83 / 101
逆愛Ⅷ《嵐side》1
しおりを挟む
関係が終わってから数ヶ月経つのに、まだ洸弍先輩を求めてしまう。
あの時みたいに戻れないって分かってるのに、
それでもまたあの時みたいになれる可能性を信じてる。
苦しいだけなのに、
嫌われてるのは分かってるのに、
まだ想いが切れない。
綺麗な顔も、
透き通った白い体も、
俺を呼ぶ声も、
愛しいその全ては、手に入らないって分かってるのに―…
「今度から俺が経理担当だからよろしくー」
一週間くらい前から生徒会の経理の担当が、マサやんに変わった。
俺の直属がルイルイからマサやんになるなんて、何でだろう。
急過ぎるだろ。
まぁ、上が誰だろうと与えられた仕事をやるだけだけど。
「また飲み行こうね洸弍くん」
「…遠慮しときます。記憶ほとんどないし」
マサやんが洸弍先輩に絡んでいる。
『また』ってことは既に飲みに行ったのか。
記憶が無くなるまで飲まされたって、いったいどれだけ―…
「そういえばアヤちゃんさぁ、背ぇ伸びたよね」
アヤちゃん……女か?
マサやんと合コンでも一緒に行ったのか?
「確かに。まぁ綾くんは昔から大きいイメージだったけど…性格は全然変わってないですね」
「アヤちゃん昔から節操なしだからねー」
綾くんって…
もしかして『アヤちゃん』って神威のことか?
神威と一緒に飲みに行ったのか。
神威とマサやんは仲良いみたいだし、洸弍先輩と飲みに行っててもおかしくは無い。
「これアヤちゃんがこの前くれた紅茶。美味しいから飲んでみて」
「どうも」
楽しそうに会話をする二人を見てられない。
耳を塞ぎたい気持ちでいっぱいだ。
俺の愛しい先輩が、他の男と楽しそうに話してるんだから。
まぁいい。
先輩が誰と話してようが関係無い。
先輩の姿を見れるだけで、それだけで幸せだと感じられるから。
同じ空間に存在してるだけで、それだけで充分だと最近思えるようになった。
―…割り切るのに時間はかかったけど
俺は先輩に嫌われてるし、仕方ないんだ。
俺は自分の席を立ち、マサやんと会話している洸弍先輩の元へと向かった。
「洸弍先輩、先月の決算書…」
会計部のリーダーをしている俺は、副会長である洸弍先輩に決算書のチェックをしてもらってからルイルイに提出をしていた。
副会長にチェックしてもらってからの決算書の提出は規約に記載されていることだ。
「決算書は俺にちょーだい」
洸弍先輩に渡した決算書を、マサやんが奪い取る。
何十枚もある決算書をペラペラめくりながら、マサやんが言った。
「今度から決算書は俺に直接渡して。チェックも俺がするから、洸弍くんには渡さなくていいよ。規約は無視で。俺がルールだから」
俺がルールだなんて、さすが山田財閥。
マサやんは笑顔で俺を見て、再び決算書をペラペラめくる。
決算書のチェックは俺が唯一洸弍先輩と会話できる時間なのに。
予算に対しての総合費用とか、今後どうしていくかとか。
他愛のない会話だとしても洸弍先輩を近くに感じられる、唯一の時間なのに。
「この前、洸弍くんが『大空のせいで俺の仕事が増える』って言ってたからね。手助け。俺いつも暇だし」
「…ははっ。そうなんすか」
―…それしか言えねぇ
洸弍先輩はマサやんにまで俺を嫌いだと言ってるのか。
確かに仕事はそんなに出来る方じゃないけど、さすがにショックだ。
「じゃあ嵐くんは今から第2実習室まで来て下さーい。今後の予算についてとかあるから」
「あ…はい」
そしてマサやんと一緒に生徒会室を後にした。
あの時みたいに戻れないって分かってるのに、
それでもまたあの時みたいになれる可能性を信じてる。
苦しいだけなのに、
嫌われてるのは分かってるのに、
まだ想いが切れない。
綺麗な顔も、
透き通った白い体も、
俺を呼ぶ声も、
愛しいその全ては、手に入らないって分かってるのに―…
「今度から俺が経理担当だからよろしくー」
一週間くらい前から生徒会の経理の担当が、マサやんに変わった。
俺の直属がルイルイからマサやんになるなんて、何でだろう。
急過ぎるだろ。
まぁ、上が誰だろうと与えられた仕事をやるだけだけど。
「また飲み行こうね洸弍くん」
「…遠慮しときます。記憶ほとんどないし」
マサやんが洸弍先輩に絡んでいる。
『また』ってことは既に飲みに行ったのか。
記憶が無くなるまで飲まされたって、いったいどれだけ―…
「そういえばアヤちゃんさぁ、背ぇ伸びたよね」
アヤちゃん……女か?
マサやんと合コンでも一緒に行ったのか?
「確かに。まぁ綾くんは昔から大きいイメージだったけど…性格は全然変わってないですね」
「アヤちゃん昔から節操なしだからねー」
綾くんって…
もしかして『アヤちゃん』って神威のことか?
神威と一緒に飲みに行ったのか。
神威とマサやんは仲良いみたいだし、洸弍先輩と飲みに行っててもおかしくは無い。
「これアヤちゃんがこの前くれた紅茶。美味しいから飲んでみて」
「どうも」
楽しそうに会話をする二人を見てられない。
耳を塞ぎたい気持ちでいっぱいだ。
俺の愛しい先輩が、他の男と楽しそうに話してるんだから。
まぁいい。
先輩が誰と話してようが関係無い。
先輩の姿を見れるだけで、それだけで幸せだと感じられるから。
同じ空間に存在してるだけで、それだけで充分だと最近思えるようになった。
―…割り切るのに時間はかかったけど
俺は先輩に嫌われてるし、仕方ないんだ。
俺は自分の席を立ち、マサやんと会話している洸弍先輩の元へと向かった。
「洸弍先輩、先月の決算書…」
会計部のリーダーをしている俺は、副会長である洸弍先輩に決算書のチェックをしてもらってからルイルイに提出をしていた。
副会長にチェックしてもらってからの決算書の提出は規約に記載されていることだ。
「決算書は俺にちょーだい」
洸弍先輩に渡した決算書を、マサやんが奪い取る。
何十枚もある決算書をペラペラめくりながら、マサやんが言った。
「今度から決算書は俺に直接渡して。チェックも俺がするから、洸弍くんには渡さなくていいよ。規約は無視で。俺がルールだから」
俺がルールだなんて、さすが山田財閥。
マサやんは笑顔で俺を見て、再び決算書をペラペラめくる。
決算書のチェックは俺が唯一洸弍先輩と会話できる時間なのに。
予算に対しての総合費用とか、今後どうしていくかとか。
他愛のない会話だとしても洸弍先輩を近くに感じられる、唯一の時間なのに。
「この前、洸弍くんが『大空のせいで俺の仕事が増える』って言ってたからね。手助け。俺いつも暇だし」
「…ははっ。そうなんすか」
―…それしか言えねぇ
洸弍先輩はマサやんにまで俺を嫌いだと言ってるのか。
確かに仕事はそんなに出来る方じゃないけど、さすがにショックだ。
「じゃあ嵐くんは今から第2実習室まで来て下さーい。今後の予算についてとかあるから」
「あ…はい」
そしてマサやんと一緒に生徒会室を後にした。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
泣き虫な俺と泣かせたいお前
ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。
アパートも隣同士で同じ大学に通っている。
直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。
そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる