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第二章
事故と危険は唐突に
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「誰だ!?」
俺は堂々と正面から攻め入る。
誰だと聞かれて、いちいち答えるかよ馬鹿が!
俺は体勢を低くくし、走り出す。
兵士の足元まで瞬時に近づくと、ダガーで首元を掻っ切った。
滝が流れる綺麗な森の中で、シャワーのように血が吹き出す。
「主様に続けーー」
リリア達も剣を振る。
次々と兵士達を殺していき、すぐに制圧した。
「心配なんかいらなかっただろ? 人数もこっちの方が多いんだ大丈夫だろ」
「主様! 怪我はありませんか?」
「平気だよ!」
「この後はどう動けばいいのでしょう?」
(それでジャン。食料庫はどこにあるんだ?)
(滝の後ろに隠れてるはずだよ)
「滝の後ろ? まあ行ってみるか! リリア付いて来い」
「はっ!」
滝が流れる後ろへと回ってみる。
そこにはただの岩壁が見えるだけだった。
(ユウタ、壁に手を当てて魔力を流してみて?)
「魔力? 分かった」
俺はジャンの言う通り壁に魔力を流すと、壁かと思った場所から奥へと続く道が現れた。
「これは隠し通路ですね。この奥にあるのですね」
「まあそうだろうな。よし行こうか」
「かしこまりました」
壁の中へと入っていく。
中は石で出来た通路、両脇には松明を灯されていた。
「急にこんな場所を用意するなんて難しいです。この戦はかなり前、数年前から考えられていたのかも知れませんね」
「そうかもしれないな」
慎重に奥へと進んでいく。
しばらく進むと開けた場所に出た。
かなり広い空間で、体育館コート四面を超える程の広さ。
壁や天井がキラキラと輝き、昼間のように明るく、目の前に大きな木箱や樽が積み重なっていた。
「まさしく食料庫ですねここは……」
「だろうな。それにしてもやけに静かだな」
歩きながら辺りを見渡していると、急に気配を感じ、上を見た。
天井付近から落ちながらかかと落としをしてくる人間が。
俺は瞬時にバックステップで避ける。
ドカーンッ!
爆発音と共に地面に突き刺さったかかとは、硬い地面に大きな窪みを作った。
「ヒック! へぇ~ヒック! 今の避けるんだ」
その男は立ち上がると、こちらを見ながらフラフラしている。
右手に持った瓢箪を口につけるとグビグビと勢いよく呑出す。
「ここにいるのはお前だけか?」
「あぁ? そうだよオロオロオロオロ」
男は前かがみになって吐き出した。
チャンスだと思った俺は、攻撃を繰り出すために全力で男目掛けて飛び込んだ。
こちらに気付いていうちに仕留める!
「オロオロオロオロオロオロオロオロ」
体を捻り、前かがみになっている男の首を刎ねようとダガーを振る。
キーン!
金属音が鳴り響く。
俺の事をまったく見ていないのにもかかわらず、左手一本で止められた。
すぐに後ろに飛んで距離を取った。
「なんでこんな奴がいるんだよ……」
「オロオロオロオロ。そんな焦るなって! 吐くなんて勿体ない事しちまったな」
口を拭いなが男は顔を上げる。
ひゃっくりを繰り返す男の顔を赤く、こっちにまで酒のニオイが漂っていた。
体格の良い男は、両手には篭手を嵌め、足には脛当を身に着けている。
「一人だけなら皆で囲んで仕留めましょう主様」
「やめろリリア!! 誰も手を出すな!! 死ぬぞ!! 俺がやる!!」
リリア達を止める俺。
今までに出会ってきた中で一番危険な相手だと俺の直感が言っていた。
(わりぃジャン。ここで死ぬかもしれないけどいいか?)
(そんな相手なの? 分かったよ……僕も覚悟を決めるから好きに戦っていいよ)
「それじゃあやろうか」
相手の出方を見たり、様子見など一切しない。
全力で攻撃を繰り出す。
俺の全開での攻撃を難なく捌く酔っ払った男。
「ヒック。ヒック。お前結構強いなぁ~」
男は喋りながら攻撃を受けて避ける。
正直勝てる気が一切していなかった。
どうすれば上手く逃げられるのか?
いや、逃げる事すら不可能だと直感的に分かっていた。
今目の前にいるこの男を殺さない限り、俺達は戻る事が出来ない。
刹那……。
男の姿が目の前で消えた。
背中から強い衝撃が走り、俺は膝をつく。
後ろを振り向くと男が俺を見下し、十本の指には血が付いていた。
そして再びかかと落としをするモーションに入っている。
両手を交差し、かかと落としを俺は受け止めた。
その衝撃は全身を駆け巡り、両腕は折れ、膝が割れた。
余りの痛さに、食いしばっていた歯が欠ける。
回復魔法を使い、自分で自分の傷を治す。
すぐに立ち上がると距離を取る。
「ハァハァハァハァ」
(ユウタ気をつけて! 相手は魔法を使っているよ)
「クソが……何の魔法だよ……」
視線の先で、また男が消えた。
気付くと顎を下から殴られ、そのまま顔面を蹴られ壁まで吹き飛ばされた。
「主様ーーー!!」
リリアの叫ぶ声が俺の耳に届く。
「うぇ~ヒック。ヒック。お前らってロア王国の人間だろ? 誰にも見つかるはずがないって言うから引き受けた仕事だったのに、見つかってるじゃねえかよ全く。まあ酒呑みながら出来る仕事なんてそうそうないからな。やる事はやるけどよぉ~ヒック……」
「クックック。クックック」
俺は笑った。トントンと跳ねて身体を確かめる。
どうやら平気なようだった。
シューー。
深く息を吐いた。
俺はゆらゆらと動き出して男に近づいていく。
「も~もたろうさん。ももたろうさん。お腰につけたきびだんご、ひとつ私にくださいな」
シュパシュパシュパ!
「お! さっきと動きが変わったな……」
「や~りましょう。やりましょう。これから鬼の征伐に、ついていくならやりましょう」
隙なく繰り出す攻撃を一切の迷いなく受け流される。
相手が捌けなくなるまで攻撃を続けてやる。
「い~きましょう。いきましょう。あなたについてどこまでも、家来になっていきましょう」
「そ~りゃ進め。そりゃ進め。一度に攻めて攻めやぶり、つぶしてしまえ――」
男が俺の攻撃を弾き飛ばし、一瞬俺に隙が出来た。
攻撃がくると思った俺は、右手で顔面を左手で首元の急所を守る。
しかし、攻撃されたのは俺の左胸。
心臓の辺りを拳で打ち抜かれた。
突然俺の身体が動かなくなった。時が止まったかのように動けない。
頭はしっかり動いているのにかかわらず、全く反応が出来ない。
目の前で拳握って今にも攻撃をしてくる相手がいるのに。
ヤバい……。
死ぬ……。
俺は堂々と正面から攻め入る。
誰だと聞かれて、いちいち答えるかよ馬鹿が!
俺は体勢を低くくし、走り出す。
兵士の足元まで瞬時に近づくと、ダガーで首元を掻っ切った。
滝が流れる綺麗な森の中で、シャワーのように血が吹き出す。
「主様に続けーー」
リリア達も剣を振る。
次々と兵士達を殺していき、すぐに制圧した。
「心配なんかいらなかっただろ? 人数もこっちの方が多いんだ大丈夫だろ」
「主様! 怪我はありませんか?」
「平気だよ!」
「この後はどう動けばいいのでしょう?」
(それでジャン。食料庫はどこにあるんだ?)
(滝の後ろに隠れてるはずだよ)
「滝の後ろ? まあ行ってみるか! リリア付いて来い」
「はっ!」
滝が流れる後ろへと回ってみる。
そこにはただの岩壁が見えるだけだった。
(ユウタ、壁に手を当てて魔力を流してみて?)
「魔力? 分かった」
俺はジャンの言う通り壁に魔力を流すと、壁かと思った場所から奥へと続く道が現れた。
「これは隠し通路ですね。この奥にあるのですね」
「まあそうだろうな。よし行こうか」
「かしこまりました」
壁の中へと入っていく。
中は石で出来た通路、両脇には松明を灯されていた。
「急にこんな場所を用意するなんて難しいです。この戦はかなり前、数年前から考えられていたのかも知れませんね」
「そうかもしれないな」
慎重に奥へと進んでいく。
しばらく進むと開けた場所に出た。
かなり広い空間で、体育館コート四面を超える程の広さ。
壁や天井がキラキラと輝き、昼間のように明るく、目の前に大きな木箱や樽が積み重なっていた。
「まさしく食料庫ですねここは……」
「だろうな。それにしてもやけに静かだな」
歩きながら辺りを見渡していると、急に気配を感じ、上を見た。
天井付近から落ちながらかかと落としをしてくる人間が。
俺は瞬時にバックステップで避ける。
ドカーンッ!
爆発音と共に地面に突き刺さったかかとは、硬い地面に大きな窪みを作った。
「ヒック! へぇ~ヒック! 今の避けるんだ」
その男は立ち上がると、こちらを見ながらフラフラしている。
右手に持った瓢箪を口につけるとグビグビと勢いよく呑出す。
「ここにいるのはお前だけか?」
「あぁ? そうだよオロオロオロオロ」
男は前かがみになって吐き出した。
チャンスだと思った俺は、攻撃を繰り出すために全力で男目掛けて飛び込んだ。
こちらに気付いていうちに仕留める!
「オロオロオロオロオロオロオロオロ」
体を捻り、前かがみになっている男の首を刎ねようとダガーを振る。
キーン!
金属音が鳴り響く。
俺の事をまったく見ていないのにもかかわらず、左手一本で止められた。
すぐに後ろに飛んで距離を取った。
「なんでこんな奴がいるんだよ……」
「オロオロオロオロ。そんな焦るなって! 吐くなんて勿体ない事しちまったな」
口を拭いなが男は顔を上げる。
ひゃっくりを繰り返す男の顔を赤く、こっちにまで酒のニオイが漂っていた。
体格の良い男は、両手には篭手を嵌め、足には脛当を身に着けている。
「一人だけなら皆で囲んで仕留めましょう主様」
「やめろリリア!! 誰も手を出すな!! 死ぬぞ!! 俺がやる!!」
リリア達を止める俺。
今までに出会ってきた中で一番危険な相手だと俺の直感が言っていた。
(わりぃジャン。ここで死ぬかもしれないけどいいか?)
(そんな相手なの? 分かったよ……僕も覚悟を決めるから好きに戦っていいよ)
「それじゃあやろうか」
相手の出方を見たり、様子見など一切しない。
全力で攻撃を繰り出す。
俺の全開での攻撃を難なく捌く酔っ払った男。
「ヒック。ヒック。お前結構強いなぁ~」
男は喋りながら攻撃を受けて避ける。
正直勝てる気が一切していなかった。
どうすれば上手く逃げられるのか?
いや、逃げる事すら不可能だと直感的に分かっていた。
今目の前にいるこの男を殺さない限り、俺達は戻る事が出来ない。
刹那……。
男の姿が目の前で消えた。
背中から強い衝撃が走り、俺は膝をつく。
後ろを振り向くと男が俺を見下し、十本の指には血が付いていた。
そして再びかかと落としをするモーションに入っている。
両手を交差し、かかと落としを俺は受け止めた。
その衝撃は全身を駆け巡り、両腕は折れ、膝が割れた。
余りの痛さに、食いしばっていた歯が欠ける。
回復魔法を使い、自分で自分の傷を治す。
すぐに立ち上がると距離を取る。
「ハァハァハァハァ」
(ユウタ気をつけて! 相手は魔法を使っているよ)
「クソが……何の魔法だよ……」
視線の先で、また男が消えた。
気付くと顎を下から殴られ、そのまま顔面を蹴られ壁まで吹き飛ばされた。
「主様ーーー!!」
リリアの叫ぶ声が俺の耳に届く。
「うぇ~ヒック。ヒック。お前らってロア王国の人間だろ? 誰にも見つかるはずがないって言うから引き受けた仕事だったのに、見つかってるじゃねえかよ全く。まあ酒呑みながら出来る仕事なんてそうそうないからな。やる事はやるけどよぉ~ヒック……」
「クックック。クックック」
俺は笑った。トントンと跳ねて身体を確かめる。
どうやら平気なようだった。
シューー。
深く息を吐いた。
俺はゆらゆらと動き出して男に近づいていく。
「も~もたろうさん。ももたろうさん。お腰につけたきびだんご、ひとつ私にくださいな」
シュパシュパシュパ!
「お! さっきと動きが変わったな……」
「や~りましょう。やりましょう。これから鬼の征伐に、ついていくならやりましょう」
隙なく繰り出す攻撃を一切の迷いなく受け流される。
相手が捌けなくなるまで攻撃を続けてやる。
「い~きましょう。いきましょう。あなたについてどこまでも、家来になっていきましょう」
「そ~りゃ進め。そりゃ進め。一度に攻めて攻めやぶり、つぶしてしまえ――」
男が俺の攻撃を弾き飛ばし、一瞬俺に隙が出来た。
攻撃がくると思った俺は、右手で顔面を左手で首元の急所を守る。
しかし、攻撃されたのは俺の左胸。
心臓の辺りを拳で打ち抜かれた。
突然俺の身体が動かなくなった。時が止まったかのように動けない。
頭はしっかり動いているのにかかわらず、全く反応が出来ない。
目の前で拳握って今にも攻撃をしてくる相手がいるのに。
ヤバい……。
死ぬ……。
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