小学6年生、同級生30人全員を殺した日本の歴史史上最凶最悪の少年殺人鬼が、異世界の12歳に乗り移り、異世界を駆ける!

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突然の訃報と戦

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 「ジャン、あなたどうやって急にあそこまで強くなったの?」
 「どうって言われてもロベルタ様、ただレベッタ先生から指導してもらっただけです」

 「なによその口調は! なんだか気持ち悪い」
 「そう言われましても……」

 「まあいいわ、ふぅ~……あなたに言った数々の無礼を謝りにきたの。あなたは三傑に恥じない実力をあの場で見せたわ。ごめんなさい」
 ロベルタが頭を下げている。

 「頭を上げて下さいロベルタ様。謝る必要なんてありませんよ……それにあの日はたまたまかもしれませんし」
 「たまたまでやられる程、私の剣はぬるくないわ」
 ロベルタは頭を上げ、真っ直ぐこちらを見つめている。

 「私は初めて同年代の人間に負けた。ジャンは私に勝った事を誇っていいと思うわ! でも次は負けない」
 スッと右手を差し出してきた。

 「何を変な顔してるのよ握手よ! 握手!」
 「え!? あ!? はい」

 握手を交わす。
 「それじゃあ」
 ロベルタはその場を立ち去っていく。

 (何さっきからじっと右手見てるんだよ)
 「ロベルタの手のひらが、岩みたいに硬かった」

 (才能だけじゃないって事だろきっと)
 「女の子なのにあんな手してるなんて驚いたよ」

 (それよりこの後、レベッタ先生の躾タイムが待ってるぞ)
 「それはユウタのせいなんだから、ユウタが受けなよ」
 (たまには替わってくんない?)
 「適材適所なんでしょ?」
 俺らはいつものようにレベッタ先生の元へと向かい、訓練を始める。

 「グハッ! あれ? 先生、俺って強くなったよね? でも先生と戦うと自信無くすんだけど」
 「まだまだ実力不足って事だろ? それに今は自信がない位でいい」

 「俺はもっと強くなりたいんだよ」
 「ロベルタ嬢がさっき私の所に来て、鍛えて下さいって来たぞ。次はロベルタ嬢に勝てないかもな」
 ハッハッハとレベッタ先生は高笑いをした。

 「ロベルタはやっぱ強いですか?」
 「ありゃあ天才だろ! でも一人で1000人とか相手できる訳じゃない。大きな戦になればなるほどな。お前は今後どうなりたいんだ?」

 (どうなりたいんだ?)
 「僕は昔のような、三傑と呼ばれていた頃のアウル家の輝きを取り戻したいんです!」

 「そうなんだ。じゃあこのロア王国で活躍しないとそれは難しいよな。戦闘技術を磨くのもいいけど勉強もしておけよ!」
 「勉強は結構得意ですから……」

 「今日はこの辺にしといてやる。風邪引くなよ」
 「ありがとうござい……ました」

 それから月日が流れ、一年が経とうとしていた。
 日夜勉学とレベッタ先生と戦闘する日々を過ごした。

 (今日も退屈な授業か?)
 「ユウタもちゃんと授業聞いたら? 全く聞いてないでしょ」
 (適材適所なんだろ? 俺は戦闘、頭使う事はジャンに任せるよ)

 話をしていると、教師が教室に入ってきた。
 「ジャン! あなたは授業を受けなくていいので、とある部屋に行って下さい」
 「わかり……ました」

 (何か悪い事とかしたか?)
 「いや、してないと思うけど」
 教師に言われた部屋へと向かう。

 ドアを開けると、中には甲冑を着た数人の兵士と王子様の姿がそこにはあった。
 「やあジャンしばらくだね。君に伝えないといけない事があって呼び出したんだ」
 「どういった話でしょうか?」

 (王子様に呼び出されるような事したか?)
 (静かにしててよユウタ……)

 「……動揺しないで聞いてほしい。先日ジャンのお父様が戦死された」
 「えっ!?」
 「私も今日聞いたばかりだ。ロア王国に侵攻してきているダル公国との戦で戦死されたそうだ」
 「父上が戦死したのは事実……なんですか?」
 「事実だ。遺体は君の屋敷に今護送中だと聞いている……ここからが本題だジャン。ジャンはアウル家の当主となり、今すぐに領地に戻り、ダル公国の侵攻を止めろとの国王からの命だ」

 「おっと替わった。つまりはなんだ? 戦争をしろって事だよな?」
 「……ああそうだ」
 
 「何を沈んだ顔してるんだよ王子様」
 「父親が戦死したばかりだというのに、喪に服す時間さえなく、私と同じたった12歳なのに死地へと送り込むことしか出来ない私を許してほしい」

 「なんだよ? もしかして王子様は負けると思っているのか?」
 「……かなり厳しい状況だと聞いている。兵士の数もそうだが、見たこともない魔法を使ってくるとか」

 「ふ~ん、それで王子様。俺はこれからどうすればいいんですか?」
 「急遽の事だから、馬車と護衛はこちらで用意した。それに乗ってすぐに領地へ戻り、戦の準備を始めてもらいたい」

 「じゃあ、さっさと俺は行きますよ」
 「ジャン死ぬなよ? 何でも良い。生きて戻ってこい。その後は私がどうにかしてやる」
 俺はその言葉を聞いて、テーブルにドンッと勢いよく足を乗せた。

 「だから何で負けると思ってるんだよ。戦う前から負ける事を考える奴がいるかよバカ野郎」
 「貴様、ルイス殿下に向かって無礼な――」
 ルイス殿下が手を上げて、兵士を諌める。

 「いい。彼とは同級生で同い年なんだ。では頼んだぞジャン」
 「任しときな」
 俺に根拠はないが、自信満々にそう答え部屋を後にしようとする。

 「ジャン! 死ぬなよ」
 背中越しに王子様にそう言われ、俺は親指を立ててグッドサインで返した。

 すぐに支度をし、学校の入り口に用意された馬車に向かっている時だった。
 「ジャン!!」

 声に振り向くとそこにはレベッタ先生が。
 「先生どうしたんですか?」

 「少しお前の事情を小耳に挟んだんだ。卒業するときにやろうと思ったが、いまやるよ」
 手渡されたのは、綺麗な模様の入った二本のダガーだった。

 「これは?」
 「私がまだ傭兵時代に使っていた物で、一番死線を越えてきたダガーだよ。お前にやるよ」
 「そんな大切な物、いいんですか?」

 「ああ、結構な業物だから使えるぞ。ジャンお前……死ぬなよ」
 「レベッタ先生……クソババアの顔にまだ一発も入れてないんだ。死ねるかよ」

 「ハハハ。それだけ言えれば十分だ! また会おうぜ」
 レベッタ先生はそう言って去っていく。俺は馬車に乗り込んで出発した。

 馬車に揺られながら数日、ジャンに話しかけているが全く反応がない。
 目的地であるジャンの故郷に到着したようだった。
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