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第三章
新たなる旅立ち
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ジャンは今、馬を走らせ王都へと向かっていた。
(なあ、そんなに急ぐ必要があるのか?)
「分からない……けど一人で来いだなんて普通は言わないから」
文書が届いたその日にジェイドとリリア、そしてベイルとヘレナを部屋に呼んだ。
一人で王都へ行く用事が出来た事を伝え、その間のダラムを頼む為だった。
事情を伝えたジャンは、すぐにダラムを出立し現在に至る。
数日馬を走らせ王都へと到着したジャンは、早速王城へと向かう。
「ジャン・アウル様ですね。国王から伺っています! 部屋に案内します」
衛兵に部屋を案内され、ジャンは中へ入る。
「ジャン待っていたよ。座ってくれ」
部屋には、ルイス国王とレオンの二人だけが居た。
「ルイス国王、ジャンまで呼んで私達に一体どんな話が?」
「そうだな……まずはこれを見てくれ」
テーブルに広げられた紙にはこんな文字が書かれていた。
『ロア王国の国王と話がしてみたい』
たったそれだけだった。
「一体誰からなんですか?」
「刻印にはトドル帝国の国印と、現帝王ベルナーレの名前も書かれていたんだ」
(トドル帝国ってどこにあるんだ? 初めて聞いたぞ)
(ここロア王国とは真反対に位置する国で、全く接点のない国だよ)
「偽物……ではないのですか?」
「皆も同じような反応だったよレオン……でも私は本物だと思っている」
「ルイス国王はどうしようとお考えなんですか?」
「んっ? そこで君らに来てもらったんだよジャン! 私はトドル帝国に行きたいと思っている」
「ちょ! 本気ですか!?」
レオンは立ち上がる。
「本気だよレオン。私が普通にトドル帝国に行きたいなんて言ったら却下されるだろう! なので三人で抜け出して行こうと」
「そんな事に私がすぐに賛同すると? 危な過ぎます! それにたった三人で行くなんて」
「そうするしか行く方法はないだろ?」
(全く話が見えないんだが??)
(大陸の反対に位置する国に行くんだ。つい最近まで戦争していた国のどれかを横断し、更にフォルテラ王国を横断した先にトドル帝国があるんだよ。そんな長い旅路をたった三人で行くってルイス国王が言い出しているんだ。レオンが怒るのも分かるでしょ?)
(ぶっ飛んだ事言ってんな~この王様は)
「そんな命懸けで行く事に意味があるのでしょうか? 行くだけではないんですよ? 帰って来ないと行けないんですよ?」
レオンのその言葉を聞いたルイス国王は窓の方へと歩き始め、外を見ながら話しだした。
「大陸統一で最も厄介な敵がトドル帝国だと私は思っているんだ。争い事を好まない国民性。にもかかわらず大きな戦争では負けた事がないという程度しか分かっていない謎が多い国。噂ではとんでもない強力な魔法を有し、魔法で動く人型のゴーレムなんかもあるとかないとか」
「今まで接点すら持った事がない国が、いきなり手紙を寄越してきたんだ。一つはハッキリ言って興味がある! トドル帝国に行ってみたいという気持ちだ。もう一つは……話がしてみたいと書かれていたんだ。上手くいけば接点を持つ事が出来るかもしれない。そして帝王ベルナーレと舌戦を交えてみたいと思ってしまったんだ」
「はぁ~。ルイス国王がそう言い出したら止まらないのを知っています。ジャンと私だけで本当に行くんですか?」
「ああ、勿論! 商人として他国に潜入するつもりだ。それに人数が多くなればなるほど動きづらくなるからな」
「ロベルタ様は誘わないんですか?」
「四人で行こうとも思ったが、ロベルタはあれでも女性だからな……道中多少なりとも気を使うだろ? しかし、男三人なら気をつかなくて済むと思ってな」
「後にバレたら怒りそうではないですか?」
「その時は、その時だな! 三人で怒られようじゃないか」
「近々出発するつもりなんですか?」
「そうだなぁ。二人がいいなら明日出立するつもりだ」
「それはまた急ですね本当に……」
「少しでも誰かに勘づかれたら行けなくなるからな」
「分かりました。しかし、一つ約束してもらえますか? トドル帝国までの道中、命の危機に直面した時は諦めて逃げ戻ると! そして最悪、ルイス国王だけでもロア王国に必ず戻って下さい」
「分かったレオン約束しよう」
パチンッ! と急にルイス国王は手を叩く。
「明朝、王都の門の前に集合だ! いいな? それとこれを先に渡しておく!」
渡されたのは服だった。
「これは?」
「変装する魔法を施してある服だ! 服に魔力を流すと顔が変わる」
「それじゃあ二人共よろしく頼んだぞ」
「「かしこまりました」」
ジャンとレオンの二人は部屋を出る。
「レオン様がまさか承諾するとは思いませんでした」
「ああなっては、止めても無駄な事はジャンも知っているでしょう?」
「ええ、まあ……そうですが」
「とにかく気を引き締めていきますよ。それではジャン明日に」
レオンとも別れてジャンは宿屋へと向かう。
「あ~! また面倒くさい事に巻き込まれているような気がするんだけど」
(俺は楽しみだけどな旅に出るって)
「ユウタは呑気だな! 考えても仕方がない。僕は明日に備えてもう寝るよ」
次の日の明朝。
「来たか」
門の前には、大きな荷馬車とルイス国王とレオンの姿が。
「ジャン遅いですよ?」
「揃ったことだし出発するぞ! それと顔を変えるのを忘れるなよ?」
三人が服に魔力を流すと、別人の顔と肌色に変わった。
「よし! それじゃあ出発!」
ルイス国王が元気に声を上げた。
「ジャンが一番遅かったので、御者お願いしますよ」
「分かりましたよ……」
「ああそうだそうだ! 二人共敬語は禁止な! 国王呼びも禁止だ! バレるからな!」
「じゃあお言葉に甘えてルイスって呼ぶよ」
「ジャンもだぞ!? いいな!?」
「わ、分かったよルイス」
「私達はあくまで商人って肩書で動くからな!」
眩しい朝日に照らされながら、三人は王都を出発した。
(なあ、そんなに急ぐ必要があるのか?)
「分からない……けど一人で来いだなんて普通は言わないから」
文書が届いたその日にジェイドとリリア、そしてベイルとヘレナを部屋に呼んだ。
一人で王都へ行く用事が出来た事を伝え、その間のダラムを頼む為だった。
事情を伝えたジャンは、すぐにダラムを出立し現在に至る。
数日馬を走らせ王都へと到着したジャンは、早速王城へと向かう。
「ジャン・アウル様ですね。国王から伺っています! 部屋に案内します」
衛兵に部屋を案内され、ジャンは中へ入る。
「ジャン待っていたよ。座ってくれ」
部屋には、ルイス国王とレオンの二人だけが居た。
「ルイス国王、ジャンまで呼んで私達に一体どんな話が?」
「そうだな……まずはこれを見てくれ」
テーブルに広げられた紙にはこんな文字が書かれていた。
『ロア王国の国王と話がしてみたい』
たったそれだけだった。
「一体誰からなんですか?」
「刻印にはトドル帝国の国印と、現帝王ベルナーレの名前も書かれていたんだ」
(トドル帝国ってどこにあるんだ? 初めて聞いたぞ)
(ここロア王国とは真反対に位置する国で、全く接点のない国だよ)
「偽物……ではないのですか?」
「皆も同じような反応だったよレオン……でも私は本物だと思っている」
「ルイス国王はどうしようとお考えなんですか?」
「んっ? そこで君らに来てもらったんだよジャン! 私はトドル帝国に行きたいと思っている」
「ちょ! 本気ですか!?」
レオンは立ち上がる。
「本気だよレオン。私が普通にトドル帝国に行きたいなんて言ったら却下されるだろう! なので三人で抜け出して行こうと」
「そんな事に私がすぐに賛同すると? 危な過ぎます! それにたった三人で行くなんて」
「そうするしか行く方法はないだろ?」
(全く話が見えないんだが??)
(大陸の反対に位置する国に行くんだ。つい最近まで戦争していた国のどれかを横断し、更にフォルテラ王国を横断した先にトドル帝国があるんだよ。そんな長い旅路をたった三人で行くってルイス国王が言い出しているんだ。レオンが怒るのも分かるでしょ?)
(ぶっ飛んだ事言ってんな~この王様は)
「そんな命懸けで行く事に意味があるのでしょうか? 行くだけではないんですよ? 帰って来ないと行けないんですよ?」
レオンのその言葉を聞いたルイス国王は窓の方へと歩き始め、外を見ながら話しだした。
「大陸統一で最も厄介な敵がトドル帝国だと私は思っているんだ。争い事を好まない国民性。にもかかわらず大きな戦争では負けた事がないという程度しか分かっていない謎が多い国。噂ではとんでもない強力な魔法を有し、魔法で動く人型のゴーレムなんかもあるとかないとか」
「今まで接点すら持った事がない国が、いきなり手紙を寄越してきたんだ。一つはハッキリ言って興味がある! トドル帝国に行ってみたいという気持ちだ。もう一つは……話がしてみたいと書かれていたんだ。上手くいけば接点を持つ事が出来るかもしれない。そして帝王ベルナーレと舌戦を交えてみたいと思ってしまったんだ」
「はぁ~。ルイス国王がそう言い出したら止まらないのを知っています。ジャンと私だけで本当に行くんですか?」
「ああ、勿論! 商人として他国に潜入するつもりだ。それに人数が多くなればなるほど動きづらくなるからな」
「ロベルタ様は誘わないんですか?」
「四人で行こうとも思ったが、ロベルタはあれでも女性だからな……道中多少なりとも気を使うだろ? しかし、男三人なら気をつかなくて済むと思ってな」
「後にバレたら怒りそうではないですか?」
「その時は、その時だな! 三人で怒られようじゃないか」
「近々出発するつもりなんですか?」
「そうだなぁ。二人がいいなら明日出立するつもりだ」
「それはまた急ですね本当に……」
「少しでも誰かに勘づかれたら行けなくなるからな」
「分かりました。しかし、一つ約束してもらえますか? トドル帝国までの道中、命の危機に直面した時は諦めて逃げ戻ると! そして最悪、ルイス国王だけでもロア王国に必ず戻って下さい」
「分かったレオン約束しよう」
パチンッ! と急にルイス国王は手を叩く。
「明朝、王都の門の前に集合だ! いいな? それとこれを先に渡しておく!」
渡されたのは服だった。
「これは?」
「変装する魔法を施してある服だ! 服に魔力を流すと顔が変わる」
「それじゃあ二人共よろしく頼んだぞ」
「「かしこまりました」」
ジャンとレオンの二人は部屋を出る。
「レオン様がまさか承諾するとは思いませんでした」
「ああなっては、止めても無駄な事はジャンも知っているでしょう?」
「ええ、まあ……そうですが」
「とにかく気を引き締めていきますよ。それではジャン明日に」
レオンとも別れてジャンは宿屋へと向かう。
「あ~! また面倒くさい事に巻き込まれているような気がするんだけど」
(俺は楽しみだけどな旅に出るって)
「ユウタは呑気だな! 考えても仕方がない。僕は明日に備えてもう寝るよ」
次の日の明朝。
「来たか」
門の前には、大きな荷馬車とルイス国王とレオンの姿が。
「ジャン遅いですよ?」
「揃ったことだし出発するぞ! それと顔を変えるのを忘れるなよ?」
三人が服に魔力を流すと、別人の顔と肌色に変わった。
「よし! それじゃあ出発!」
ルイス国王が元気に声を上げた。
「ジャンが一番遅かったので、御者お願いしますよ」
「分かりましたよ……」
「ああそうだそうだ! 二人共敬語は禁止な! 国王呼びも禁止だ! バレるからな!」
「じゃあお言葉に甘えてルイスって呼ぶよ」
「ジャンもだぞ!? いいな!?」
「わ、分かったよルイス」
「私達はあくまで商人って肩書で動くからな!」
眩しい朝日に照らされながら、三人は王都を出発した。
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