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第二章
秘密の場所
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声に振り向くと、そこにはルイス国王が。
「ルイス!? なんで来たのよ!」
ロベルタが声を上げる。
「お前馬鹿かロベルタ! 名前呼ぶなよ!」
「ハッハッハ! そうかそうか! そいつがロア王国のルイス王か。偽物ではなさそうだな」
「お前達に聞きたい。ここがどうして分かった?」
ルイス国王が男に質問を投げかける。
「大した事じゃない。たまたまだよ! あっという間にルイス国王が殺されたって情報が俺達に入ってきた。仮にも神童と言われているような一国の王様がそんな簡単にやられるのか? って思ってな。俺達はずっと王城を見張ってたんだよ。何か動きがあると思ってな!」
「そしたら目の前にお前ら二人がやってきて、そこそこ腕のある刺客を倒しちまった。こいつらに付いて行ったらルイス国王に会えるんじゃないかと思って付いて来たら案の定居たってだけだよ」
(ユウタ……付けられてる気配とかあった?)
(いや、全くそんな気配は感じられなかった)
「ジャンとロベルタがそんな簡単に付けられるようなヘマはしない。つまりはお前達が相当な手練れって事だけは分かった」
ルイス国王はそう言いながら腰から剣を抜いた。
「ルイス国王!! お逃げください!!」
シスターが叫ぶ。
「私は臆病な王になりたくはない! 命は大切だが、ここで引くような王に覇道が成せるとは到底思えない!」
ルイス国王は、力強く言葉を発した。
「いいのかい? そんな事言って。本当に死んだら全てが終わりだぜ?」
「姿を見せた時点で、お前らが逃がすなんて事しないだろ? どっちみち戦うしかない。シスターは、子供達を連れて避難してくれ」
「わ……かりました」
「それじゃあそろそろやろうか?」
男が肩をグルグルと回し始めた。
一瞬空気が緩む。
その隙を見逃さなかった。
俺は踏み込み、一番油断していた男の首を刎ねた。
首が宙を舞い、床に落ち、まるで歪んだボールのようにゴロゴロと転がった。
「これで三対三だな!」
「へぇ~お前やるな~! お前が一番面倒くさそうな相手だな。おい! こいつは俺がやるから他の二人を抑えてろ!」
「「へい」」
他の男二人が、ロベルタとルイス国王に襲いかかる。
「さあ、始めるか!」
俺に向かってきた。
男の攻撃は、全て急所を突いた良い攻撃だった。
スピードも威力も申し分ない。経験も豊富そうでかなり手強い。
だけど、不思議と何故か負ける気がしなかった。
敵の攻撃に対して反撃出来る余裕もなかったが、頭は冷静で落ち着いていた。
攻撃を躱しながら、ロベルタとルイス国王の様子を窺う。
二人の相手も相当な手練れのようだが、目の前の男程ではない。
こいつを始末すれば事なきを得るだろう。
俺の中で徐々に滾ってきた。
ここ最近の殺しは、まさに仕事で人を殺してきていた。
自分の欲求が満たされていく感覚はなかった。
しかし、目の前にいる男は殺したい!
その欲求に駆られた俺は、勝手に笑みが溢れる。
ユラユラと体を動かしながら反撃に出る。
「もたろうさん。ももたろうさん。お腰につけたきびだんご、ひとつ私にくださいな」
「や~りましょう。やりましょう。これから鬼の征伐に、ついていくならやりましょう」
「い~きましょう。いきましょう。あなたについてどこまでも、家来になっていきましょう」
「そ~りゃ進め。そりゃ進め。一度に攻めて攻めやぶり、つぶしてしまえ鬼ヶ島」
「お~もしろい。おもしろい。残らず鬼を攻めふせて、ぶんどりものをエンヤラヤ」
「バーンバンザイ。バンバンザイ。おともの犬や猿キジは、いさんでくるまをエンヤラヤ」
唄い終わる頃には、男は地べたに這いつくばり、俺はその上に座っていた。
「お前みたいな奴がいるなんて……全く……俺はとんでもない人生のタイミングで貧乏くじを引いちまったらしいな! ククク。大人しく帰っておけば良かったぜ」
「じゃあな」
そう言って男の首をダガーで掻っ切った。
俺は立ち上がって二人の戦いを見る。
(助けに入らないの?)
「まあ大丈夫だろ! 本当に危なかったら助けに入るから安心しろ。それよりもルイス国王の実力を見てみたい。今までちゃんと見た事がなかったろ? せっかくだから見ておきたい」
(王様の実力が見たいって……どんな貴族だよ全く……)
「まあいいじゃんか! ルイス国王なら許してくれるよ」
「おーい!!」
大きな声を出す。
「危なくなったら手貸すからー! それまで心置きなく戦ってくれ!」
「あんたルイスの方を手伝いなさいよ!!」
「ルイス国王って強いんだろ? なら大丈夫だって」
「ハハハ! そういうならジャンの期待に出来るだけ応えよう!」
ルイス国王は、自分の体の前に剣を構えると、呪文を唱え始めた。
バチバチバチッ!
とけたたましい音と共に、剣にイカヅチが纏わり付く。
「へぇ~。あんな事も出来るのか!」
その剣を使って斬りかかっていく。
相手は、自分の武器でルイス国王の攻撃を受け止める。
受け止めた武器はイカヅチによって溶けていき、ルイス国王の剣はそのまま相手を斬り裂く。
断末魔のような叫び声が響き、口から煙が立ち込め、相手は丸焦げになって倒れた。
ルイス国王は剣をしまいながらこちらに向かってくる。
「どうだった? ジャンの期待通りだった?」
「クックック! 何だよ! しっかり強いじゃんかルイス国王! 後はロベルタか」
ロベルタの戦いはまだ続いていた。
「おーい! ロベルター! 早くしろー!」
「うっさいわね!」
つばぜり合いをしているロベルタは、相手を押し込むとバックステップで距離を取った。
ロベルタが手のひらを広げて左手を前に出す。
すると手の前に巨大な魔法陣が現れた。
『インフェルノディメンション』
「あっつ!!」
ロベルタの手からは、全てを巻き込み燃やし尽くす大きさと範囲の業火が放たれた。
敵は一瞬にして骨だけになり、さらに教会の壁も焼き尽くされてしまって外が見えていた。
「なあロベルタ……流石にやりすぎじゃね!?」
「……この戦争が終わったら直すわよちゃんと!」
「本当かよ!?」
「ホーク家の名にかけて約束するわよ」
「それで、これからどうするんだ?」
「戦った事で目立ってしまった可能性も大いにある。それにシスターや子供達にも迷惑がかかってしまうなら、ここを離れたい。だが、行くあてがない事も確かだ」
(確かではないんだけど、隠れられる場所があるかもしれない)
(なんだよ! そんな場所があるなら早く言えよ!)
「ルイス国王。もしかしたら隠れられる場所を一か所だけ知っています。ただ……確証はありません」
「そんな場所知っているのかジャン。ならその場所へ向かおうか」
「どこでもいいから流石にもう休みたいわ」
三人は、ジャンが言うその場所へと向かって行った。
「ルイス!? なんで来たのよ!」
ロベルタが声を上げる。
「お前馬鹿かロベルタ! 名前呼ぶなよ!」
「ハッハッハ! そうかそうか! そいつがロア王国のルイス王か。偽物ではなさそうだな」
「お前達に聞きたい。ここがどうして分かった?」
ルイス国王が男に質問を投げかける。
「大した事じゃない。たまたまだよ! あっという間にルイス国王が殺されたって情報が俺達に入ってきた。仮にも神童と言われているような一国の王様がそんな簡単にやられるのか? って思ってな。俺達はずっと王城を見張ってたんだよ。何か動きがあると思ってな!」
「そしたら目の前にお前ら二人がやってきて、そこそこ腕のある刺客を倒しちまった。こいつらに付いて行ったらルイス国王に会えるんじゃないかと思って付いて来たら案の定居たってだけだよ」
(ユウタ……付けられてる気配とかあった?)
(いや、全くそんな気配は感じられなかった)
「ジャンとロベルタがそんな簡単に付けられるようなヘマはしない。つまりはお前達が相当な手練れって事だけは分かった」
ルイス国王はそう言いながら腰から剣を抜いた。
「ルイス国王!! お逃げください!!」
シスターが叫ぶ。
「私は臆病な王になりたくはない! 命は大切だが、ここで引くような王に覇道が成せるとは到底思えない!」
ルイス国王は、力強く言葉を発した。
「いいのかい? そんな事言って。本当に死んだら全てが終わりだぜ?」
「姿を見せた時点で、お前らが逃がすなんて事しないだろ? どっちみち戦うしかない。シスターは、子供達を連れて避難してくれ」
「わ……かりました」
「それじゃあそろそろやろうか?」
男が肩をグルグルと回し始めた。
一瞬空気が緩む。
その隙を見逃さなかった。
俺は踏み込み、一番油断していた男の首を刎ねた。
首が宙を舞い、床に落ち、まるで歪んだボールのようにゴロゴロと転がった。
「これで三対三だな!」
「へぇ~お前やるな~! お前が一番面倒くさそうな相手だな。おい! こいつは俺がやるから他の二人を抑えてろ!」
「「へい」」
他の男二人が、ロベルタとルイス国王に襲いかかる。
「さあ、始めるか!」
俺に向かってきた。
男の攻撃は、全て急所を突いた良い攻撃だった。
スピードも威力も申し分ない。経験も豊富そうでかなり手強い。
だけど、不思議と何故か負ける気がしなかった。
敵の攻撃に対して反撃出来る余裕もなかったが、頭は冷静で落ち着いていた。
攻撃を躱しながら、ロベルタとルイス国王の様子を窺う。
二人の相手も相当な手練れのようだが、目の前の男程ではない。
こいつを始末すれば事なきを得るだろう。
俺の中で徐々に滾ってきた。
ここ最近の殺しは、まさに仕事で人を殺してきていた。
自分の欲求が満たされていく感覚はなかった。
しかし、目の前にいる男は殺したい!
その欲求に駆られた俺は、勝手に笑みが溢れる。
ユラユラと体を動かしながら反撃に出る。
「もたろうさん。ももたろうさん。お腰につけたきびだんご、ひとつ私にくださいな」
「や~りましょう。やりましょう。これから鬼の征伐に、ついていくならやりましょう」
「い~きましょう。いきましょう。あなたについてどこまでも、家来になっていきましょう」
「そ~りゃ進め。そりゃ進め。一度に攻めて攻めやぶり、つぶしてしまえ鬼ヶ島」
「お~もしろい。おもしろい。残らず鬼を攻めふせて、ぶんどりものをエンヤラヤ」
「バーンバンザイ。バンバンザイ。おともの犬や猿キジは、いさんでくるまをエンヤラヤ」
唄い終わる頃には、男は地べたに這いつくばり、俺はその上に座っていた。
「お前みたいな奴がいるなんて……全く……俺はとんでもない人生のタイミングで貧乏くじを引いちまったらしいな! ククク。大人しく帰っておけば良かったぜ」
「じゃあな」
そう言って男の首をダガーで掻っ切った。
俺は立ち上がって二人の戦いを見る。
(助けに入らないの?)
「まあ大丈夫だろ! 本当に危なかったら助けに入るから安心しろ。それよりもルイス国王の実力を見てみたい。今までちゃんと見た事がなかったろ? せっかくだから見ておきたい」
(王様の実力が見たいって……どんな貴族だよ全く……)
「まあいいじゃんか! ルイス国王なら許してくれるよ」
「おーい!!」
大きな声を出す。
「危なくなったら手貸すからー! それまで心置きなく戦ってくれ!」
「あんたルイスの方を手伝いなさいよ!!」
「ルイス国王って強いんだろ? なら大丈夫だって」
「ハハハ! そういうならジャンの期待に出来るだけ応えよう!」
ルイス国王は、自分の体の前に剣を構えると、呪文を唱え始めた。
バチバチバチッ!
とけたたましい音と共に、剣にイカヅチが纏わり付く。
「へぇ~。あんな事も出来るのか!」
その剣を使って斬りかかっていく。
相手は、自分の武器でルイス国王の攻撃を受け止める。
受け止めた武器はイカヅチによって溶けていき、ルイス国王の剣はそのまま相手を斬り裂く。
断末魔のような叫び声が響き、口から煙が立ち込め、相手は丸焦げになって倒れた。
ルイス国王は剣をしまいながらこちらに向かってくる。
「どうだった? ジャンの期待通りだった?」
「クックック! 何だよ! しっかり強いじゃんかルイス国王! 後はロベルタか」
ロベルタの戦いはまだ続いていた。
「おーい! ロベルター! 早くしろー!」
「うっさいわね!」
つばぜり合いをしているロベルタは、相手を押し込むとバックステップで距離を取った。
ロベルタが手のひらを広げて左手を前に出す。
すると手の前に巨大な魔法陣が現れた。
『インフェルノディメンション』
「あっつ!!」
ロベルタの手からは、全てを巻き込み燃やし尽くす大きさと範囲の業火が放たれた。
敵は一瞬にして骨だけになり、さらに教会の壁も焼き尽くされてしまって外が見えていた。
「なあロベルタ……流石にやりすぎじゃね!?」
「……この戦争が終わったら直すわよちゃんと!」
「本当かよ!?」
「ホーク家の名にかけて約束するわよ」
「それで、これからどうするんだ?」
「戦った事で目立ってしまった可能性も大いにある。それにシスターや子供達にも迷惑がかかってしまうなら、ここを離れたい。だが、行くあてがない事も確かだ」
(確かではないんだけど、隠れられる場所があるかもしれない)
(なんだよ! そんな場所があるなら早く言えよ!)
「ルイス国王。もしかしたら隠れられる場所を一か所だけ知っています。ただ……確証はありません」
「そんな場所知っているのかジャン。ならその場所へ向かおうか」
「どこでもいいから流石にもう休みたいわ」
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