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純愛Ⅲ《咲輝side》-ワイルドな夜編-
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しおりを挟む父親が海外で個展を開くことになり、緋禄と一緒にその祝賀パーティーに参加をした。
父が緋禄を見つけるなり駆け寄ってきた。
楽しそうに会話している。
「よぉ咲輝」
「輝雄さんお久しぶりです」
その時、叔父の息子で従兄弟の輝雄さんに声をかけられた。
「お前の写真また賞を獲ったらしいな」
「はい」
「由輝さんのおかげだろ、どうせ。俺の方がいい写真撮るぜ?」
この人はいつもこんな感じで俺に突っかかってくる。
「あ、咲輝くん!いたいた!この前の受賞作品すごかったねぇ。話を聞かせて」
「はい。じゃあ輝雄さん失礼します」
顔馴染みの人たちに声をかけられて、父と一緒に挨拶まわりをすることになった。
緋禄は一人でもくもくと飲食をしている。
だいたいいつもパーティーに参加しても挨拶まわりで終わってしまう。
でも今日は緋禄がいるから早く二人きりになりたい。
「今日は輝雄、あの子狙ってるらしーぜ」
「え、どの子?」
父と挨拶まわりをしていると、輝雄さんの友達らしき人たちの会話が聞こえてきた。
「あの赤い髪の、あそこで一人で食べてる子」
「あー、輝雄好きそう。ああいうのタイプだよな」
二人が見ている視線に目を向けると、やはり緋禄のことを言っているようだった。
輝雄さんは遊び人で有名。
とっとと挨拶まわりを終わりにしないと。
「でさー、あのボーイにいつもの媚薬と酒混ぜたジュースをあの子に渡してもらうように頼んだらしいぜ」
「まじ?あいつ昏睡プレイ好きだもんなー」
「いつもの媚薬の3倍濃くしたって言ってたからな。あの子落ちるだろ。可哀想に。可愛がってもらえるといいな」
その会話の途中で、緋禄がボーイからジュースを提供されている姿が目に入った。
俺は挨拶まわりを中断してすぐに緋禄の傍に駆け寄った。
頼むから、飲まないでくれ―…
そう思って急いで緋禄の背後からそのジュースを奪った。
「これは俺のだ」
「咲輝」
そう言って奪ったジュースを全て飲み干した。
「おいおい!わざわざ俺の奪わなくていいじゃん。まぁ美味しくなかったからいいけどさ」
緋禄の話しを無視して、俺はボーイを呼ぶ。
「すみません。彼は体調弱いので今後はミネラルウォーターだけにしてあげてください」
「かしこまりました」
「ひっど!俺はここに来て水しか飲めないのかよ!」
「緋禄、もうすぐ挨拶回りが終わるから、そしたら部屋でゆっくりしよう。絶対水以外飲むなよ?」
まて、なんだこれ…
体が熱い。これのせいか?
この場で緋禄にキスしたいぐらい興奮している。
そして俺は緋禄の耳元で囁く。
「たくさん、しような」
「―っ…!?」
緋禄は顔を赤くして驚いている。
「咲輝くん、ちょっと取材いいかな?」
「あ、はい」
美術系の雑誌の人に話しかけられて、父の作品についてどう思うのか問われた。
20分ぐらい取材を受けただろうか。
パーティー会場を見ても緋禄の姿が見当たらなかった。
「輝雄、あの子と一緒に出てったな」
「あーあ、激しい夜になっちゃうね」
輝雄さんの友人達の会話を聞いて、俺はすぐさまパーティー会場を後にした。
幸い、エレベーター前で会話をしている二人を発見した。
輝雄さんに肩をぐいっと引き寄せられている。
―…ふざけるなよ
「すみません」
「咲輝」
「俺たちもう部屋に戻るので」
そう言って俺は緋禄の手を掴んで、開いたエレベーターに乗った。
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