逆愛-gyakuai-

槊灼大地

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逆愛Ⅲ《嵐side》2

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竜と買い物したあと、寮に着いたのは18時だった。



竜はバンドメンバーと練習があるから途中で別れた。



自分の部屋に向かうと、ドアに寄りかかって腕を組んでいる人物がいた。




「よぉ、大空」


「洸弍先輩っ」



何でここにいるんですか、と聞けるような状況じゃない。



かなり怒っている様子。



「お前今日何してた?」


洸弍先輩には、誠とカラオケってことにしてたんだよな。



「あ…、誠とカラオケ」


「だよな?天野とカラオケ」



俺の顔を覗き込んで、目を合わせる。



なんか…マズイ雰囲気なんじゃないか。




「俺は今日その天野と一緒にいたんだよ」


「え?」



しまった。



誠に口裏合わせるように連絡するの忘れてた。



まさか洸弍先輩が誠と会ってたなんて。



「俺の誘い断って嘘までついて、お前何処にいたんだよ」



ヤバい。



かなり怒ってる。



当然だよな、嘘ついたんだし。



「すいません、嘘ついて…」


「別に。お前の嘘のおかげで今日天野と仲良くなれたし」



俺の知らないところで、洸弍先輩が誠と仲良くしてるのを想像しただけで腹が立つ。



「で、お前は何の用事があったんだよ?」


「あ、竜と…」


「竜?…あぁ、帝真か」



誕生日プレゼントを買いに行ったなんて言えない。



「なるほどな。…お前の好きな奴って帝真なんだろ?」


「え?」


「あいつ雨月のこと好きだもんな。叶わぬ恋なわけだ」



俺が竜を好き?



何を言い出すかと思えば。



「いや、違…」


「別に隠す必要ねぇだろ。誰にも言わねぇし」



何で誤解されてんだ俺。



マリちゃんを好きだと勘違いされたと思えば、次は竜かよ。



俺はアンタが好きなんだ。



「お前、俺と帝真を重ねてんだろ?髪だって同じ青色だし、体格だって似てるし」


「重ねてないですよ!」


「俺だってお前を綾くんと重ねてるわけだし、お互い様だろ」



会話にならない。



俺の言葉が言い終わる前に、洸弍先輩は次の言葉で俺を攻める。



「この前目隠し取ってお前とヤッた時、別にお前じゃなくてもいいと思ったし」


「どういう意味ですか?」


「誰だっていいんだよ。お前でも天野でも抱いてくれるなら誰でもな」



俺は、洸弍先輩の特別だと思ってた。



神威の身代わりになれるのは俺だけだって。



―…そう思ったのに



「天野優しいしな。冷静だし、単純なお前とは違…」



誠の話を淡々とする洸弍先輩にムカついた。



辛さと腹立ちが混ざり合って、おかしくなりそうだ。



無意識に部屋の鍵を開けて、洸弍先輩の腕を掴んで俺の部屋に引きずりこんだ。

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