純愛-junai-

槊灼大地

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純愛Ⅲ《緋禄side》-ワイルドな夜編-

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チェックアウトの時間が過ぎているとフロントから連絡がきたようで、目を覚ますと咲輝が撃沈してた。


「おはよ、咲輝」


「緋禄…おはよう」


「どした?」


「―…いや、昨日の夜の記憶がなくて」



あぁなるほど。
この惨劇を見て驚いているのか。



「これ、俺が…?」


「なんか変だったもんなー。酔ってたっぽいし、容赦なくてさ」


「お前がボーイに渡されて飲んでたジュースは、俺のいとこが酒と媚薬を混ぜたものを緋禄に飲ませようとしてたんだ」


「え?」


「だから緋禄が飲む前に全部俺が飲んだから…あれをお前が飲んでたらもっと大変だったかもな」



だからあの時、咲輝は俺のジュースを奪って飲み干したんだ。



じゃあもしあれ全部飲んでたら俺が性欲ゴリラだったかもしれないってこと?
恐るべし…



「でも…体に負担かかったよな。悪かった」


「咲輝気にするなよ。…凄く興奮したし、よかったよ。毎回あれはさすがに体力もたなくて疲れるけど、たまにならいいよ」



ってか、お互いキスマークすっご。
来週病院の診察あったよな…
それまでに消えるかな?



「いや、もう絶対にしない」


「そう?」


「せっかく緋禄を抱いてるのに、記憶を無くすなんて…」


「あ、記憶ないってことは俺が口でしたのも記憶ない?」


「そ、そんなことまでさせたのか!?」



めちゃ焦る咲輝。
可愛い。



「3回させてくれたよ。頭ガンガン捕まれたりもしたし」


「もういい、緋禄…何も言うな。俺が酷いことをしたのはよく分かった…悪い…覚えてないんだ」



「濃くて美味しかったよ、咲輝の」



「飲んっ―…!!」



俺の発言に、咲輝は顔を赤くしてさっきよりも焦って落ち込んでいた。



きっと罪悪感凄いんだろうな。



「ゴム無くなって、咲輝がまだ硬かったから頑張ったんだぜ俺」


「はぁ…当分罪悪感でお前のこと抱けそうにない」


「なんでだよー!気にしなくていいって」



ため息をついて、頭を抱えて。


俺が気にしなくていいって言っても、気にしちゃうのが咲輝なんだよなぁを



「本当にすまない。殴ってくれ」



「やだよ」



「俺の気が済まないんだ」



このままだと、咲輝は罪悪感に押し潰されて恋人ごっこを辞めようとか言い兼ねないな。


どうしようかな。



「んー、じゃあ咲輝の幼少期の写真見たい!それでいいよ」


「それはすぐ父に言ってデータもらう。あとは何もないのか?」


「えー、ないよ」



「何でもいい」



咲輝の幼少期の写真見れたらもう大満足なんだけどなぁ。



他に何か…咲輝にとって難しい何か…何がいいかな。





「んー、じゃあさ。咲輝が初めて人物画描くことになったら、俺のことを一番最初に描いて?それでいいよ」



「…人物画を描く予定はない」



「描きたいって言ってたじゃん?俺の名前半分使ってもいいからさ。その第一号は俺にして。それでチャラ」



咲輝が人物画を描く予定がないってのは知ってるから。



だからその時が来たら、勇気を出して描いてくれればいい。




「その時が来たらな」



「うん。あー、めちゃくちゃ筋肉痛ー!」


「悪い…」


「いや、いい運動になったから。今日はさぁ、この近くに動物園があるからそこに行きたい。前から行ってみたかったんだ」


「わかった」



すぐにホテルを後にして、テンション下がっている咲輝を連れて動物園に行った。



はしゃいでる俺と動物をたくさん撮影する咲輝。



「あ、ゴリラでっかー。迫力すごっ。ゴリラといえば昨日の夜の咲輝も性欲ゴリラみたいだったけどな」


「―…悪かった」



「あ、じょ、冗談だって!な、咲輝ー。うさぎでも見て癒されようぜ」




昨日の記憶が無いってことは…



俺が咲輝に好きだって言ったことも、咲輝が俺に好きだって言ったことも覚えてないってことだよな。



寂しい気もするけど、それでいい。



これ以上の関係になれないんだから、俺たちはこの距離で。




恋人になりたいけど、
この関係をリアルにしてしまえばリセットできないから―…



「緋禄」




その愛しい声で名前を呼んで、
俺を見て笑ってくれる。





それだけで、俺は幸せなんだから―…




大好きだよ、咲輝。




だからこのままゲームを続けよう。



終わりがくるその時まで―…



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