小学6年生、同級生30人全員を殺した日本の歴史史上最凶最悪の少年殺人鬼が、異世界の12歳に乗り移り、異世界を駆ける!

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復活、そして

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 「なんだ!? なんだ!?」
 急な出来事に、寝ていた他の者達も目を覚まし起き上がる。

 「ジャン様ーー!」
 「主様ーー!」
 すぐに駆けつけてくれたジェイドとリリアは、朝方にもかかわらずいつでも出陣出来る恰好をしていた。

 「おはようジェイドとリリア……それよりも今のは何だったんだ?」
 「分かりません」

 (凄い魔力を感じるんだけど)
 (えっ!? どこ?)
 (ロベルタ達がいる辺りかな……)

 ロベルタのテントがある方角で歓声が聞こえた。
 俺はすぐに駆け出していく。

 「ジェイドとリリア付いて来い」
 「「はっ」」
 ダル公国の襲撃にあったのではないかと思い、急いで向かう。

 到着すると兵士達が輪を作り、中央にはロベルタと巨大な男が大きな声で笑っていた。
 「ガハハハ、ガハハハ!」

 その男には見覚えがあった。
 ロベルタの父親、バルナ・ホークだった。

 「なんだよ……魔法で封印されちまったんじゃなかったのかよ」
 (とにかく事情を聞いてみよう)
 人をかき分けて中心へと向かう。

 「おいロベルタ! これは一体どういう事なんだよ!」
 俺の言葉にロベルタとバルナが振り向く。

 ドシッ! ドシッ! ドシッ!
 巨大な体格のバルナが鼻息荒くこっちに向かってくる。
 俺の目の前に立ち、腕を組む。

 「ふん!!」
 バルナは鼻を鳴らした。
 「お前がジャン・アウルか!?」

 ひと目見て、今の俺では絶対に勝てないと思わせる圧力があった。
 「そ、そうだけど?」

 「ガッハッハ! そうかそうか!」
 高笑いをしながら俺の両肩をバシバシと強く叩く。

 「俺の娘が世話になったみたいだな!」
 「別に、大した事はしてませんよ。それよりもどうやって封印の魔法から出てきたんですか?」

 「ああ、あれか? 内側から魔力を放出し続けていたら破壊する事が出来たわ! ガッハッハ! ちと時間かかっちまったがな!」

 (いやいやいや……なんだそれ……力技過ぎるだろ!)
 (流石はバルナ様だね……)


 「俺がいない間ロベルタと部下達、そしてジャン子爵が頑張って踏ん張ってくれたようで感謝している」
 バルナはジャンに頭を下げた。

 「頭をお上げくださいバルナ様! 私は当たり前の事をしただけです。本当にご無事で何よりです! バルナ様が戻ってきた事で、この戦いも優位に運べましょう」

 「まさにその通りだ! 今日一気に攻撃に打って出るぞ! 戦の準備しろ!」

 「「「おおーーーーー!!」」」
 兵士達が大きな声で返事をする。
 今までが嘘のように活気と士気が戻り、まさに別人、全く違う部隊に生まれ変わった。

 「ジャン子爵もしっかり準備をしてくれ! 始まったら一気に行くぞ」
 「かしこまりました!」

 「戻って準備を始めるぞ!」
 「「はっ!」」
 自分達の陣に戻ったジャン達は、いつでも突撃出来るだけの準備をすぐに整えた。

 そして戦が開始される時。
 「さあ、始めようか! 今日は全軍で突っ込むつもりらしいからな! 気合い入れろ!」
 「「「おおおお!!」」」
 「アイアイサー!」

 開始直後に馬に乗って先頭を切って突撃していく人物が。
 バルナだった。

 「遅れるなー!! 俺達も行くぞー!!」
 アウル軍も全軍で進んでいく。

 「あのおっさん総大将のくせして先頭を走るのかよ!」
 (そういう戦い方をする人だからね)
 
 バルナは、敵陣に向かって走りながら拳を前に突き出し、何発かパンチを放つ。
 その拳の先から拳大の炎の玉が放たれ、凄い勢いでダル公国のゴーレムの方へ向かっていく。

 ゴーレムに当たった瞬間、爆弾が落とされたのか思うほど強烈に爆発し、ダル公国のゴーレム達が木っ端微塵になった。

 「おいおい! なんだよあれ!」
 (きっと高魔力を超圧縮した炎魔法の玉だよ)

 「敵にしたら最悪だけど、味方なら最高だな! よっしゃ行くぞー!」
 「「「おおおおおおおお」」」

 全軍でなだれ込むように攻め込んでいく。
 バルナの攻撃力と突破力は凄まじく、ダル公国は一切止める事が出来なかった。

 あっという間に敵の本陣まで制圧してしまった。

 「バルナ様、この人物が今回の総大将なんですか?」
 「一応そうらしい。名前はガルスパー」

 (こんな弱そうな奴が総大将? 本当かよ!)
 「……」
 占領した敵の本陣、総大将のいたテントに今、俺達はいる。
 ガルスパーは、手足を縛られ地べたに座らせられていた。

 「シッシッシ! 流石はロア王国のバルナだな! まさか封印の魔法を解くなんてな。こんなに早くに解けるとは思わなかったけどな」
 「俺を本当に封印したかったら、あの程度じゃ駄目だな!」
 
 「あれでも四人が一年間貯めた魔力を使ったんだけどな。まあ今となってはどうでもいいか。俺はこの後どうなるんだ? どうせ死ぬんだろ? ならちょっとでもお前らが苦悶に満ちた表情を見てから死んでやる! シッシッシ! シッシッシ!」
 
 気持ちの悪い笑い方をしながら、縛られた足をばたつかせるガルスパー。

 「いいか? 俺達同盟軍の目的はなんだと思ってんだ? おい! そこの髪の毛が白いお前! どう思う?」
 「ロア王国への侵攻と滅亡でしょ?」
 ガルスパーに聞かれた問いにジャンは答えた。

 「シッシッシ! シッシッシ! ロア王国からしたらそう見えるよな。いや、そう見えるように仕向けていったという表現の方が正しい。どうせもう決着が付いているだろうから教えといてやるよ。同盟軍の本当の目的はロア王国への侵攻ではない。ロア王国の新国王、ルイスの抹殺が本当の目的だ。ロア王国を滅亡させるなんて、はなから考えてもいない」

 ガルスパーの急な爆弾発言に、その場の空気が一気に変わる。

「貴様! 一体何を言っている!」
 バルナがガルスパーの首元を掴み、締め上げた。

 「シッシッシ! 悪くない表情だ! この戦が始まって何日だ? 今頃は、海からロア王国に入り込んだ別部隊の猛者達にルイス国王はやられてるだろうよ」

 その発言を聞いてバルナは更に締める。
 ガルスパーの顔が青紫色になっていく。

 「お父様!! 死んじゃうわ!!」
 ロベルタの声にバルナは手を離す。

 地面に落ちたガルスパーは咳き込む。
 「ゲホッ! ゲホッ! シッシッシ!」

 「聞いてもいいか?」
 「白髪の兄ちゃん、なんだい?」

 「これだけ大掛かりな戦を仕掛けて、たった一人の人間が狙いだというのか?」
 「シッシッシ。そういう事だ! ルイスが殺されたらロア王国の国力は一気に落ちるだろ? 俺達はそれを求めてるのさ」

 「ジャン! あなたこんな奴の言うことを信じるっていうの!? どう考えたって嘘言っているに決まってるじゃない! それにルイスは、簡単にやられるような奴じゃないわ!」

 (ジャンはこいつの言っている事、どう思うんだ?)
 (分からない……でも、ルイス国王一人を本気で狙っているのであれば、今までの時間稼ぎのような戦い方にも納得がいく)

 「ホラホラ! さっきまでの元気は皆さんどこにいったのかな? シッシッシ!」
 ロベルタが剣を抜いて切っ先をガルスパーに向けた。

 「今すぐにあなたの首を斬っても構わないのよ!?」
 「そいつはどうかな?」
 ガルスパーはニコッと笑う。

 「あなたもさっき言っていたでしょ!? どうせ死ぬからと!」
 「シッシッシ! シッシッシ! 本当に死ぬのはお前達かもしれないぞ!?」
 
 突然ガルスパーの体から煙が吹き出した。
 「シッシッシ! また会いましょう皆さん!」

 まさに煙のようにガルスパーの姿が消えていた。
 「あいつどうやって逃げたのよ!」
 「きっと魔法で創り出した分身だと思いますロベルタ様」

 「ジャンあなた、そんな事分かるの?」
 「消えた事でやっと分かった程度ですが」
 「ガルスパーって野郎、相当な魔法使いである事は間違いなさそうだな」

 「バルナ様ーー!! バルナ様ーー!!」
 息を切らした兵士が、テントに駆け込んできた。

 「どうした!?」
 「ダル公国の新手がやってきました! 今まで戦っていたゴーレムよりも倍以上大きなゴーレムを引き連れてるとの事です!」

 「ここまでが奇妙な程簡単だったからな。これからが本番って事か! ガルスパーの本体も来てるかもしれないな」

 「全軍、戦の準備しろ! 皆にもすぐに伝えろ!」
 「はっ!」

 報告に来た兵士は、慌ててテントを飛び出していく。
 「ロベルタとジャン子爵も戦闘の準備をもらえるか」
 「分かったわお父様」
 「……」

 「バルナ様! 一ついいでしょうか?」
 「なんだ?」

 「私を王都に行かせて下さい!!」
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