。
「お母さん暗殺の依頼??」
「そうなのよ。今回は貴族じゃなくて普通の人間らしいんだけど,いつも依頼をくれる伯爵にとって邪魔者らしいからお願い出来る?」
「分かったわ」
「ここに夜現れるように手配しているそうだからお願いね」
「了解。お父さんとの食事の日だから早めに片付けて行くようにするよ」
「じゃあお願いね!」
舞は店を出て場所で屋敷へと戻った。
「悠介!! 悠介!!」
「なんだよあや! うるさいな!」
あやは悠介の部屋に入り,寝てる悠介を起こす。
「お母さんから依頼が入ったよ」
「また? まあやるけど今回はどんな感じなの?」
あやが悠介に詳細を話す。
「なるほど! じゃあ今日のお父さんとの食事へと向かう途中でついでにその依頼をしていこうかな。夜だから丁度いいかな! じゃあ俺は寝るわ」
「また寝るの? まあいいけど……後で起こしにくるから」
あやは下に降りて,店の手伝いに出る。最近では店に何人もの従業員を雇って働いてもらっている。アル達や他の子供達は全員学校に行っている。昼過ぎに帰ってくるので,帰ってきたらお店の手伝いをしてもらっている。
元気になったレオナルドの奥さんカトリーヌも一緒になって店を手伝ってもらっている。
雑貨屋トマトとレオナルドの事を知らない人はいないほど,有名になっていた。
あやが作った様々なものが新しく素晴らしいものだったからという事も理由だがそれよりも,石鹸を普及させた事によって,病気や感染病などの予防になり,以前と比べて圧倒的に衛生的に良くなり,病気になったり,病気による死者が激減したのだった。
何故そうなのか? という概念はこの世界ではまだないが,トマトの石鹸を使うと病気にならないという噂が広まり,さらなる店の発展に貢献したのだった。
ここまで成長するのに,やっかみや妬み,嫌がらせなども沢山あったが,悠介の力,そしてあやが小さいからずっと通い続け莫大な寄付をしていた事によって宗教勢力が味方に付いてくれて盤石な体制を取る事が出来たのだった。
あやは店の手伝いをしていた。そのうちアルや他の子供達が学校から帰ってきた。
「おかえりアル」
「ただいまあや」
「「「ただいま~」」」
子供達は学校から戻ってくると店の手伝いを始める。
「あや,悠介は?」
「悠介ならまだ寝てるわよ!」
「またあいつずっと寝てるのか? あや~。悠介はあれでいいのか?」
「まあ仕方ないわね。悠介は悠介でウチらの為に仕事を他でしてもらってるから! そのせいだと思うからいいのよ。あまりに酷かったらウチから言うから」
「あやが良いならいいんだけども……」
お店にはひっきりなしにお客さんが訪れる。
気付いた時には閉店時間で夕方になっていた。
「「「ありがとうございました」」」
最後のお客さんを見送り,店を閉める。
「お疲れ様です」
「お疲れさん」
「じゃあレオナルドさんウチらはちょっと用事があるんで悠介と出掛けてきますね。後の事はお願いします」
「分かったよ」
「アルも頼んだわよ!!」
「うん分かってる」
あやは二階へ行き,悠介の部屋へ向かった。
「あら? 起きてたの?」
「うんさっき起きた」
「準備は出来てる??」
「出来てるよ!」
「じゃあ行きましょうか」
あやは悠介と店を出る。街の中心街へと向かっていく。辺りはだんだんと暗くなる。
賑やかな中心街では屋台と人で夜は賑わっている。人をかき分けて二人は進んでいく。
「依頼にあった場所ってのはここみたいね」
「ん?? ここなのか??」
二人は植えられた木の陰で顔を見合わせた。
「ここってウチら最初に倒れてた場所ね!」
「そういえばそうだな」
二人が依頼のターゲットを待っていると,見覚えのある人が前を通る。
「あれ? お母さんじゃん! どうしたの!?」
悠介が話しかける。
「あら? あやと悠介じゃない。今丁度お父さんの宿に向かっている所よ」
「そうなんだ僕達は丁度依頼のターゲット待ってた所なんだよ」
「おーーーい!! 皆なにしてんだーーー!?」
後ろから声が聞こえ,三人が振り向くとそこに哲治が現れた。
「皆こんな所で何やってるんだ?」
「お父さんこそどうしたんです?」
「ギルドの依頼で丁度この場所にターゲットがいるって」
「「「「!?!?!?」」」」
気付くと家族は取り囲まれていた。
「おいおいおい! まじかよ!」
哲治は真っ先に反応した。
周りを見ると,軍隊に聖騎士,さらにはギルドの冒険者,それもプラチナランク以上のパーティーが揃っていた。ランベルクやミケランド伯爵もそこに居た。
「悪いが全員ここで捕まってもらう。魔法で動けないようにした」
家族全員が本当に一歩も動けないでいるようだった。
「ランベルクさん……なんで?」
「まあそうだよな! 納得いかないよな! でも上からの命令で俺も聞くしかないのよ」
「あなた達はちょっとやりすぎたのがいけなかったんです」
ミケランド伯爵が話しだした。
「冒険者ブラックランクの哲治さん。あなたは悪人を退治しすぎたんです。世の中には必要悪というのが存在します。国を運営する上では必要な悪をも無くしすぎたんです。綺麗すぎる川では魚が育たないように,少し汚してやる存在ってのも必要なんです。哲治さんはその汚れすら綺麗にしてしまったのがいけなかったんです」
「舞さんは貴族を誘惑しすぎました。騙し, 誑かし,暗殺の仲介をし,人を暗殺していきました。国にとっては損でしかない人まで殺しの依頼を受けて,国は混乱しています。ドリアン公爵のお気に入りで誰も手が出せませんでした。しかし今日で終わりです」
「雑貨屋トマト。本当に素晴らしいと思います! 新しい商品を次々に作り,市民の皆さんの生活を豊かにしてくれました。ですが……独り占めは良くないですねぇ」
「貴族達の商売に多大な影響を与えてくれました。資金を調達出来なくなりました。それに宗教勢力にとてつもない金額が流れてる事も分かっています」
「宗教勢力に力を付けられると困るんですよ我々貴族は」
「そういう事らしい……俺がどうこう出来るレベルの話しじゃねえんだわ」
家族は手枷を付けられ,武器を取られて連行された。
頑丈な牢屋に全員閉じ込められた。中には何もなく,部屋の松明の灯りと,僅かな穴から月明かりが差し込むだけの牢屋だった。
家族達の前にランベルクが現れた。
「お前たちの処遇が決まった。朝一で全員処刑される事が決まった」
「…………悪い哲治」
「ランベルクさん! お世話になりました」
ランベルクはそう言い残し,部屋を出ていく。重苦しい扉が閉まる音が響き渡る。
「ウチらが何したって言うのよ!! 処刑だって?? ありえない!!」
あやが騒ぎ立てる。
「俺達にとっていい意味でも悪い意味でも法律がないっていう事だな!」
「なんでそんなに落ちついてるのよ!!」
「まあ座れってあや……逃げる事は絶対に不可能だ。きっとランベルクさんも俺達の事を見張ってると思う。俺でも勝てない相手だ! 脱獄なんて出来っこない」
あやは涙を流し,力が抜けたように座った。
「俺の名前……俺の名前は 服部正一。忍者服部家の末裔で俺自身も忍者だ」
「「「「!?!?」」」」
「急にどうしたんですか??」
「どうせ死ぬんだ! 最後くらい本当の事を話そうと思ってな。一応家族だったんだ。知っていてもいいだろう?」
「「「…………」」」
「服部ってあの有名な服部半蔵の?」
「ああそうだよ! あの服部家直系最後の末裔が俺だ」
「だからお父さん,あんなに強かったんだね」
「私は…… 神宮寺保奈美が本名よ」
「私はお父さんみたいな過去はないわ! ただの神宮寺真奈美」
「僕は悠介だ。ただの悠介」
「生まれた頃から施設で育って,各地を転々とした。名字も何回も変わってるから僕は悠介だよ」
「ウチは 櫻井彩が本名よ。医者の家系に生まれて,英才教育をずっとされていた。母も父も医者で医者になることを義務付けられて育てられた」
「医者になるなんてまっぴら御免だったね。だからウチは外に出た!」
「ハハハ!」
「なんで笑ってるんです?」
「本名すら知らなかったなと思ってな。結構長い付き合いなのに!!」
「そうですね。知らなかったですね」
「そういえば今日は一緒に食事する日だったな。最近皆どうなんだ?」
家族は普段正一が泊まっている宿屋で食事をする時みたいに自分達の近況などを話していた。他に周りの人間の事や面白かった出来事などを話した。
本当の自分の名前を語ったからなのか分からないが,本当の意味で腹を割って話せているようで話が盛り上がった。
今まで話さなかった事や思っていた事などを語り合った。元々いた日本での出来事や自分達の育ちやなどもいつの間にか皆で話していた。
気付くとすっかり明るくなっていた。暗かった牢屋も太陽の光が差し始めた。
「ハハハ! 本当かよそれ!」
「本当にそうなんだってば」
ドアが開く音が聞こえた。
聖騎士とランベルク,そしてミケランド伯爵が来た。
「なんだ? なんで笑ってるんだ哲治」
「え!? ああランベルクさんおはようございます! いや別に! 面白い話をしてたものですから。そのせいで」
「まあいい。執行される時間になった。今から連行し処刑する」
後ろから,神官のリストが現れた。
「皆さん最後に残す言葉や思いはありますか?」
「リストさん。神に言ってくれ! クソ喰らえってな!」
彩がリストに中指を立てて暴言を吐いた。
「あやさん……残念で仕方ありません。私が代わりに神に祈りましょう」
リストの祈りが終わり,牢屋の鍵が開き,家族は連行されていく。外に出ると,眩しい光が眼に入る。雲ひとつ無い,良い天気だった。
「今日はいい天気だな~」
「哲治,お前これから死ぬってのに呑気だな!」
「ランベルクさん死ぬ覚悟はいつでも出来ています。それに朝まで楽しかったですから」
家族は何故か微笑みを皆浮かべていた。
広い広場のような場所まで行くと,処刑台のギロチンが四台用意されていた。
「ギギギギギギギギギギギギッ」
ギロチンの刃が上がっていく音が聞こえる
手枷を付けられたまま,全員押さえつけられ,ギロチンに首を嵌めた。
数人の貴族と聖騎士,そしてランベルクとミケランド伯爵。リストが見ている。
一人の聖騎士が手を挙げる。
「なあ皆!!! 地獄で会おうぜ!!!」
聖騎士が勢いよく手を下げた。すると同時にギロチンの刃が落ちる。
全員の首が飛び散った。ここで彼らの人生は終わりを告げた。
「いただきます」
「「「いただきます」」」
食事の挨拶をした。何故か全員自分の首を 擦っている。全員がテーブルを囲って目を合わせていた。不思議そうな表情を浮かべていたが,皆は気にせず食事を始めた。
「正一さん醤油取ってもらえますか?」
「!?!?」
「なんで俺の本名知ってるんだ保奈美」
「あら? なんで私の本名を?」
「………………」
「保奈美,彩,悠介。今まで言わなかったが皆で本当の家族にならないか?」
~猟奇的な犯罪者家族の異世界渡航 END~
「よう人喰い!! 今日も人狩るのか??」
「ああそうだよ! 今日はランベルクさんに呼ばれてギルドに来たんだよ」
「依頼が終わったら,夜にでも一緒に酒飲もうぜ」
「わかったよ。じゃあまた後でな」
哲治はランベルクにギルドに呼ばれ,ギルドマスターの部屋へと向かう。
ノックをする。
「哲治か!? 入れ!」
「ランベルクさんどうも! 今日はどうしたんですか?」
「いやぁ~なお前に頼みたい依頼があってだな」
「え!? 嫌ですよ」
「そう言うなよ。久しぶりの人間相手の依頼だぞ?」
「え!? 本当ですか? それなら受けます」
「哲治のおかげで街が平和になったし,荷車を運ぶ道中にも盗賊が現れなくなって助かってるんだ。まあそのせいで哲治が受けたい依頼がほとんどなくなってるけどね」
「いつかはこんな事になるかなと思ってましたが,意外に早かったです」
「今回の依頼なんだが,つい最近出来た組織がターゲットだ。その組織は暗殺を請け負っているらしくてな,次々にこの国の貴族を暗殺しているんだよ。貴族の間で,そして王宮で大問題になってるんだが,実際に実行している暗殺者の討伐をお願いしたいんだ。頼めるかな?」
「分かりましたランベルクさん。任せて下さい! 依頼の詳細を教えてもらえますか?」
「実は今日裏で手を回して嘘の暗殺依頼を頼んだんだ。だから時間になれば現れるようにしてある。詳細はここに書いてある。後は頼んだぞ哲治」
「なるほどわかりました。現れるのは夜みたいですね。仕事まで時間あるんで武器の手入れでもしていきます」
「じゃあランベルクさんまた明日」
「ああ……また明日な!」
哲治は依頼を受けると,依頼の時間は夜なので,武器屋ローリエに行き,剣を磨いてもらうことにした。そして屋台や街を周り時間を潰した。
「舞さん,実は頼みたい暗殺があるんです……」
「ミケランド伯爵また依頼ですか? 今度はどんな貴族ですか?」
「今回は貴族じゃないんだ。とある人間をやってもらいたいんだ」
「そうなんですか? 詳細を教えてもらえますか?」
伯爵が言うには,貴族が資金を得るためにしている事業を片っ端から邪魔してくる人間がいるという。
「貴族が行っている商いや組織が次々に解体されてしまって困っているんだよ。だから問題となっている人間の暗殺を頼みたいんだ」
「なるほど……それは困りますね。分かりました! その依頼承ります」
「今夜その人間がここに現れるように手配しておいた。後はいつも通りで頼みます」
「分かりました」
舞は伯爵から依頼を聞いて雑貨屋トマトへ目指す。
「いらっしゃいませ~! あやさ~ん! いつもの人が来ましたよ~!
店の店員があやを大きな声で呼んだ。二階からあやが降りてきた。
「あ! こっち来て」
二階へ上がり,あやの部屋にはいる。
「お母さん暗殺の依頼??」
「そうなのよ。今回は貴族じゃなくて普通の人間らしいんだけど,いつも依頼をくれる伯爵にとって邪魔者らしいからお願い出来る?」
「分かったわ」
「ここに夜現れるように手配しているそうだからお願いね」
「了解。お父さんとの食事の日だから早めに片付けて行くようにするよ」
「じゃあお願いね!」
舞は店を出て場所で屋敷へと戻った。
「悠介!! 悠介!!」
「なんだよあや! うるさいな!」
あやは悠介の部屋に入り,寝てる悠介を起こす。
「お母さんから依頼が入ったよ」
「また? まあやるけど今回はどんな感じなの?」
あやが悠介に詳細を話す。
「なるほど! じゃあ今日のお父さんとの食事へと向かう途中でついでにその依頼をしていこうかな。夜だから丁度いいかな! じゃあ俺は寝るわ」
「また寝るの? まあいいけど……後で起こしにくるから」
あやは下に降りて,店の手伝いに出る。最近では店に何人もの従業員を雇って働いてもらっている。アル達や他の子供達は全員学校に行っている。昼過ぎに帰ってくるので,帰ってきたらお店の手伝いをしてもらっている。
元気になったレオナルドの奥さんカトリーヌも一緒になって店を手伝ってもらっている。
雑貨屋トマトとレオナルドの事を知らない人はいないほど,有名になっていた。
あやが作った様々なものが新しく素晴らしいものだったからという事も理由だがそれよりも,石鹸を普及させた事によって,病気や感染病などの予防になり,以前と比べて圧倒的に衛生的に良くなり,病気になったり,病気による死者が激減したのだった。
何故そうなのか? という概念はこの世界ではまだないが,トマトの石鹸を使うと病気にならないという噂が広まり,さらなる店の発展に貢献したのだった。
ここまで成長するのに,やっかみや妬み,嫌がらせなども沢山あったが,悠介の力,そしてあやが小さいからずっと通い続け莫大な寄付をしていた事によって宗教勢力が味方に付いてくれて盤石な体制を取る事が出来たのだった。
あやは店の手伝いをしていた。そのうちアルや他の子供達が学校から帰ってきた。
「おかえりアル」
「ただいまあや」
「「「ただいま~」」」
子供達は学校から戻ってくると店の手伝いを始める。
「あや,悠介は?」
「悠介ならまだ寝てるわよ!」
「またあいつずっと寝てるのか? あや~。悠介はあれでいいのか?」
「まあ仕方ないわね。悠介は悠介でウチらの為に仕事を他でしてもらってるから! そのせいだと思うからいいのよ。あまりに酷かったらウチから言うから」
「あやが良いならいいんだけども……」
お店にはひっきりなしにお客さんが訪れる。
気付いた時には閉店時間で夕方になっていた。
「「「ありがとうございました」」」
最後のお客さんを見送り,店を閉める。
「お疲れ様です」
「お疲れさん」
「じゃあレオナルドさんウチらはちょっと用事があるんで悠介と出掛けてきますね。後の事はお願いします」
「分かったよ」
「アルも頼んだわよ!!」
「うん分かってる」
あやは二階へ行き,悠介の部屋へ向かった。
「あら? 起きてたの?」
「うんさっき起きた」
「準備は出来てる??」
「出来てるよ!」
「じゃあ行きましょうか」
あやは悠介と店を出る。街の中心街へと向かっていく。辺りはだんだんと暗くなる。
賑やかな中心街では屋台と人で夜は賑わっている。人をかき分けて二人は進んでいく。
「依頼にあった場所ってのはここみたいね」
「ん?? ここなのか??」
二人は植えられた木の陰で顔を見合わせた。
「ここってウチら最初に倒れてた場所ね!」
「そういえばそうだな」
二人が依頼のターゲットを待っていると,見覚えのある人が前を通る。
「あれ? お母さんじゃん! どうしたの!?」
悠介が話しかける。
「あら? あやと悠介じゃない。今丁度お父さんの宿に向かっている所よ」
「そうなんだ僕達は丁度依頼のターゲット待ってた所なんだよ」
「おーーーい!! 皆なにしてんだーーー!?」
後ろから声が聞こえ,三人が振り向くとそこに哲治が現れた。
「皆こんな所で何やってるんだ?」
「お父さんこそどうしたんです?」
「ギルドの依頼で丁度この場所にターゲットがいるって」
「「「「!?!?!?」」」」
気付くと家族は取り囲まれていた。
「おいおいおい! まじかよ!」
哲治は真っ先に反応した。
周りを見ると,軍隊に聖騎士,さらにはギルドの冒険者,それもプラチナランク以上のパーティーが揃っていた。ランベルクやミケランド伯爵もそこに居た。
「悪いが全員ここで捕まってもらう。魔法で動けないようにした」
家族全員が本当に一歩も動けないでいるようだった。
「ランベルクさん……なんで?」
「まあそうだよな! 納得いかないよな! でも上からの命令で俺も聞くしかないのよ」
「あなた達はちょっとやりすぎたのがいけなかったんです」
ミケランド伯爵が話しだした。
「冒険者ブラックランクの哲治さん。あなたは悪人を退治しすぎたんです。世の中には必要悪というのが存在します。国を運営する上では必要な悪をも無くしすぎたんです。綺麗すぎる川では魚が育たないように,少し汚してやる存在ってのも必要なんです。哲治さんはその汚れすら綺麗にしてしまったのがいけなかったんです」
「舞さんは貴族を誘惑しすぎました。騙し, 誑かし,暗殺の仲介をし,人を暗殺していきました。国にとっては損でしかない人まで殺しの依頼を受けて,国は混乱しています。ドリアン公爵のお気に入りで誰も手が出せませんでした。しかし今日で終わりです」
「雑貨屋トマト。本当に素晴らしいと思います! 新しい商品を次々に作り,市民の皆さんの生活を豊かにしてくれました。ですが……独り占めは良くないですねぇ」
「貴族達の商売に多大な影響を与えてくれました。資金を調達出来なくなりました。それに宗教勢力にとてつもない金額が流れてる事も分かっています」
「宗教勢力に力を付けられると困るんですよ我々貴族は」
「そういう事らしい……俺がどうこう出来るレベルの話しじゃねえんだわ」
家族は手枷を付けられ,武器を取られて連行された。
頑丈な牢屋に全員閉じ込められた。中には何もなく,部屋の松明の灯りと,僅かな穴から月明かりが差し込むだけの牢屋だった。
家族達の前にランベルクが現れた。
「お前たちの処遇が決まった。朝一で全員処刑される事が決まった」
「…………悪い哲治」
「ランベルクさん! お世話になりました」
ランベルクはそう言い残し,部屋を出ていく。重苦しい扉が閉まる音が響き渡る。
「ウチらが何したって言うのよ!! 処刑だって?? ありえない!!」
あやが騒ぎ立てる。
「俺達にとっていい意味でも悪い意味でも法律がないっていう事だな!」
「なんでそんなに落ちついてるのよ!!」
「まあ座れってあや……逃げる事は絶対に不可能だ。きっとランベルクさんも俺達の事を見張ってると思う。俺でも勝てない相手だ! 脱獄なんて出来っこない」
あやは涙を流し,力が抜けたように座った。
「俺の名前……俺の名前は 服部正一。忍者服部家の末裔で俺自身も忍者だ」
「「「「!?!?」」」」
「急にどうしたんですか??」
「どうせ死ぬんだ! 最後くらい本当の事を話そうと思ってな。一応家族だったんだ。知っていてもいいだろう?」
「「「…………」」」
「服部ってあの有名な服部半蔵の?」
「ああそうだよ! あの服部家直系最後の末裔が俺だ」
「だからお父さん,あんなに強かったんだね」
「私は…… 神宮寺保奈美が本名よ」
「私はお父さんみたいな過去はないわ! ただの神宮寺真奈美」
「僕は悠介だ。ただの悠介」
「生まれた頃から施設で育って,各地を転々とした。名字も何回も変わってるから僕は悠介だよ」
「ウチは 櫻井彩が本名よ。医者の家系に生まれて,英才教育をずっとされていた。母も父も医者で医者になることを義務付けられて育てられた」
「医者になるなんてまっぴら御免だったね。だからウチは外に出た!」
「ハハハ!」
「なんで笑ってるんです?」
「本名すら知らなかったなと思ってな。結構長い付き合いなのに!!」
「そうですね。知らなかったですね」
「そういえば今日は一緒に食事する日だったな。最近皆どうなんだ?」
家族は普段正一が泊まっている宿屋で食事をする時みたいに自分達の近況などを話していた。他に周りの人間の事や面白かった出来事などを話した。
本当の自分の名前を語ったからなのか分からないが,本当の意味で腹を割って話せているようで話が盛り上がった。
今まで話さなかった事や思っていた事などを語り合った。元々いた日本での出来事や自分達の育ちやなどもいつの間にか皆で話していた。
気付くとすっかり明るくなっていた。暗かった牢屋も太陽の光が差し始めた。
「ハハハ! 本当かよそれ!」
「本当にそうなんだってば」
ドアが開く音が聞こえた。
聖騎士とランベルク,そしてミケランド伯爵が来た。
「なんだ? なんで笑ってるんだ哲治」
「え!? ああランベルクさんおはようございます! いや別に! 面白い話をしてたものですから。そのせいで」
「まあいい。執行される時間になった。今から連行し処刑する」
後ろから,神官のリストが現れた。
「皆さん最後に残す言葉や思いはありますか?」
「リストさん。神に言ってくれ! クソ喰らえってな!」
彩がリストに中指を立てて暴言を吐いた。
「あやさん……残念で仕方ありません。私が代わりに神に祈りましょう」
リストの祈りが終わり,牢屋の鍵が開き,家族は連行されていく。外に出ると,眩しい光が眼に入る。雲ひとつ無い,良い天気だった。
「今日はいい天気だな~」
「哲治,お前これから死ぬってのに呑気だな!」
「ランベルクさん死ぬ覚悟はいつでも出来ています。それに朝まで楽しかったですから」
家族は何故か微笑みを皆浮かべていた。
広い広場のような場所まで行くと,処刑台のギロチンが四台用意されていた。
「ギギギギギギギギギギギギッ」
ギロチンの刃が上がっていく音が聞こえる
手枷を付けられたまま,全員押さえつけられ,ギロチンに首を嵌めた。
数人の貴族と聖騎士,そしてランベルクとミケランド伯爵。リストが見ている。
一人の聖騎士が手を挙げる。
「なあ皆!!! 地獄で会おうぜ!!!」
聖騎士が勢いよく手を下げた。すると同時にギロチンの刃が落ちる。
全員の首が飛び散った。ここで彼らの人生は終わりを告げた。
「いただきます」
「「「いただきます」」」
食事の挨拶をした。何故か全員自分の首を 擦っている。全員がテーブルを囲って目を合わせていた。不思議そうな表情を浮かべていたが,皆は気にせず食事を始めた。
「正一さん醤油取ってもらえますか?」
「!?!?」
「なんで俺の本名知ってるんだ保奈美」
「あら? なんで私の本名を?」
「………………」
「保奈美,彩,悠介。今まで言わなかったが皆で本当の家族にならないか?」
~猟奇的な犯罪者家族の異世界渡航 END~
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旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
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9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
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