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玄愛《炯side》
玄愛《炯side》4
しおりを挟む雅彦に抱かれたのは中2の冬だった。
俺は14で、雅彦が28だった。
キッカケは雅彦の一言。
「俺に抱かれてみるかヒカリ?」
タバコを吸いながら俺を見て、その綺麗なオッドアイに吸い込まれそうになった。
俺は雅彦が好きだった。
奴に家庭があろうと、気持ちは雅彦しか無かった。
だから抱かれるのに抵抗は無かった。
「《そう。いいよヒカリ。慣れてきたね。無理はするなよ?辛かったら言いなさい》」
「《いい子だ。そう、力を抜いて。上手だ。分かるかい?奥まで入った。…動くよ?》」
「《見てごらん。ここが繋がっているのが分かるかな?もう少し早く動くよ。辛かったら教えて》」
「分かるかヒカリ?こんなに俺のを咥えこんでる。おい、声を我慢してるのか?声を出さないのなら抜くぞ。嫌だろう?だから声を出せと言っている」
「《そう…いい声だ。もっとその可愛い声を聞かせてハニー》」
「逃げてみな、ヒカリ。おっと…本当に逃げようとしているのか?笑わせるな。そんな弱い力で?俺から逃げようとするなんて許せないな。罰として今の倍の速度で動くよ」
英語で攻めるときは紳士的なのに、日本語で攻める時はサディストのような雅彦のギャップに興奮している自分がいた。
行為が終わるとすぐにタバコに火をつけて、疲れてベッドに横になっている俺の髪の毛を撫でながら会話をした。
「《ヒカリ、身長伸びた?》」
「《今…172かな》」
「《まだ伸びそうだなぁ。靴のサイズは?》」
「《26》」
「《足もまだ大きくなりそうだな》」
そんなどうでもいい会話でさえ心地よかった。
肌触りの良いシルクのシーツが敷かれた広いベッドの上で二人きり。
雅彦の愛用のタバコの香りに包まれて。
目の前に雅彦がいる。
たったそれだけで、俺は満たされていた。
最後に抱かれたのは、もうすぐ中3になる時期の春休み。
「《ダメだよ、ヒカリ。自分でいじらないで。まだ俺を感じて。あぁ、可愛い。こんないけない手は、俺の手で繋いでしまおう》」
「こんなに締め付けてきてイヤらしいな。…もうイクのか?ダメだ、我慢しろ。どうして欲しい?ちゃんと言うんだ。言わないなら俺の濃厚なザーメンを注いでやらないぞ?」
「《もう限界かな?こんなにピクつかせて。いいよイキなさい。いっぱい出していいんだよ。……あぁ、たくさん出たね。可愛いよヒカリ》」
相変わらず英語と日本語で俺を支配する。
「 I love you Hikari 」
その言葉だけで俺は満たされる―…
ずっとこの関係が続けばいいなと思っていた。
その春、俺たち家族がアメリカから日本に帰国してすぐのこと。
雅彦が妻子の住むスイスで射殺されたとニュースで知った。
自分の息子が酔っ払いに絡まれて、子供を守った雅彦は運悪く銃で撃たれて死んだのだと。
ニュースを知り、放心状態に陥った。
――…まさか、死んだなんて
いつの間にか雅彦なしじゃいられない人間になっていた。
死んだやつは還ってこない。
頭では分かってる。
でも体は雅彦を覚えてるし、記憶の中で雅彦が動いている。
死んだなんてウソだろ?
なぁ、いつもみたいに聞かせろよ。
いつもみたいに愛してるって言えよ。
会いたい―…
俺はしばらく部屋から出ることも出来ず、泣き続けた。
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