13 / 50
玄愛《炯side》
玄愛《炯side》4
しおりを挟む「まったく、貴方という人はどうしてこんなに堪え性が無いんです。わんわん君も呆れているじゃないですか」
「え」
「うう……だって、皆楽しそう……わんわんの声、聞こえる。我慢、やだ」
「あ、ごめんねー。俺らの話し声がうるさくて集中出来ないんでしょ、ワンコ書記は騒がしいの嫌いだもんね」
「いっそ耳栓でも使いますか?」
「ダメ、わんわんの声……聞こえなくなる。耳栓いらな、い」
「面倒臭ぇなテメーは、じゃあどうすんだよ」
「頑張ってください、先輩ならきっと最後までやり遂げるって信じてます!」
いや、えーっと。
多分普通に手伝ったりすれば早く終わるんじゃないだろうか。その選択肢は無いの?
ちらちら俺を見る涙目の書記さまは、さっきからお仕事があまり進んでいないようだし。
ハア、とため息を吐く隊長さん。
「仕方ないですね、全く」
そう言って何やら書記さまに耳打ちを――。
え、どうして急にひそひそ話?
「!!」
突如くわっと目を見開いた書記さま(ちょっと怖かった)が物凄い勢いで机上のPCをカタカタ打ち始めた。な、何事!?
書類作成の続きだよねこれ。
ただし、速さが今までの比じゃないんだけど。一心不乱に文章打ち込んでて、手元の分厚い紙束がどんどん少なくなっていく。
す、すげぇよ書記さま。隊長さんは一体何を言ったんだ?
「ふう、ようやく真剣になってくださいましたか。この調子だと作業もすぐ終わりそうですね。ああ、でも念のため会長さまには引き続き、書記さまの監視をお願いします」
「お、おう」
名指しされ、ビクッとする会長さま。
ごまかすみたいに空咳を一つして自分の仕事机へと戻って行ったけれど。
会計さまなんか肩で笑ってるし、ばればれですよ。
実は意外と結構なビビりさんだったりすんのかな。
本人に言ったら怒られそうだけど、ちょっと可愛いかも。
「それじゃあ僕は皆さまに飲み物のお代わりを用意しますね。わんわん君、すみませんが手伝ってくれますか?」
「あ、はい。もちろんですっ」
隊長さんの言葉に直ぐさま席を立つ。
お茶くみは俺の数少ない仕事の一つだもんね。むしろ言われるまで気付かなくてすみません、て感じだし。
ただ、今回は他の意図があったらしく一緒に手伝おうとする他三人を
「わんわん君と少し二人だけで話したい事もあるので」
と断る隊長さん。
そうして俺たちは生徒会室の奥にある別室へと向かうのだった。
.
「え」
「うう……だって、皆楽しそう……わんわんの声、聞こえる。我慢、やだ」
「あ、ごめんねー。俺らの話し声がうるさくて集中出来ないんでしょ、ワンコ書記は騒がしいの嫌いだもんね」
「いっそ耳栓でも使いますか?」
「ダメ、わんわんの声……聞こえなくなる。耳栓いらな、い」
「面倒臭ぇなテメーは、じゃあどうすんだよ」
「頑張ってください、先輩ならきっと最後までやり遂げるって信じてます!」
いや、えーっと。
多分普通に手伝ったりすれば早く終わるんじゃないだろうか。その選択肢は無いの?
ちらちら俺を見る涙目の書記さまは、さっきからお仕事があまり進んでいないようだし。
ハア、とため息を吐く隊長さん。
「仕方ないですね、全く」
そう言って何やら書記さまに耳打ちを――。
え、どうして急にひそひそ話?
「!!」
突如くわっと目を見開いた書記さま(ちょっと怖かった)が物凄い勢いで机上のPCをカタカタ打ち始めた。な、何事!?
書類作成の続きだよねこれ。
ただし、速さが今までの比じゃないんだけど。一心不乱に文章打ち込んでて、手元の分厚い紙束がどんどん少なくなっていく。
す、すげぇよ書記さま。隊長さんは一体何を言ったんだ?
「ふう、ようやく真剣になってくださいましたか。この調子だと作業もすぐ終わりそうですね。ああ、でも念のため会長さまには引き続き、書記さまの監視をお願いします」
「お、おう」
名指しされ、ビクッとする会長さま。
ごまかすみたいに空咳を一つして自分の仕事机へと戻って行ったけれど。
会計さまなんか肩で笑ってるし、ばればれですよ。
実は意外と結構なビビりさんだったりすんのかな。
本人に言ったら怒られそうだけど、ちょっと可愛いかも。
「それじゃあ僕は皆さまに飲み物のお代わりを用意しますね。わんわん君、すみませんが手伝ってくれますか?」
「あ、はい。もちろんですっ」
隊長さんの言葉に直ぐさま席を立つ。
お茶くみは俺の数少ない仕事の一つだもんね。むしろ言われるまで気付かなくてすみません、て感じだし。
ただ、今回は他の意図があったらしく一緒に手伝おうとする他三人を
「わんわん君と少し二人だけで話したい事もあるので」
と断る隊長さん。
そうして俺たちは生徒会室の奥にある別室へと向かうのだった。
.
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。


お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる