玄愛-genai-

槊灼大地

文字の大きさ
上 下
17 / 50
玄愛《炯side》

玄愛《炯side》8

しおりを挟む
それから8ヶ月が過ぎ、高2の終業式の日。



山田が学校終わってからうちに遊びに来たいと言い出した。



俺の部屋に荷物を置いてすぐに告白された。



俺はかなり驚いていたと思う。



「冗談だろ?」


「冗談じゃないよ。本気で好きなんだ」



山田の声が震えている。



その気持ちが本気だと伝わってしまうくらいに。



それならもう、
傍にはいられない。



突き放すしかない。




「ならもう、俺に近づくな」




やっぱりな、という顔で山田は俺を見つめた。



それと同時に涙が溢れていた。



「こんなに…好き、なのに…大切なのに…」



やめてくれ。



前みたいに「冗談だよ」って言ってくれ。



なんで俺なんだよ。



お前がいたから雅彦が死んだことを受け入れて、立ち直ることが出来た。



2回も救われた。



一番失いたくない友人なのに。



何でよりによって俺を好きになるんだよ。



山田の涙は止まらない。






「俺は山田を大切だなんて思ったことは1度も無い」






泣いている山田に容赦の無い言葉を突き付ける。





「俺はお前を好きにならない。同情はしない」





諦めてくれ。



俺はもう誰も好きにならない。



俺のことだけは好きになるな。



恋とか愛とかに振り回されるのはもう嫌なんだ。



考えたくもない。



あんなうざったい感情もういらない。



吐き気がする。



「諦める、から…だから抱いて。それで諦める」



泣いている山田が震えて懇願する。



「それで諦められんだな?」


「うん。諦める」



抱いてしまったら、記憶に刻まれてしまうはずなのに。


余計に忘れられなくなってしまうのに。



「そしたら本当に友達のまま接するよ」


「分かった」



知っているはずなのに。



抱くことを拒否してやるのも優しさなのに。



俺は山田を抱くことを選んだ。
       



静まる部屋の中で、舌を絡める音だけが響く。



俺はキスをしながら山田をベッドに押し倒し、制服のボタンを外していく。



白い綺麗な肌だなと思った。



「ん…ふ、ぁ…」


しばらくキスをしてから唇を首筋へと移し、鎖骨を舐め、乳首へと移動した。



「あっ、ん…ん」



「息あがってるぞ。下に聞こえるから黙れよ」


「だっ、てぇ…んっ!」


そう言ってもお構い無しに乳首に吸い付いた。



声が漏れたら動きを止め、声がおさまったらまた激しく乳首を攻めてを繰り返し。


乳首に吸い付きながら、俺の指を山田の口の中に入れて掻き混ぜる。



「ふぁ…んっ、ん!」



山田は必死にその指を舌で絡ませて吸い付いた。



人差し指と中指で山田の舌をこねくり回して、時には口から指を出して舌が後を追ってくるのを楽しんで。



そして乳首を舐めながら、余った手で山田のズボンを下げた。



硬くなった山田のモノをゆっくり扱いた。



「あっ!アァッ!ん…ふ…アッ!」


「こんなに濡らしてんじゃねぇよ。ヤラしい」



そして自分のズボンを下げて、山田の顔にモノを近付けた。




「俺が好きなんだろ?出来るよな?」



山田は頷いて俺のモノを口に含んだ。



そして馬乗りになって、69の体制になった。



俺も山田のモノを扱きながら舐めた。



「アァッ!ん、気持ちぃっ!哀、沢くん…アッ!ん」


「口が疎かになってるぞ。ちゃんとくわえろ」



そう言われて必死に俺のモノをくわえている山田を見て、俺も本気を出した。



高速で扱きながら、山田のモノに吸いついた。


「だ…めっ!ん…イクッ!いっちゃ―…アァッ!」



山田は俺の口の中に精液を出した。



それを手に出して、山田の秘部に指を入れた。



「力抜けよ」



山田は果てたばかりで意識が朦朧としていたがお構い無しに指を増やして出し入れした。



「聞こえるか?このイヤらしい音が」


静かな部屋にグチュグチュと指を出し入れする音が響く。



「アッ!ん…は、アァッ!」



指を出し入れし続けていると、また山田のモノが硬くなってきた。



「イケそうだな」




俺は指を抜いて、正常位になって山田の秘部に俺のモノを押し当てた。



ゆっくりと山田の中に挿入した。



「あぁっ、…はっ」



奥まで突いてから、腰を揺らした。



山田が俺の首に手を回してキスをする。



俺は無意識にキスをしながら山田の手を握った。



まるで恋人同士みたいに。



感情は一切無いのに。


俺も意地が悪い。



山田の目からは涙が零れていた。



嬉しいのか?


それとも苦しいのか?


そんなことは聞けなかった。


知りたいとも思わなかった。



あんなに冷たい言葉で突き放したのに、それでも俺を好きだったことに驚いた。



雅彦に家庭があっても、それでも雅彦を好きだった俺のような山田。



昔の俺を見ているようだ。



俺は山田が嫌いなわけじゃない。



唯一心を許せる友達だ。



もし俺が雅彦みたいに言葉を残してお前の前から消えたら、そしたら山田は俺みたいになる。

 

お前を苦しめたくない。



言葉なんて邪魔になる。



だったら最初から安易に言葉を吐くことはしない。



俺みたいになって欲しくないから、尚更言えない。



あんな苦しみをお前には与えたくない。



だから言わない。


だから言わせない。



好きだなんて邪魔になる言葉は。



もうあんな思いしたくないんだ。




「アッ、ん…あい…ざわく!ん、アァッ!」


「―っ…!」




そして俺と山田は同時に果てた。















「ありがとう、またね」


「あぁ」



抱いている途中の山田の涙が焼き付いて離れなかった。



俺は重ねてるだけ。



昔の俺と山田を重ねて同情してるだけ。



それ以下でも、それ以上でもない。



言葉なんていらない。



記憶に刻まれてしまうから、
それに囚われてしまうから、
いつか心をえぐるから、




だから、いらない。



何もいらない。



何も求めない。



何も創らない。



何も遺さない。




愛して、ハマッた方が負けなんだ―…


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたの隣で初めての恋を知る

ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

花いちもんめ

月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。 ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。 大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。 涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。 「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。

彼は罰ゲームでおれと付き合った

和泉奏
BL
「全部嘘だったなんて、知りたくなかった」

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

処理中です...