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純愛FINAL《咲輝side》
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しおりを挟む「落ち着いたか?」
「―…うん」
それから俺達はキスをした。
キスだけで何十分もしたと思う。
舌を絡ませて息をきらせて。
「咲輝、抱いて…」
緋禄は自分の手に俺の指を絡ませて、上目遣いで懇願した。
恋人として初めてのセックスをしよう。
緋禄は俺の服を脱がせて、肌に唇をつけた。
それから舌を使って上半身を舐め始め、俺の首筋や上半身にキスマークをつける。
しばらくすると、緋禄が息を切らした。
「はぁ……はぁ…」
「大丈夫か、緋禄?」
「ん…大丈夫。咲輝と繋がりたい」
緋禄は俺をギュッと抱きしめる。
俺はそんな緋禄にキスをしてから用意していたローションを取り出して、それをたっぷりと俺の秘部に塗り、馴染ませて指を入れた。
「あっ…ん」
ゆっくりと根元まで指を入れて動かす。
指を増やし、波の音と共にイヤらしい音が広がる。
少し慣らした所で指を抜き、台湾で購入したあのコンドームを装着しようとした。
その瞬間、緋禄がその手を掴んで引き留めた。
「咲輝…今日はゴム無しでしたい。最期に俺のナカを咲輝で満たして欲しい」
今までずっと、コンドームは欠かさず装着してきた。
本当なら、今回も装着するのが望ましい。
でも緋禄が望むのなら。
してやれることはしてやりたい。
それは建前で、本当は俺自身が最期に何も隔てることなく緋禄のナカを感じたいと思ってしまった。
だから、緋禄の想いと自分の想いを優先させることにした。
「…辛かったら言うんだぞ」
「うん」
そして、硬くなった俺自身にもローションを塗りたくり緋禄の秘部へ押し当てた。
「あっ!」
ゆっくりと緋禄のナカに俺が入っていく。
初めて、何も隔てずに緋禄のナカを感じれたことに感動した。
愛しい。
温かい。
満たされる。
心も、体も、これ以上ないぐらいに満たされていく。
「咲輝、咲輝ぃ」
愛しいその声で名前を呼ばれ、俺は返事をするかのように空いてる緋禄の両手に自分の手を重ねた。
緋禄はその手をギュッと握り返した。
俺はキスをしながらゆっくりと緋禄の様子を見て腰を揺らした。
「はあっ…ん…咲、輝…ごめ……もっと速く動きたいよな?」
「大丈夫。こうして繋がれているだけで幸せだ」
もう充分満たされている。
こうして、緋禄の温もりを感じられているだけで。
―…全てが愛しい
「緋禄、愛してる」
緋禄の耳元でそう囁くと、緋禄はまた泣いてしまった。
「俺も愛してる。咲輝…愛してる」
今、心も体も繋がってる。
なぁ、緋禄
緋禄に出逢えて幸せだよ。
愛しくて堪らない。
俺達は何度も何度も「愛してる」を繰り返した。
まるで覚えたての言葉みたいに、何度も。
何度言っても足りない。
キスをしながら、腰を揺らして
「愛してる―…」
愛してるよ緋禄。
愛してる。
この温もりも、緋禄の優しさも忘れない。
必ず見つけ出すから。
だからしばらく待っていて。
ありがとう、緋禄。
「あっ…―…」
「っ―……」
そして俺と緋禄は同時に果てた。
こうして繋がれてる手から感じる緋禄の温もりだけで、幸せが増していく。
何度キスしたか、
何度呼び合ったか、
何度愛を確かめたか分からない。
「忘れないよ、緋禄」
待っていて。
必ず、俺が見つけ出すから。
「ありがとう」
何十年、何百年かかっても必ず。
だから安心して逝くといい。
「愛してる」
波の音を子守唄にして、二人で裸のまま朝まで抱き合った。
緋禄に逢えたのは、この日が最後だった。
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