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〜美貌と魔性〜
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「おはようございます舞さん」
「あら! おはようアリエット。今日もいい天気ね!」
「はい」
専属についたメイドと挨拶を交わす。
「今日はドリアンさんが来る日よね?」
「はい。侯爵様がいらっしゃいます」
「わかったわありがとう」
舞は外へと出かける準備をし,出かけようとしていた。
「舞さんどちらにお出かけですか?」
「ヨハン,今日はドリアンさんが来るから,私が食事を作ろうと思って,食材を買いに行こうかと思っているのだけれど」
屋敷の執事,ヨハンと会話をする。
「それはそれは。では誰か一緒に行かせる者を」
「いやいいんですよ! 私自身も街を散策したいですから」
「わかりました。ではいってらっしゃいませ」
舞は屋敷を出て街へと出かける。食料売り場や八百屋のような屋台で食料を買い付ける。
屋敷からほとんど出たことがない舞にとって,異世界の街は刺激的なようで,色々と物色していた。しかしそれ以上に舞という存在が目立ち過ぎて,通る度に男達が振り返る。
それほどまでに舞の存在は目立つ存在だった。
舞は二人の男に絡まれる。
「お姉さん,これから俺達と遊ぼうぜ??」
「あら? どうして?」
すると横から執事のヨハンが現れて,二人の男を振り払った。
「あれ? ヨハンじゃないの? どうしたの?」
「いえ。実はこっそり付いてきてました。ドリアン侯爵様の客人に何かあってはいけませんので!」
「そうだったの。ごめんなさいね一人で出かけたいって言ったばっかりに」
「いえいえ。次一人で出かける時は隠して出かけるのが良いかと」
「そうね。次からはそうするわ!」
二人は屋敷へと戻った。
「ヨハンありがとう。それじゃあ厨房を少し借りるわね」
「わかりました」
舞は厨房に行き,手慣れた手付きで食材を調理していく。舞は料理が得意だった。いや! 学んだというのが正しいだろう。舞の凄い所は騙す為ならなんでもした,努力したという所だ。料理もその一つで,この美貌を持っているのに,料理も上手い。
侯爵の家という事もあってか,他にも多くの食材や調味料も多く,舞の居た世界の料理の再現も中々のクオリティで出来てきたようだった。デザートも作り,ドリアンの帰りを待った。
皆が慌ただしくなってるのが見て取れる。ドリアンが帰ってきたようだ。
舞は玄関に出迎えにいく。ドリアンが帰ってきた。
「「「おかえりなさいませ侯爵様」」」
「おかえりなさいドリアンさん」
「やあ,ただいま舞さん」
「ドリアン様,今日の食事は舞さんがお作られになりました」
「そうなんですか?」
「ええ。お世話になってますから,お口に合うかはわかりませんが,作ってみました」
「全員分作りましたので,良かったら皆さんも食べて下さい」
「それじゃあ早速食事にしようかな」
ドリアンは早足に部屋に向かう。
長いテーブルに座るドリアン。舞は自分の作った料理を振る舞う。
「ほう! これはいい匂いですね。初めて見ました。なんて料理なんですか?
「ビーフシチューという料理です。パンとご一緒に召し上がって下さい。それにサラダもご用意しました」
舞の用意したビーフシチューはとても豪華で,ロールキャベツもなんとビーフシチューの中に入っていた。
舞も一緒にドリアンと食事をする。
「おおお! なんて美味しいんだ。私は色々と美味しい食事を食べてきましたが,こんなに美味しい食事をした事がありません」
「お世辞がお上手でドリアンさん」
「いえいえ。本当ですよ舞さん!」
ドリアンは嬉しそうに食べていく。
「ドリアンさん。はしたないんですが,ちぎったパンを残ったシチューにこうやってつけるとこれも美味しいんですよ」
「ん~なるほど,少しやってみようかな」
「確かに。シチューとパンが相まって美味しいですな」
「ドリアンさんのお口に合ったようで良かったです」
「デザートも用意してますので」
舞はデザートにアップルパイを用意していた。舞が自分で切り分けて,ドリアンに振る舞う。
「これもまた美味しそうですね」
「どうぞ召し上がってください」
満足そう頬張っている。そのドリアンをみて微笑ましいような笑顔で答える舞。
全ての食事が終わった。
「舞さん食事どうもごちそうさまでした。とても美味しかったです!」
「満足してくれたようで,私も嬉しい限りです」
「ドリアンさんに少し頼み事があるんですが,よろしいですか?」
「ほう! なんですか??」
「実は字を学べるような本を二,三冊頂けないかと……」
舞は申し訳なさそうな表情でドリアンを見つめる。
「そんな事ですか?? この屋敷に書庫がありますから,好きなものを持っていっていいですよ!後でヨハンに選ばせましょう」
「ありがとうございますドリアンさん。それとですね,小さくても良いんですが,お店を開けるような物件を紹介して頂けないかと」
「お店ですか?」
「はい。ドリアンさんにずっとお世話になるわけにいきませんから,お店でも開いて自立していけたらと思ってまして,ドリアンさんならそういったつてがあるかものと」
「なるほど! でしたらご用意しますよ。家賃はいらないです安心して下さい。丁度小さい物件があるんです。そこを自由に使ってください」
「ありがとうござます」
舞は立ってドリアンに深々と頭を下げた。
「いえいえ! そんな大した事ではありませんよ。それよりもせっかくですからこの時間を楽しみましょう」
「ええ。お付き合いしますわ」
舞は話し上手で聞き上手だった。ドリアンはお酒を飲みながら饒舌に様々な事を舞に話した。どうやらドリアンは家族と上手くいっていないらしい。いつも仕事が忙しく,家族の相手をしたやれなかったからか,嫁も娘も冷たい態度が多くなっているという事だった。
他にも貴族同士で不仲な所が今は多く,内政も大変な事が多いという事を話していた。
ここに来るのは全ての事を忘れて息抜きをしたいからだとドリアンは話す。
酒に酔ったのか,ドリアンはテーブルで寝てしまった。
「ドリアン侯爵様をお部屋に私が運びますね。舞さんもそろそろお休みになられては?」
「そうですねヨハン。本と物件の事なんだけれども,明日までに用意してくださるかしら?」
「わかりました。それではおやすみなさいませ」
「おやすみ」
舞は部屋に戻り,横になった。
朝になり,ドリアンの事を皆でお見送りする。
「昨日はすまなかったね舞さん。途中で寝てしまって」
「いえ! またお待ちしておりますドリアンさん」
全員でドリアンを見送った。
「舞さん,昨日言われていた本です」
「ありがとうヨハン」
中身をパラパラと見ると絵本のようなものが二冊と,短編集のようなものが二冊,合計で四冊渡された。
「それと物件に関してですが,これから見に行こうと思いますが,いかがでしょうか?」
「そうね。早速行こうかしら!」
馬車を用意してもらい,物件を見に行った。
街の中心地にあるわけではなかったが,小さいとドリアンは言っていたが,店を開くには十分に広いと思える外観だった。
中に入ると埃が舞う。しかしそれ以外は特に問題がなさそうだった。掃除すればすぐにでも使えそうな物件だった。
二階建てになっていて,一階はお店に,二階は住めそうな施設と部屋があった。なんと二階にはキッチンも付いていた。庭は草でボーボーだったが,井戸まで付いていた。
「いかがですか?」
「こんな良い物件を無料で使ってしまっていいのかしら?」
「ドリアン様からしたら大した物件ではないでしょうから問題ないですよ」
「一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「なんです?」
「舞さんは何をお考えなんでしょうか?」
「それはどういう意味で?」
「私は公爵家の執事ですから,ある程度の様々な教育も修羅場も経験しております。しかし,舞さんに感じるのは敵意でもなければ,欲があるようにも見えません。私から見ても完璧に近い女性です! ですから何を考えているのかわからないのです」
「私は特に何も考えていませんよ。ただの田舎娘ですから」
「そうですか……」
「ではこの物件は好きに使ってよろしいので,一旦屋敷に戻りましょうか」
「ええ」
馬車に乗り屋敷へ向かう。途中で舞が声を出し,馬車を止める。
「ここで止めて,ヨハン歩いて帰ってもいいかしら?」
「でしたらこちらを。ドリアン様からです」
「これはなんですか?」
「魔法を貯める事が出来るアーティファクトで,ここにあるボタンを押すと見た目を変えてくれます。舞さんが一人で外に歩く時には役に立つと思います」
「私は魔法は使えませんけど,大丈夫なんですか?
「ええ,魔法がなくても使えます」
「どの位効果が持つものなんですか?」
「それに関してははっきりとわかりません。使ってると魔法が減っていくのは間違いないんですが,どの位の期間使えるのかはわかりません」
「そうなの? わかったわ! ありがとう」
早速舞は使ってみると,太ったおばさんへと姿を変えた。誰が見ても舞だとは気付かない。
「ではお気をつけて」
「ありがとう」
舞はその足でレオナルドの家へと目指した。
「ここがきっとそうよね」
ドアをノックする。
「すいませ~ん」
舞が呼びかけると,ドアが開きレオナルドが現れてた。
「あなたがレオナルドさん??」
「ん?? そうだが,おばさん誰だ??」
後ろから声がさらに聞こえた。
「おーーい!! レオナルドのおっちゃーーん!!」
あやと悠介も丁度現れた。
「レオナルドさんお客さんですか?」
「いや! 俺も知らない人なんだよ」
「あやと悠介じゃない!」
声を聞いて,二人は不思議な顔とハッとしたような顔をした。悠介はよく分かっていないような顔をしていたが,あやは何かを察してか,すぐに気が付いた。
「もしかして本持ってきてくれたの?」
「ええそうよ!! これあやに渡しとくわ!」
「ありがとう」
「それとあや地図見せてもらっていい?」
あやは地図を広げた。日に日に地図の書き込みの範囲と完成度が増していく。
「ここにある物件好きに使っていいそうよ。さっき見てきたけど,掃除すればかなり良い物件だったわよ!」
「好きに使っていいの?」
「ええ。無料で使っていいそうよ」
「本当に?? ありがとう!」
「じゃあ私は帰るわね」
舞は屋敷へと帰って行く。
「おかえりなさい舞さん」
舞は魔法を解く。
「ヨハンただいま。この魔法凄いわね! ありがとう」
「今度ドリアン様に言ってあげて下さい」
「そうするわね。これなら街の散策を一人で行っても問題なさそうだし良かったわ」
「食事の用意が出来ていますが,どうなさいますか?」
「先にお風呂に入らせてもらうわ」
舞の優雅な一日だった。
「あら! おはようアリエット。今日もいい天気ね!」
「はい」
専属についたメイドと挨拶を交わす。
「今日はドリアンさんが来る日よね?」
「はい。侯爵様がいらっしゃいます」
「わかったわありがとう」
舞は外へと出かける準備をし,出かけようとしていた。
「舞さんどちらにお出かけですか?」
「ヨハン,今日はドリアンさんが来るから,私が食事を作ろうと思って,食材を買いに行こうかと思っているのだけれど」
屋敷の執事,ヨハンと会話をする。
「それはそれは。では誰か一緒に行かせる者を」
「いやいいんですよ! 私自身も街を散策したいですから」
「わかりました。ではいってらっしゃいませ」
舞は屋敷を出て街へと出かける。食料売り場や八百屋のような屋台で食料を買い付ける。
屋敷からほとんど出たことがない舞にとって,異世界の街は刺激的なようで,色々と物色していた。しかしそれ以上に舞という存在が目立ち過ぎて,通る度に男達が振り返る。
それほどまでに舞の存在は目立つ存在だった。
舞は二人の男に絡まれる。
「お姉さん,これから俺達と遊ぼうぜ??」
「あら? どうして?」
すると横から執事のヨハンが現れて,二人の男を振り払った。
「あれ? ヨハンじゃないの? どうしたの?」
「いえ。実はこっそり付いてきてました。ドリアン侯爵様の客人に何かあってはいけませんので!」
「そうだったの。ごめんなさいね一人で出かけたいって言ったばっかりに」
「いえいえ。次一人で出かける時は隠して出かけるのが良いかと」
「そうね。次からはそうするわ!」
二人は屋敷へと戻った。
「ヨハンありがとう。それじゃあ厨房を少し借りるわね」
「わかりました」
舞は厨房に行き,手慣れた手付きで食材を調理していく。舞は料理が得意だった。いや! 学んだというのが正しいだろう。舞の凄い所は騙す為ならなんでもした,努力したという所だ。料理もその一つで,この美貌を持っているのに,料理も上手い。
侯爵の家という事もあってか,他にも多くの食材や調味料も多く,舞の居た世界の料理の再現も中々のクオリティで出来てきたようだった。デザートも作り,ドリアンの帰りを待った。
皆が慌ただしくなってるのが見て取れる。ドリアンが帰ってきたようだ。
舞は玄関に出迎えにいく。ドリアンが帰ってきた。
「「「おかえりなさいませ侯爵様」」」
「おかえりなさいドリアンさん」
「やあ,ただいま舞さん」
「ドリアン様,今日の食事は舞さんがお作られになりました」
「そうなんですか?」
「ええ。お世話になってますから,お口に合うかはわかりませんが,作ってみました」
「全員分作りましたので,良かったら皆さんも食べて下さい」
「それじゃあ早速食事にしようかな」
ドリアンは早足に部屋に向かう。
長いテーブルに座るドリアン。舞は自分の作った料理を振る舞う。
「ほう! これはいい匂いですね。初めて見ました。なんて料理なんですか?
「ビーフシチューという料理です。パンとご一緒に召し上がって下さい。それにサラダもご用意しました」
舞の用意したビーフシチューはとても豪華で,ロールキャベツもなんとビーフシチューの中に入っていた。
舞も一緒にドリアンと食事をする。
「おおお! なんて美味しいんだ。私は色々と美味しい食事を食べてきましたが,こんなに美味しい食事をした事がありません」
「お世辞がお上手でドリアンさん」
「いえいえ。本当ですよ舞さん!」
ドリアンは嬉しそうに食べていく。
「ドリアンさん。はしたないんですが,ちぎったパンを残ったシチューにこうやってつけるとこれも美味しいんですよ」
「ん~なるほど,少しやってみようかな」
「確かに。シチューとパンが相まって美味しいですな」
「ドリアンさんのお口に合ったようで良かったです」
「デザートも用意してますので」
舞はデザートにアップルパイを用意していた。舞が自分で切り分けて,ドリアンに振る舞う。
「これもまた美味しそうですね」
「どうぞ召し上がってください」
満足そう頬張っている。そのドリアンをみて微笑ましいような笑顔で答える舞。
全ての食事が終わった。
「舞さん食事どうもごちそうさまでした。とても美味しかったです!」
「満足してくれたようで,私も嬉しい限りです」
「ドリアンさんに少し頼み事があるんですが,よろしいですか?」
「ほう! なんですか??」
「実は字を学べるような本を二,三冊頂けないかと……」
舞は申し訳なさそうな表情でドリアンを見つめる。
「そんな事ですか?? この屋敷に書庫がありますから,好きなものを持っていっていいですよ!後でヨハンに選ばせましょう」
「ありがとうございますドリアンさん。それとですね,小さくても良いんですが,お店を開けるような物件を紹介して頂けないかと」
「お店ですか?」
「はい。ドリアンさんにずっとお世話になるわけにいきませんから,お店でも開いて自立していけたらと思ってまして,ドリアンさんならそういったつてがあるかものと」
「なるほど! でしたらご用意しますよ。家賃はいらないです安心して下さい。丁度小さい物件があるんです。そこを自由に使ってください」
「ありがとうござます」
舞は立ってドリアンに深々と頭を下げた。
「いえいえ! そんな大した事ではありませんよ。それよりもせっかくですからこの時間を楽しみましょう」
「ええ。お付き合いしますわ」
舞は話し上手で聞き上手だった。ドリアンはお酒を飲みながら饒舌に様々な事を舞に話した。どうやらドリアンは家族と上手くいっていないらしい。いつも仕事が忙しく,家族の相手をしたやれなかったからか,嫁も娘も冷たい態度が多くなっているという事だった。
他にも貴族同士で不仲な所が今は多く,内政も大変な事が多いという事を話していた。
ここに来るのは全ての事を忘れて息抜きをしたいからだとドリアンは話す。
酒に酔ったのか,ドリアンはテーブルで寝てしまった。
「ドリアン侯爵様をお部屋に私が運びますね。舞さんもそろそろお休みになられては?」
「そうですねヨハン。本と物件の事なんだけれども,明日までに用意してくださるかしら?」
「わかりました。それではおやすみなさいませ」
「おやすみ」
舞は部屋に戻り,横になった。
朝になり,ドリアンの事を皆でお見送りする。
「昨日はすまなかったね舞さん。途中で寝てしまって」
「いえ! またお待ちしておりますドリアンさん」
全員でドリアンを見送った。
「舞さん,昨日言われていた本です」
「ありがとうヨハン」
中身をパラパラと見ると絵本のようなものが二冊と,短編集のようなものが二冊,合計で四冊渡された。
「それと物件に関してですが,これから見に行こうと思いますが,いかがでしょうか?」
「そうね。早速行こうかしら!」
馬車を用意してもらい,物件を見に行った。
街の中心地にあるわけではなかったが,小さいとドリアンは言っていたが,店を開くには十分に広いと思える外観だった。
中に入ると埃が舞う。しかしそれ以外は特に問題がなさそうだった。掃除すればすぐにでも使えそうな物件だった。
二階建てになっていて,一階はお店に,二階は住めそうな施設と部屋があった。なんと二階にはキッチンも付いていた。庭は草でボーボーだったが,井戸まで付いていた。
「いかがですか?」
「こんな良い物件を無料で使ってしまっていいのかしら?」
「ドリアン様からしたら大した物件ではないでしょうから問題ないですよ」
「一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「なんです?」
「舞さんは何をお考えなんでしょうか?」
「それはどういう意味で?」
「私は公爵家の執事ですから,ある程度の様々な教育も修羅場も経験しております。しかし,舞さんに感じるのは敵意でもなければ,欲があるようにも見えません。私から見ても完璧に近い女性です! ですから何を考えているのかわからないのです」
「私は特に何も考えていませんよ。ただの田舎娘ですから」
「そうですか……」
「ではこの物件は好きに使ってよろしいので,一旦屋敷に戻りましょうか」
「ええ」
馬車に乗り屋敷へ向かう。途中で舞が声を出し,馬車を止める。
「ここで止めて,ヨハン歩いて帰ってもいいかしら?」
「でしたらこちらを。ドリアン様からです」
「これはなんですか?」
「魔法を貯める事が出来るアーティファクトで,ここにあるボタンを押すと見た目を変えてくれます。舞さんが一人で外に歩く時には役に立つと思います」
「私は魔法は使えませんけど,大丈夫なんですか?
「ええ,魔法がなくても使えます」
「どの位効果が持つものなんですか?」
「それに関してははっきりとわかりません。使ってると魔法が減っていくのは間違いないんですが,どの位の期間使えるのかはわかりません」
「そうなの? わかったわ! ありがとう」
早速舞は使ってみると,太ったおばさんへと姿を変えた。誰が見ても舞だとは気付かない。
「ではお気をつけて」
「ありがとう」
舞はその足でレオナルドの家へと目指した。
「ここがきっとそうよね」
ドアをノックする。
「すいませ~ん」
舞が呼びかけると,ドアが開きレオナルドが現れてた。
「あなたがレオナルドさん??」
「ん?? そうだが,おばさん誰だ??」
後ろから声がさらに聞こえた。
「おーーい!! レオナルドのおっちゃーーん!!」
あやと悠介も丁度現れた。
「レオナルドさんお客さんですか?」
「いや! 俺も知らない人なんだよ」
「あやと悠介じゃない!」
声を聞いて,二人は不思議な顔とハッとしたような顔をした。悠介はよく分かっていないような顔をしていたが,あやは何かを察してか,すぐに気が付いた。
「もしかして本持ってきてくれたの?」
「ええそうよ!! これあやに渡しとくわ!」
「ありがとう」
「それとあや地図見せてもらっていい?」
あやは地図を広げた。日に日に地図の書き込みの範囲と完成度が増していく。
「ここにある物件好きに使っていいそうよ。さっき見てきたけど,掃除すればかなり良い物件だったわよ!」
「好きに使っていいの?」
「ええ。無料で使っていいそうよ」
「本当に?? ありがとう!」
「じゃあ私は帰るわね」
舞は屋敷へと帰って行く。
「おかえりなさい舞さん」
舞は魔法を解く。
「ヨハンただいま。この魔法凄いわね! ありがとう」
「今度ドリアン様に言ってあげて下さい」
「そうするわね。これなら街の散策を一人で行っても問題なさそうだし良かったわ」
「食事の用意が出来ていますが,どうなさいますか?」
「先にお風呂に入らせてもらうわ」
舞の優雅な一日だった。
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