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第三章
望んだ野望
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「突撃ーーーー!」
俺達は合図と共に城に突撃していく。
先に見える城門が、重い音を立てながら開いていくのが見える。
リリア達はしっかり仕事をこなしたみたいだ。流石だ。
真っ先に、先頭切って城内に入った瞬間、俺は魔法を使った。
「時間停止《クロノタイム》」
俺以外の全ての時間が止まった。
馬で走る味方。逃げる人々。何かを叫んでいる敵兵。戦闘準備をする敵兵。城内のあちこちで火の手が上がっているが、その時間すら止まっている。
リリア達の仕業か……混乱を引き起こす為だろう。
ダガーを抜き取り、すれ違う人間を次々に殺していく。全く抵抗できない人間を、圧倒的な有利な立場から殺せる。アリをプチプチと踏み潰している時のような感覚だ。
「敵の大将はどこだ!?」
(真っ直ぐ進め……真っ直ぐ進んだ先に数多くの魔力を感じる)
「オッケー任せろ!」
馬のスピードを上げていき、真っ直ぐ進んでいく。広場らしき所が見えてきて、その場所には何百人と兵士が集まっていた。
「こいつらか!」
(きっとそうだね。一人だけ違う甲冑を着ているのが大将だろう)
「なるほど……なるほど!」
「いくぞーー!」
「「「おおおおお!」」」
停止していた時間を動かす。それまで止まっていた時間が動き出し、集まっていた兵士達は雄叫びを上げた。俺はそんな集まっている兵士達の目の前に姿を現す。
「誰だ貴様は!!」
その言葉は勿論、俺に向かって発せられた。
「さあ始めようか!」
俺は、兵士達に斬りかかっていく。
「うがぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃああああああ」
人間を次々に殺していく。相手も本気で俺を殺そうとしてくるが、俺の敵じゃない。
邪魔者はすぐに排除した。
「いつ斬りかかって来るかと思ってたけど、お前が大将??」
「そうだよ一応。君って――」
その一言さえ聞ければ十分だった。俺は時を止めてそいつの息の根を止めた。
魔法を解除し、仲間達の元へと戻る。
城内の混乱も相まって、辺境伯軍とアウル軍は次々に敵を殲滅していき、そう時間もかからずに城全体を占領した。
勝利を収めた辺境伯軍は大いに盛り上がりをみせる。そんな中アウグスト辺境伯は、この勢いを維持したまま、ベラトリア連合国の首都に攻撃を仕掛ける指示をだした。
休憩も挟まずにすぐに出発した軍は、たった三日で首都に到着した。
「明日首都を攻めます!」
辺境伯が軍議にて、そう指示を出した。
(意外だな……辺境伯ってもっと慎重な人かと思ってたけど)
(時には勢いも大事だという事を知っているんだよ。それに連合国は守りが強い国だからね。時間が経過すればするほど準備する期間が増えて相手に有利に働く。まだチグハグしていて混乱している中で攻めきろうとしているんだと思う)
「ですので、準備をお願いします! ジャン子爵は残って頂けますか?」
「はい」
他の人達は天幕を出ていく。
足音と周りから人の気配が消えると辺境伯が口を開く。
「攻めるとは言いましたが、子爵はどう思いますか? 率直な意見で構いません」
「悪くはないと思います。アウグスト辺境伯がどういった人物なのか。相手がよく分かっているからこそ、あえて出した作戦だと私は考えています。そうだとしても、基本的に戦いは守っている方が強く戦いやすいです。ましてや連合国が相手……長期戦になるかと」
「よく分かっています子爵。その通りです! ですが長期戦に耐えられる程の兵力も兵糧もありません。なので子爵に狩ってきて欲しいんですよ同じ様にね!」
「と言いますかと?」
「分かっているでしょう?」
辺境伯は手を刃物に見立てて、首にトントンッと。
「大勢の兵士達を倒せとは言いません。私達が全軍を使って囮になりますから、隊長や指示を出しているクラスの人間を排除していって下さい。そのうちに内部崩壊していきます! タイミングを見計らって最後に全軍で突入します」
「簡単に言ってくれますね。侵入して暗殺してこいって事ですよね?」
「その通りです」
ニタァと気持ち悪い笑顔を見せるアウグスト辺境伯。
「はぁ~。分かりましたやってみます!」
「よろしく頼みます」
(そんな事、簡単! 簡単!)
「簡単だろうね。今のユウタなら」
実際に侵入するのは簡単。俺とシャオの二人が首都へと忍び込んだ。
その後も全てが順調に事が進んだ。シャオと俺は隙があれば次々と隊長格を殺していった。
指揮系統を失った連合国軍は、簡単に混乱した。
俺は混乱に乗じて国王を殺すと、連合国側はあっけなく降伏。エリーゼが言っていた通り状況は一変した。
反対側のレオン達もダル公国を攻め落とし、全軍がフォルテラ王国にて合流を果たす。全軍によって攻める強さは、尋常ではなかった。
あれだけ手を焼いたフォルテラ王国の科学技術だったが、バルナ様やロベルタ、レオンの魔法で瞬殺だった。全てが無意味に喫していた。
そんな中でルイス国王……いやきっと、エリーゼからの指示が届いた。
『フォルテラ王国の王都には、城から外へと続く秘密の通路があり、その通路を使って直接城を占領しろ。場所は記載する』
書かれた場所には小さな村が。裏手にある森へと進むと、その場には似つかわしくない近代的な入り口が見えてきた。
その入り口を魔法でぶっ壊すと、地面の下へと続く道が現れ、進んでいった。
真っ直ぐで一本道。ダミーの道などはない。かなりの距離を歩いた。そう、丁度王都までの距離と同じ位に。
終着地点まで到達し、そこにあるドアを開けると教会に繋がっていた。王が住む城の敷地内にある教会だった。
それからはすぐだった。敷地内に侵入出来た俺達は、すぐに占領し王様も捉える事に成功した。王都の周りにはロア王国軍が待ち構えており、フォルテラ軍の逃げ道は一切なかった。
現状を察したフォルテラ王国軍の総大将であるナバーロは、王と共に降伏した。
そう。ナバーロはフォルテラ王国の人間だったのだ。
俺達は、ルイス国王と共にトドル帝国へとやってきた。
俺達は合図と共に城に突撃していく。
先に見える城門が、重い音を立てながら開いていくのが見える。
リリア達はしっかり仕事をこなしたみたいだ。流石だ。
真っ先に、先頭切って城内に入った瞬間、俺は魔法を使った。
「時間停止《クロノタイム》」
俺以外の全ての時間が止まった。
馬で走る味方。逃げる人々。何かを叫んでいる敵兵。戦闘準備をする敵兵。城内のあちこちで火の手が上がっているが、その時間すら止まっている。
リリア達の仕業か……混乱を引き起こす為だろう。
ダガーを抜き取り、すれ違う人間を次々に殺していく。全く抵抗できない人間を、圧倒的な有利な立場から殺せる。アリをプチプチと踏み潰している時のような感覚だ。
「敵の大将はどこだ!?」
(真っ直ぐ進め……真っ直ぐ進んだ先に数多くの魔力を感じる)
「オッケー任せろ!」
馬のスピードを上げていき、真っ直ぐ進んでいく。広場らしき所が見えてきて、その場所には何百人と兵士が集まっていた。
「こいつらか!」
(きっとそうだね。一人だけ違う甲冑を着ているのが大将だろう)
「なるほど……なるほど!」
「いくぞーー!」
「「「おおおおお!」」」
停止していた時間を動かす。それまで止まっていた時間が動き出し、集まっていた兵士達は雄叫びを上げた。俺はそんな集まっている兵士達の目の前に姿を現す。
「誰だ貴様は!!」
その言葉は勿論、俺に向かって発せられた。
「さあ始めようか!」
俺は、兵士達に斬りかかっていく。
「うがぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃああああああ」
人間を次々に殺していく。相手も本気で俺を殺そうとしてくるが、俺の敵じゃない。
邪魔者はすぐに排除した。
「いつ斬りかかって来るかと思ってたけど、お前が大将??」
「そうだよ一応。君って――」
その一言さえ聞ければ十分だった。俺は時を止めてそいつの息の根を止めた。
魔法を解除し、仲間達の元へと戻る。
城内の混乱も相まって、辺境伯軍とアウル軍は次々に敵を殲滅していき、そう時間もかからずに城全体を占領した。
勝利を収めた辺境伯軍は大いに盛り上がりをみせる。そんな中アウグスト辺境伯は、この勢いを維持したまま、ベラトリア連合国の首都に攻撃を仕掛ける指示をだした。
休憩も挟まずにすぐに出発した軍は、たった三日で首都に到着した。
「明日首都を攻めます!」
辺境伯が軍議にて、そう指示を出した。
(意外だな……辺境伯ってもっと慎重な人かと思ってたけど)
(時には勢いも大事だという事を知っているんだよ。それに連合国は守りが強い国だからね。時間が経過すればするほど準備する期間が増えて相手に有利に働く。まだチグハグしていて混乱している中で攻めきろうとしているんだと思う)
「ですので、準備をお願いします! ジャン子爵は残って頂けますか?」
「はい」
他の人達は天幕を出ていく。
足音と周りから人の気配が消えると辺境伯が口を開く。
「攻めるとは言いましたが、子爵はどう思いますか? 率直な意見で構いません」
「悪くはないと思います。アウグスト辺境伯がどういった人物なのか。相手がよく分かっているからこそ、あえて出した作戦だと私は考えています。そうだとしても、基本的に戦いは守っている方が強く戦いやすいです。ましてや連合国が相手……長期戦になるかと」
「よく分かっています子爵。その通りです! ですが長期戦に耐えられる程の兵力も兵糧もありません。なので子爵に狩ってきて欲しいんですよ同じ様にね!」
「と言いますかと?」
「分かっているでしょう?」
辺境伯は手を刃物に見立てて、首にトントンッと。
「大勢の兵士達を倒せとは言いません。私達が全軍を使って囮になりますから、隊長や指示を出しているクラスの人間を排除していって下さい。そのうちに内部崩壊していきます! タイミングを見計らって最後に全軍で突入します」
「簡単に言ってくれますね。侵入して暗殺してこいって事ですよね?」
「その通りです」
ニタァと気持ち悪い笑顔を見せるアウグスト辺境伯。
「はぁ~。分かりましたやってみます!」
「よろしく頼みます」
(そんな事、簡単! 簡単!)
「簡単だろうね。今のユウタなら」
実際に侵入するのは簡単。俺とシャオの二人が首都へと忍び込んだ。
その後も全てが順調に事が進んだ。シャオと俺は隙があれば次々と隊長格を殺していった。
指揮系統を失った連合国軍は、簡単に混乱した。
俺は混乱に乗じて国王を殺すと、連合国側はあっけなく降伏。エリーゼが言っていた通り状況は一変した。
反対側のレオン達もダル公国を攻め落とし、全軍がフォルテラ王国にて合流を果たす。全軍によって攻める強さは、尋常ではなかった。
あれだけ手を焼いたフォルテラ王国の科学技術だったが、バルナ様やロベルタ、レオンの魔法で瞬殺だった。全てが無意味に喫していた。
そんな中でルイス国王……いやきっと、エリーゼからの指示が届いた。
『フォルテラ王国の王都には、城から外へと続く秘密の通路があり、その通路を使って直接城を占領しろ。場所は記載する』
書かれた場所には小さな村が。裏手にある森へと進むと、その場には似つかわしくない近代的な入り口が見えてきた。
その入り口を魔法でぶっ壊すと、地面の下へと続く道が現れ、進んでいった。
真っ直ぐで一本道。ダミーの道などはない。かなりの距離を歩いた。そう、丁度王都までの距離と同じ位に。
終着地点まで到達し、そこにあるドアを開けると教会に繋がっていた。王が住む城の敷地内にある教会だった。
それからはすぐだった。敷地内に侵入出来た俺達は、すぐに占領し王様も捉える事に成功した。王都の周りにはロア王国軍が待ち構えており、フォルテラ軍の逃げ道は一切なかった。
現状を察したフォルテラ王国軍の総大将であるナバーロは、王と共に降伏した。
そう。ナバーロはフォルテラ王国の人間だったのだ。
俺達は、ルイス国王と共にトドル帝国へとやってきた。
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