純愛-junai-

槊灼大地

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純愛Ⅳ《緋禄side》

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行為が終わって、俺がシャワーを浴びて戻ると咲輝は寝ていた。



相当疲れてたんだろうな。



ずっと撮影づくしで休む暇無かったって言ってたし。



俺は咲輝の寝ているベッドに座って、咲輝の寝顔を見つめた。



月明かりに照らされて、綺麗な寝顔だった。



ずっと見ていたい。



出来ることなら、ずっと。



偽りじゃなくて、本当に俺のものにしたい。



でもゲームにしないと、リセットできないから。



想いをリアルにしてしまえば、辛くなるのは目に見えてる。




だって、俺はもう長くないから。




こうして咲輝の顔をあと何回見れるんだろう。



あと何回、咲輝を感じれるだろう。




対等でありたいよ。



同情されたくない。





きっと、咲輝が目覚めた頃には俺は病院を抜け出せなくなる。



事実を知られるのも時間の問題だ。




死ぬのは怖くない。



ただ、



こんなにも生きたいと思えるのは咲輝がいるから。



咲輝は俺の全て。





「…ごめんな、咲輝」







俺はそう言ってホテルを後にした。



「迷惑かけてごめんなさい。今から病院に戻ります」




そう病院に電話をかけて、タクシー乗り場まで歩いた。





あのまま咲輝と一緒に寝たら、泣いてしまうだろう。




泣いたらゲームオーバーなんだから。




俺からゲームをリセットするなんて有り得ない。




泣くな、



―…泣くな。





空を見上げると、まだ星空が広がっていた。



そういや咲輝の誕生日、七夕なんだよな。



織姫と彦星でさえ、年に1回は逢えるのに、



俺たちの七夕はもうこれで最後。



天の川が広がっても渡ることは出来ない。





涙が止まらない。



「ははっ。よかった…こんな姿咲輝に見られなくて…」




こんなの咲輝に見られたら、ゲームオーバーになるところだった。




どうして、



こんなにも愛しくて、苦しいんだろう。




ずっとずっと、大切な人と一緒にいられたらいいのに。




でも俺には無理な願いだから、




あと少しだけ、ずっと一緒にいよう。




あと少しだけ、恋人ごっこを続けよう。




俺は、涙が零れ落ちないように滲んだ星空を見上げていた。







咲輝、誕生日おめでとう。




もう二度と言えない台詞だけど、




最期に咲輝の誕生日を一緒に過ごせて幸せだったよ。





おめでとう、咲輝。



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