〜猟奇的な犯罪家族の異世界渡航〜

yuraaaaaaa

文字の大きさ
上 下
11 / 16

〜暗殺依頼とトマト開業〜

しおりを挟む
 家族で食事をする日を迎えた。
 家族全員が哲治の泊まっている宿ガイヤに集う。
 リリーとアンナ,モリウスが歓迎してくれた。

 沢山の食事が運ばれてくる。
 「たんと食べな!」
 アンナが話しかけてきた。

 「それじゃあ皆揃った事だし,いただきます」
 「「「いただきます」」」

 食事をしながら舞が話す。
 「あや,ちょっと頼みたい事があるんだけど?」
 「お母さんどうしたの?」

 「ドリアン侯爵って人の家族,奥さんと娘を殺して欲しいんだけど!?」
 「え? 侯爵?」
 「ええそうよ! 今はその人にお世話になってるんだけど,家族を殺してほしいの」

 「そうなの? 悠介はどう? いけそう?」

 「僕は何でも良いよ!」
 「じゃああや地図を見せてくれる?」
 あやはテーブルの上に地図を広げた。

 「ここの場所に本邸があるらしいからお願いしたいのよ」
 「わかった。僕に任しといて」
 「お願いするわね」

 「お父さん,ギルドでシャーキーズって組織を聞いたことない?」
 あやが哲治に話す。
 「今のところ聞いた事はないかな」

 「この街に住む悪い組織なんだけど,今後活動していく上で厄介そうだから,もし依頼とかあったら片付けてほしいなと思って……」
 「なるほどな! わかった。明日ギルドに聞いてみるよ」
 「お願いします」
 
 「んな,話しばっかしてないで,飯食べようぜ!!」
 悠介がみんなに言った。

 「そうだな悠介の言うとおりだな。とりあえずは食事を楽しむとしよう」
 「そうね」
 仕事の話しは止めて,ごく普通の家族のように,色々な話をする。

 「ごちそうさまでした」
 「「「ごちそうさまでした」」」
 家族はモリウスが作った沢山のご飯を平らげた。

 「じゃあまた来週に」
 「では」
 「じゃあねー」
 「じゃあ」

 家族は解散した。
 「あや~,あそこの料理美味しいよな! 僕らの店で作ったり出来ないかな?」
 「ウチら料理出来ないしね。ちょっと難しいかもね」
 「じゃあとりあえず僕は早速だけど,このままお母さんの仕事してくるわ」
 「え!? 今から行くの?」

 「ん!? ああ。早くに終わらせたいからね」
  颯爽さっそうと悠介は駆けて行った。

 あやは自分の店へと戻る。戻ると明日開店のお店の作業をレオナルドとアル,他の子供達がしていた。
 「あやお帰り! 悠介は?」

 「悠介はちょっと用事があって先に帰ってきた」
 「どうですか? 開店準備は」

 「もう終わるよ! 後は明日を迎えるだけだな」
 アルが笑顔で答える。

 「店の名前は本当にこれで良いのか? トマトって」
 「簡単で良いんです。皆が字を読める訳でもないですから,子供でも分かる位簡単でいいんです。それに店名は関係ないですから」

 「あやがそういうなら良いんだけどさ」
 「レオナルドさんしっかりしてください! 明日から店の店長で主なんですから」
 「わかってる」

 「ただいま~」
 悠介が帰ってきた。あちこちに血が付いていた。

 「おかえり」
 「悠介お前どうしたんだ? 大丈夫か?」
 レオナルドは悠介の姿を見て,持っていた荷物を落とした。

 「おっちゃん別に大丈夫だよ! それより明日の開店準備は大丈夫なの?」
 「もう終わるそうよ。特にもう手伝える事は無いんじゃないかしら?」
 「そっか! 僕はじゃあ井戸でちょっと身体を流してくるよ」
 悠介は庭にある井戸へと向かっていった。

 「あや,悠介は大丈夫なのか??」
 「別に平気よ」
 開店の準備も終わり,レオナルドは自宅に戻り,子供達は疲れて寝ていた。

 あやと悠介,アルの三人は二階のキッチンに集まっていた。
 窓から入るその明かりが部屋を照らし,三人は何故か会話もせず,椅子に座っていた。
 「そろそろ寝る? 明日こそ本当に忙しくなるし,早めに寝ないと」
 「そうだな! 俺は寝るよ」
 「僕はもうちょっとここにいるよ」
 「そう? じゃあおやすみ」
 「「おやすみ」」

 そして次の日を迎えた。朝起きて全員で顔を洗いに行く。キッチンで拙い料理を皆で作り出来栄えは良いとは言えないが,朝ごはんを食べた。
 そのうちレオナルド来て,開店の準備を始める。

 「お店にお客さん来るかな~??」
 子供達が不安そうに吐露した。

 「まあそんな簡単にいかないと思うけど,心配するなって! 皆あやの凄さは分かってるだろ? なんとかしてくれるさ」
 「そうだね! あや姉ちゃんは凄いもんね」
 「そうだろ? だから大丈夫だよ!」

 開店までもうそろそろだ。お店の商品としてあやが用意したのは,一つだけの商品に特化した。それは石鹸だった。様々な石鹸を用意はしたが石鹸だけだった。
 「あや! 石鹸なんて売れるのか??」
 悠介はあやに聞いた。

 「まあ見てなよ! そのうち分かるから」
 あやは説明はしなかった。

 いよいよ開店をした。
 すると次々にお客さんが訪れた。皆が石鹸をいくつも買う。
 「おお! いきなり凄いなあや」
 「ウチでも流石に驚いたけどね……」

 数日前,あやと悠介,そしてアルとレオナルドで人通りの多い場所へと向かった。
 そこに即席の出店を作り石鹸の魅力を道行く人達に無料体験してもらった。

 無料で出来るという事で,買い物に来ている人達や通りすがりの人達が沢山来てくれた。レオナルドは石鹸という商品の説明と効果を説明しながら体験してもらった。匂いがついた石鹸なども用意し,汚れも落ちて,いい匂いも漂わせてくれる不思議な商品を体験した人達に驚きの声を沢山もらった。

 休憩をする暇もなく,次々に人が訪れて売れていった。
 「レオナルドさん。ウチは教会に行くから後は任せていいですか?」
 「わかった。任せてくれ!」
 あやは教会に向かっていった。

 他に残されたアルと悠介,レオナルドと子供達は忙しく働いた。
 驚くことに昼間を過ぎた頃には全ての商品が売れきれてしまった。

 雑貨屋トマトの開店初日は大盛況で終わった。
 あやが教会から戻ってきた。

 「お帰りあや! 今ちょうどご飯が出来たから上で食べよう」
 「あれ? レオナルドさんが作ってくれたんですか?」
 「ん~俺じゃない! まあ一緒に食べよう」

 キッチンに向かうとそこにはレオナルドの娘のアンジーが居た。
 「アンジーじゃない。どうしたの??」
 「パパの仕事を手伝おうとして……」
 「朝俺の後を付いてきて,ここに居ることが分かったみたいで,入ってきたんだ。まあどうせバレちゃったならせっかくだしアンジーに食事でも作ってもらおうかなと」

 「そうだったんですか」
 テーブルの上には様々な種類の料理が所狭しと並べられていた。部屋中にいい匂いが包む。

 「アンジーはとっても料理が上手でな,そんな不味いものは作ってないと思うから」
 「不味いなんて酷いパパ」
 「ははは! 冗談よアンジーとっても美味しいさ」

 皆でテーブルに付いた。アンジーの料理を頂くことにした。
 「「「「「いただきます」」」」」

 一口料理を口に入れた瞬間,皆次々に料理を口に運んでいった。
 「美味しいですか??」
 「おいしいよアンジーありがとう!!」

 「とっても美味しいわ」
 「「「おいしい」」」

 皆アンジーの料理を気に入ったようだった。
 「あやにお願いしたい事があるんだけど?」
 「アンジーどうしたの??」
 「パパの仕事を手伝いたいの! お願い私にも何か手伝わせて」

 「んー……そうねぇ……」
 「いいじゃんあや! アンジー料理上手いし,料理人として雇いなよ!」
 「確かに料理出来るのは貴重よね。アンジーはそれでもいいの?」

 「うん! それでもいいからお願い」
 「わかった。それじゃあ毎日料理をお願いするね」
 「ありがとうあや! パパ私も頑張るね」
 「アンジーはもう頑張ってるさ」

 アンジーが店の料理番として通うことになった。
 雑貨屋トマトの一日目は大盛況で幕を閉じた。

  くる日も連日大盛況の雑貨屋トマト。
 開店前に並ぶ人が居るほどだった。

 あやの作戦と戦略が大いにはまったと言える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。 果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...