小学6年生、同級生30人全員を殺した日本の歴史史上最凶最悪の少年殺人鬼が、異世界の12歳に乗り移り、異世界を駆ける!

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第三章

戦いには向かない場所

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 仲間の待つ陣地に戻ったジャンは、早速全員を呼び寄せる。

 「私達は、これからベラトリア連合国に向かって、アウグスト辺境伯を助けに行く。元々の作戦通りに動いていく。ベラトリア連合国を制圧した後、全軍でフォルテラ王国を攻める」
 「ヒック! そんな簡単にいくかね旦那~」

 「まあ上手くいくと思うよシャオ」
 「へぇ~旦那がそんな事を言うなんて、面白いものが見られそうだ!」
 「到着してからのお楽しみって事でシャオ」

 「私達はすぐに出発する準備を始めます」
 「そうだなジェイド。明日の早朝には出発しようと思っている」

 「ジャン君本当に行くの~? 僕帰りたいんだけど~。帰っちゃ駄目なのかな?」
 「帰ってもすぐに戦場の最前線に飛ばされますよ伯爵。ならまだここに居た方が安全ですよ?」

 「どっちみち戦わないといけないんじゃないかぁぁぁ……」
 ゲルテ伯爵は叫びながら外へと出ていった。

 「大丈夫なんですかね?」
 「ゲルテ伯爵はあんな事を言ってもちゃんと来てくれるから平気だよ。とにかく明日出発するからそれぞれ準備するように。解散!」

 解散し、予定通り早朝に出発した。
 七日間移動に費やし、連合国との戦場へと到着した。

 「オロオロオロオロ! ドクター! 見渡す限りの自然なんだじょー! 凄いじょー!」
 テディの言う通り、目の前に広がる広大な大森林。このピタリア大森林で辺境伯は戦っている。
 「とにかく辺境伯に会いに行こうか」

 先に行かせていた斥候の情報によって、場所は分かっている。
 辺境伯の陣に到着したが、どうやらいつもの様子とは違うようだ。辺境伯の兵士達は、勇ましく逞しい兵士の集まりなのだが、見るからに元気がない。疲弊していた。

 アウル軍を休ませ、ジャンは一人で辺境伯の下へと向かった。
 「失礼します」

 辺境伯のテントに入ったジャンは、一瞬動きが止まる。
 傷だらけの兵士と辺境伯がそこに居たからだ。あの辺境伯が片眼を怪我している。
 「お久しぶりですアウグスト辺境伯」
 「素晴らしいタイミングで助っ人に来ましたねジャン子爵。待っていました」

 「待っていたとは?」
 「あなた方の力が必要という事です」
 「戦況はどうなんですか?」
 「ケッケッケ。見ての通りです! 苦戦しています」

 辺境伯が、戦況を説明してくれた。
 この大森林に来るまでは、順調に攻めて余力も士気も十分だったそう。しかし大森林に入った途端、辺境伯軍が異常なスピードで大勢やられていった。

 ベラトリア連合国は守りが強い国。大森林に罠などが張られている事は折り込み済みだったが、それでも予想の出来ない攻撃に苦しめられているという。
 
 魔力を感じない遠距離からの攻撃に、昼夜問わずモグラのように穴から出てきて攻撃されて困り果てていた。大森林を燃やして焼け野原にする事も思いついて実行に移そうとしたが、勿論対策されていて、火が広がる事はなかった。

 大森林の中、大軍で移動する事は難しい。相手を見つけて視認する事もままならず、攻略の糸口が見つけられい日々を送っているそう。

 「完全に相手の術中にはまっているという事です。だからこそジャン子爵のような攻め手を待っていました。アウル軍はこういった場所での戦闘に長けていると思っています。ゲリラ戦ならロア王国の中で一番だと私は思っています」

 「私達にどう攻めて欲しいんですか?」
 「遠距離から攻撃してくる敵兵を始末して欲しいんですよ」
 
 「なるほどです……」
 (ユウタはどう思う?)
 (どう思うって? どう考えてもめんどくせぇ戦いに巻き込まれただろ。いや待て! ジャン! ちょっと試したい事が出来た。俺に任せろ)

 「その数が少なくなるだけで、私達も攻めやすくなります。お願い出来ますか?」
 「任せて下さいアウグスト辺境伯」
 「期待しています」
 ニタァと笑うアウグスト辺境伯に背を向けて、その場を後にする。

 楽しい楽しい狩りの時間が始まった。
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