小学6年生、同級生30人全員を殺した日本の歴史史上最凶最悪の少年殺人鬼が、異世界の12歳に乗り移り、異世界を駆ける!

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第二章

突然の自覚と成長

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 目の前にいるコリーと言う名の男。
 長い黒髪を後ろで縛り、綺麗なポニーテールが特徴的だ。

 歳は俺より少し上といった位だろう。
 先程からの余裕のある態度、不意打ちへの対処を見る限り決して弱くない。

 そう、決して弱くない……。
 俺は縄跳びをするかのように軽く、トントンっと飛んでみせた。

 「なんだよ!? 攻撃してこないのか?」
 「コリーとか言ったか? お前から来いよ! 俺が先に攻撃したら、お前の攻撃見る前に殺しちまいそうだからな」

 「ハッハッハ。お前凄い自信だな! 俺の事知らないだろ? 後悔しても知らないぞ!」
 コリーは俺に斬りかかってきた。

 俺は剣の軌道を完全に見切りって、指が一本入るかというギリギリで避ける。
 空を切ったコリーが目を見開く。

 そして俺の方を見た瞬間、俺から距離を取った。

 「へぇ~。少しはやるようだな!」
 俺は驚いていた。

 一体何に?
 急激な成長にだ。自分自身で驚く程、強くなっている。

 何か新しい戦い方を学んだ訳でもなければ、新たな魔法が使えるようになった訳でもない。体が成長した事で今までよりも強くなったという事ではない。

 でも確実に分かった事がある。
 目が確実に良くなった。

 筋肉が付けば前よりも強くなったと実感しやすい。
 速さもそうだ。スピードが上がれば前より成長したと分かるものだ。

 しかし、目が良くなったというのはあまりにも分かりづらい。
 ただ俺は、コリーの攻撃を避けた瞬間気が付いた。

 以前よりも動きが細部まで見える事に。切っ先まではっきり見えていた。
 そして、限りなく最小限で避けられる確信があった。
 俺は仮面の中で笑みを溢す。

 「クックック! お前って最高に運が悪いな!」
 「あ!? それはお前だろ!? ここで俺達に会ったんだからよ!」
 
 コリーは再び俺に斬りかかってくる。
 決して遅い攻撃ではない。むしろ早いと言える。

 だがどういった攻撃を俺に仕掛けてきて、どういった軌道を描くのかはっきり見えていた。
 ダガーの切っ先を使い、軌道を少しだけ変えてやる。

 軌道を変えられたコリーの剣は、壁に突き刺さった。

 (ユウタ一体何があったの!? 戦い方が前と違う!?)
 (色々と試したい事があるんだが、コイツじゃ弱すぎて練習にもならねぇ)
 (弱い? コリーが?)

 バリーン!!
 部屋の中でガラスが割れる音がした。

 一瞬部屋を見ると、ロベルタ達の姿が消えていた。
 「よそ見なんて余裕だな。そんなに一緒に居た女が心配か? サリーが相手なら、あの女は終わりだよ!」

 「ゴチャゴチャうるせーよ! お前今まで負けた事がないだろ!?」
 「負けた事? 負けたら俺はここにいねーよ!」

 「じゃあ今日、敗北と死ってやつを俺が教えてやるよ」
 「あっ!?」
 
 「はい一回目!」
 俺はコリーが気付けない程のスピードを使ってコリーの背後に移動し、ダガーを首元につける。

 首筋からツーと血が垂れた。

 コリーが俺と距離を取る。
 先程とは明らかに顔付きが変わった。

 「本気で来いよ!」

 スピードが上がった攻撃をコリーが仕掛けて来るが、俺は軽やかに躱していく。
 不意を突いて何度も何度も首元の皮一枚分だけダガーで斬り裂いた。
 コリーの首が傷だらけになっていく。

 「なんだがかわいそうだから治してやるよ」
 回復魔法を使って傷を治してやった。

 (ユウタ、余裕なのはいいけど早く始末してルイス国王を探しに行かないと……)
 (そうだな分かった)

 「本当はもっと遊んでやりたいが、一瞬でケリつけさせてもらう。最後に言い残す事あるか?」

 「ハッハッハ! クソ喰らえ!」
 コリーは、左手の中指を俺に向かって立ててきた。
 
 刹那……。




 コリーの首が宙を舞う。
 「ふぅ~」
 深く息を吐いた。


 「さ~てロベルタはどうなってるかな?」
 俺は部屋へと入り、割れた窓に近づいて外を見る。
 
 二人は中庭で激しく戦っていた。

 (ユウタ助けに入らないの?)
 「馬鹿か! そんな事したら、後でロベルタに色々文句言われそうだろ?」

 (確かに……)
 「だろ!? それにしてもサリーって奴意外にやるなぁ。ロベルタと互角に渡り合っているぞ」
 (ルイス国王の命を狙っている刺客でしょ? 弱い訳はないよね)
 「まあそうだな……それよりも」

 「おーいロベルタ!! 早く片付けろよ!!」
 二階の窓から大きい声でロベルタを煽る。

 ロベルタはチラッとこちらを見た。
 その隙をサリーに狙われる。

 「うわ~。なんか後で言われそうだな」

 見ている限り使っていなかった炎魔法を、ロベルタは使い始めた。
 勝負は一瞬だった。

 剣技も凄まじいロベルタが、同時に魔法で使い始めたらたまったもんじゃない。
 魔法を使えると思っていなかったか、急な魔法攻撃にサリーの対処が遅れる。

 その隙をロベルタは見逃さなかった。
 魔法を使いながら距離を詰め、最後は剣でサリーにとどめを刺した。

 勝負が決まった事を見届けて俺は窓から飛び降りて、ロベルタに近づいていく。

 「へい! やったなロベルタ!」
 俺は景気良くハイタッチしようとしたが、完全にスルーされた。

 「ジャンが早く終わるなんて思わなかったわ。相手強かったでしょ?」
 「サリーの方が強いとか言ってたぞ」
 「そうなの? とにかくお互いほとんど被害がなかったから良かったわ」
 
 「それよりこれからどうすんだ? 一体何処にルイス国王居るんだ?」
 「……」
 沈黙が流れる。


 「もしかしたらだけど……思い当たる場所が一か所だけあるわ」
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