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逆愛Ⅴ《嵐side》6
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洸弍先輩は息を切らしてぐったりしていた。
「洸弍先輩」
「…何だよ」
もう、これで最後だと思うと耐えられない自分がいた。
このまま帰るなんてしたくない。
「最後に一緒に寝てもらってもいいですか?」
これで最後だというなら、
せめて洸弍先輩の寝顔を焼きつけておきたい。
「…分かった。俺は疲れてるからすぐ寝るからな」
「ありがとうございます」
「取り敢えずシャワー浴びる」
洸弍先輩がシャワーを浴びたあと、俺もシャワーを借りた。
俺がバスルームからあがると、洸弍先輩はすでにベッドに入っていた。
俺もその中へ潜り込んだ。
隣から石鹸のいい香りがする。
「起きてますか?」
「…もう寝る」
明日からは普通の先輩と後輩。
もともとはそうだったのに、こんなに好きになるなんて思わなかった。
「本気で好きでした」
好きだから、苦しい。
「うるせぇ…寝かせろ」
「すいません」
本気だった。
でも俺が嫌いなのに、俺の願いを聞いてくれる洸弍先輩は優しい人だと思った。
初めて会った頃から優しい人だった。
「もう好きだなんて困らせるようなこと言わないんで安心してください」
返答は無かった。
疲れて寝たのかな?
俺は寝てる洸弍先輩の髪を撫でた。
この青くてサラサラした髪を撫でるのも今日で最後。
「今までありがとうございました」
ずっとこの寝顔を見ていたい。
それくらい洸弍先輩は綺麗な顔をしている。
でも俺には手の届かない存在なんだ。
2時間ぐらいして、俺は書き置きをして洸弍先輩の部屋を出た。
明日からは、ただの先輩と後輩に戻る。
だから好きになっても無駄なのに、
それでもまだ好き過ぎて諦められない。
部屋に戻ると、洸弍先輩の誕生日に渡そうとしていた財布が目に入った。
「嫌いな奴からこんなのもらっても捨てられるだろうな」
「嫌い」という言葉が脳裏から離れない。
近づきたい。
傍にいたい。
洸弍先輩の特別でありたいのに、もう無理なことなんだな。
もう特別ではいられないけど、ただひとつ言えるのは、
嫌われても、
俺はずっと、貴方が好きです
でも洸弍先輩は俺を嫌いだから、明日からは前みたいに普通の先輩と後輩として会いましょう。
今までありがとうございました。
―…好きです、洸弍先輩
「洸弍先輩」
「…何だよ」
もう、これで最後だと思うと耐えられない自分がいた。
このまま帰るなんてしたくない。
「最後に一緒に寝てもらってもいいですか?」
これで最後だというなら、
せめて洸弍先輩の寝顔を焼きつけておきたい。
「…分かった。俺は疲れてるからすぐ寝るからな」
「ありがとうございます」
「取り敢えずシャワー浴びる」
洸弍先輩がシャワーを浴びたあと、俺もシャワーを借りた。
俺がバスルームからあがると、洸弍先輩はすでにベッドに入っていた。
俺もその中へ潜り込んだ。
隣から石鹸のいい香りがする。
「起きてますか?」
「…もう寝る」
明日からは普通の先輩と後輩。
もともとはそうだったのに、こんなに好きになるなんて思わなかった。
「本気で好きでした」
好きだから、苦しい。
「うるせぇ…寝かせろ」
「すいません」
本気だった。
でも俺が嫌いなのに、俺の願いを聞いてくれる洸弍先輩は優しい人だと思った。
初めて会った頃から優しい人だった。
「もう好きだなんて困らせるようなこと言わないんで安心してください」
返答は無かった。
疲れて寝たのかな?
俺は寝てる洸弍先輩の髪を撫でた。
この青くてサラサラした髪を撫でるのも今日で最後。
「今までありがとうございました」
ずっとこの寝顔を見ていたい。
それくらい洸弍先輩は綺麗な顔をしている。
でも俺には手の届かない存在なんだ。
2時間ぐらいして、俺は書き置きをして洸弍先輩の部屋を出た。
明日からは、ただの先輩と後輩に戻る。
だから好きになっても無駄なのに、
それでもまだ好き過ぎて諦められない。
部屋に戻ると、洸弍先輩の誕生日に渡そうとしていた財布が目に入った。
「嫌いな奴からこんなのもらっても捨てられるだろうな」
「嫌い」という言葉が脳裏から離れない。
近づきたい。
傍にいたい。
洸弍先輩の特別でありたいのに、もう無理なことなんだな。
もう特別ではいられないけど、ただひとつ言えるのは、
嫌われても、
俺はずっと、貴方が好きです
でも洸弍先輩は俺を嫌いだから、明日からは前みたいに普通の先輩と後輩として会いましょう。
今までありがとうございました。
―…好きです、洸弍先輩
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