上 下
16 / 95

誕生日会と集められた三傑

しおりを挟む
 「ジャン様? 手紙にはなんと?」
 「ルイス殿下が13歳になったから誕生日会が開かれるらしい。是非来てほしいと……今までこんな招待とかあったかな?」

 「ジャン様が幼少の頃はありましたが、それ以降はなかったかと思います。最近のジャン様の活躍を知って、呼んでいるのかも知れません。ルイス殿下の誕生日会ともなると、沢山のお客様と重鎮が集まると思いますから」

 「呼ばれたら行くしかないよね。ベイル今すぐにジェイドとグロッセを呼んできて」
 「かしこまりました」

 「お呼びでしょうかジャン様」

 「ルイス殿下の誕生日会に呼ばれたからしばらくここを留守にする事になった。その間ダラムはジェイドとベイルで協力して頼めるか? グロッセは僕の護衛として一緒に王都まで来てほしい

 「そういう事でしたらお任せ下さい」
 「護衛は俺に任せて下さい!!」

 「ベイルもよろしく頼む。それと妹のエミリも頼んだよ」
 「かしこまりました」
 「僕の旅の準備をベイル、グロッセもすぐに出発するよ」

 ダラムをすぐに出発し、王都へと向かった。
 数日馬車に揺られてやっと王都に到着するが、休む暇もなく宿を取りパーティーの支度をする。
 「グロッセこの格好どう思う?」
 「カッコいいっすよ! 俺達の黒い防具とお揃いで黒いですし、ジャン様の白い髪が余計に際立っていい感じっす」

 「地味すぎない?」
 「でもジャン様、着る衣装ってこれしかないっすよ?」
 「はぁ~。分かってるよグロッセ……これで行くしかないんでしょ。れじゃあ行こうか」
 「はい」

 全身黒の衣装に身を包み、王城へと向かう。
 (ジャン、俺がパーティーに出ちゃっていいのか? こういうのこそジャンの出番じゃないの?)
 (僕はこういうの苦手なんだ。ユウタの好きにしていいよ)
 (いいのか? 知らない貴族に喧嘩売っちゃうかも知れないぜ?)
 (その時はその時に考えるよ)
 (貴族のパーティーに出てくる飯には興味があるんだ。俺は隅っこで飯を堪能するよ)

 王城に到着すると、何百台にも及ぶ馬車が庭に止まっており、馬車から降りて周りを見渡すと、とんでもない数の人が訪れているようだった。
 
 盛大な誕生日会を警備している兵士に招待状を見せると、王城の中へと案内され、長い廊下を歩き、大きな扉を開けると、何千人と収容出来るような大広間が目の前に広がった。

 俺と同い年位の男女もかなりの数、参加しているようだった。
 そんな事より、俺はこの世界に来て初めてご馳走と呼べる飯が目の前に並んでいて、テンションが上がった。

 片っ端から手に取り、部屋の隅にあるテーブルに並べて俺はガツガツと食べ始める。
 部屋の奥にある階段から国王っぽい人とルイス殿下が降りてきて、何か挨拶のような事を始めていたが、俺には関係ないと思ってひたすら食事を続ける。

 流石は王城で開かれるパーティーの飯といった感じで、とにかく美味しい。

 「あんたどうやら生き残ったみたいねジャン」
 声に振り向くと、赤いドレスに身を包みグラスを持って話しかけてくるロベルタの姿が。

 「アウル家は終わったなんて言われてたけど、あんた大活躍したらしいわね」
 久しぶりに見たロベルタは、以前にも増しておっぱいがデカくなっていた。

 「あれ? お前って身長縮んだ?」
 俺は手を使ってロベルタと身長を比べた。

 「あんたの身長がデカくなったんでしょ! 学校からジャンがいなくなって一年近く経つんだから成長もするでしょ」
 「あ~そういう事か。ずっと戦ってたりして忙しかったから気が付かなかったわ」

 「ジャンってそういう性格でしたか? お久しぶりです」
 そう言いながら近づいてきたのは、全く見たことがない奴だった。

 青い髪に片眼鏡をしているそいつは、青色が多く入った衣装を着ていた。
 (ジャン、誰だこいつ)
 (三傑のもう一人。レオン・クロウだよ)

 (なんだよ、また三傑の一人かよ)
 「%#$@%%$#%%#%@$#%」
 「食べるのをやめてから話したらどうですか……?」

 「久しぶりって言われても俺は全然お前の事覚えてないからな~」
 「それは酷いですね。同じ三傑でロベルタや殿下も含めて皆が同い年だと言うのに」

 「それで? 俺になんか用なのか?」
 「いえ、久しぶりにジャンを見たものですから挨拶しにきたんです」
 「そうか、じゃあどうもこんばんは。これでいいだろ? 俺は飯食うのに忙しいんだ」
 俺は二人を無視して食事を再開した。

 そんな中、一人の騎士がこちらに近づいてきた。
 「御三方、ルイス殿下がお呼びになっております。別室に案内しますから付いてきてもらえますか?」

 凄い面倒くさいと思ったが、仕方がないので後を付いていく。
 案内された別室に通されると、ルイス殿下とその護衛が何人かいた。

 「やあ、ジャンは本当に久しぶりだね。三人とも座ってくれるかい」
 ローテーブルを囲って四人がそれぞれのソファに座る。

 「私と呼んだ三人以外は部屋から出てもらえるかな?」
 ルイス殿下が、座っている俺達以外の人間全てを部屋から追いやる。

 「この部屋には魔法がかけられていて、外に声が漏れる事が一切ない。今はただ同い年の子供同士として接してくれて構わない。楽にしてくれ」
 そう聞いた瞬間俺は、ドンッと足をテーブルの上に乗せた。

 「あんた何やってるの!?」
 ロベルタが立ち上がって、俺に向かって怒鳴る。

 「ルイスが楽にしてくれって言ったんだからいいだろ?」
 「ああ勿論だジャン、好きにしてくれ」

 「それで? 何で俺達を呼んだんだよ! 何かあるんだろ? さっさと話せよ」
 「ジャン、流石にルイス殿下の前で横暴過ぎますよ?」

 「いやいいんだ、この場ではどんな態度も発言も許す。ロベルタとレオンも昔のような口調で話してもらっても構わない。三人の本音が今は聞きたいんだ」

 「話はなんだ!?」

 「私の願い、野望の為に三人には是非私の力になってほしい! 私はこの国の国王になった時、この国の一人の民として、代表者として、自分の使命として大陸全土の統一を目指す!」
 ルイス殿下は立ち上がり、強く言葉を発した。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

僕とシロ

マネキネコ
ファンタジー
【完結済】僕とシロの異世界物語。 ボクはシロ。この世界の女神に誘われてフェンリルへと転生した犬のシロ。前回、ボクはやり遂げた。ご主人様を最後まで守り抜いたんだ。「ありがとう シロ。楽しかったよ。またどこかで……」ご主人様はそう言って旅立たっていかれた。その後はあっちこっちと旅して回ったけど、人と交われば恐れられたり うまく利用されたりと、もうコリゴリだった。そんなある日、聞こえてきたんだ、懐かしい感覚だった。ああ、ドキドキが止まらない。ワクワクしてどうにかなっちゃう。ホントにご主人様なの。『――シロおいで!』うん、待ってて今いくから…… ……異世界で再び出会った僕とシロ。楽しい冒険の始まりである………

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

処理中です...