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純愛FINAL《咲輝side》
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しおりを挟むこの場所でこの手紙を読んでいると、まるで緋禄が出てくるんじゃないかと錯覚する。
震える手で書いた文字でさえ愛しい。
俺こそ楽しかった。
緋禄に出逢えてえてよかった。
緋禄がいてよかった。
ふと、手紙に雪が触れた。
雪…
空を見上げると、雪がひらひらと舞い降りてきた。
「緋禄…」
『俺雪好きなんだよね。綺麗じゃん』
ゲームを始めたあの日も雪が舞っていた。
緋禄に出逢った場所で、
雪を降らせて、
まるで俺はここにいるぞ、と緋禄が言っているかのように思えた。
「今朝…冷え込んだからな…」
あぁ、思い出してしまう。
「緋禄…約束、守らせてくれよ」
泣かないという約束をしたのに。
俺が泣いているかどうか緋禄に試されているようで、当たり前のように涙が溢れる。
俺は嘘つきだ。
泣くのはあの日で最後と決めたのに。
もう大丈夫だと思ったのに、俺にとってはこの小さな雪ひとつで緋禄との思い出が溢れ出てしまう。
でも大丈夫。
俺の中で緋禄は生きてる。
この手紙もちゃんと緋禄の声で再生されてる。
俺は生涯緋禄を忘れないから。
だから来世ではまた一緒にゲームをしよう。
終わることのないゲームを。
俺と緋禄だけの物語を始めよう。
愛してるよ、緋禄。
だから少しだけ先に、おやすみ。
―1年後―
「咲輝さん!」
「竜。来てくれたんだな」
「受賞おめでとうございます」
「ありがとう」
「この絵…ひー兄ですよね。素敵です。幸せだったんだろうな」
「俺も幸せだったよ」
「名前…変えたんですね」
「あぁ。緋禄がくれた名前なんだ」
「ひー兄がくれた名前?逢…途…咲輝。…本当だ。すごく素敵な名前」
前山咲輝、
改め逢途咲輝
彼は後に世界的に有名な人物画専門の芸術家となる。
【END】
ミニ漫画にて完結→
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