囚愛-shuai-

槊灼大地

文字の大きさ
78 / 99
囚愛Ⅲ《テリーSS》《アルベルトside》

囚愛Ⅲ《アルベルトside》3

しおりを挟む
残業が終わり、エリックを地中海料理レストランへ連れ出すことに成功した。



「“2人の帰国は明後日か。エリックはいいの?雅と離れても”」


「“雅様には恋人がいる。こうして1ヶ月共に過ごせただけで幸せだった。また会えたらいいなと思っている”」



雅に恋人なんていないよ。
君の名前が刻まれた指輪を身に付けているんだよ。



「“…彼をまだ愛しているの?”」


「“私は死ぬまで雅様以外を愛すことはないと思う”」




ねぇエリック、そんなこと笑顔で言われたらさ。



僕の決心が揺らいでしまうよ。



知りたくなってしまうよ、君の想いを。



「“どうして彼から離れたの?”」



ずっと気になっていた。


エリックが何も言わずに雅から離れてアメリカにきた理由。



エリックは教えてくれた。



三科雅彦を守れなかったこと。


主を守れなかった自分が生きて幸せになるなんて許されない。



自分が死ぬべきだったのに雅が生きていることに感謝して、一緒になるなんてできない。



全て話してくれた。



あぁ、なんだ―…そういうことか。



それなら君は、幸せになるべきだ。



その時、テリーから空港に着いたと連絡が入った。



「“…そろそろ2件目に行こうか”」


「“どこへ?”」




空港へ向かい、車を停めてロビーを見渡すと雅とエリックが話しをしていた。



僕を見て、どうしてこの場にエリックを連れてきたんだよとでも言わんばかりの睨みをきかせる。



ねぇ、いいの?
本当にエリックを僕に渡しても?



やっぱり思い直して、エリックを連れ去ってよ。



ねぇ、雅。




「またね」


「ええ。また会いましょう」



「《さぁエリックもアルベルトも明日仕事でしょ?もう遅いから帰って。搭乗時間までまだだからさ》」



「《そうだね。帰ろうかエリック。雅、またね》」




エリックの腕を掴んで、奪い去ってよ―…



だってこれじゃまるで僕が悪者だよ?



二人の気持ちを知ってて何もしないなんて。





「“エリック、おやすみ…何かあったら連絡して”」


「“あぁ。アルも気をつけて”」



きっとまだ二人は空港にいるから、迎えに行こう。



そう思って僕は再び空港へと向かった。



もし空港までいくまでの間、エリックから連絡がきたら―…その時は遠慮なくエリックを僕のものにする。




車を走らせて空港に到着しても、エリックから連絡はこなかった。



じゃあ君は一人で泣いているの?
傷ついているの?




空港のロビーでは、大きな日本語でテリーが雅を怒っていた。



何て言ってるかは分からないけど、なんとなく予想は出来る。



「《もうテリーってば、そんなに大声張り上げたら警察呼ばれるよ?》」




僕は雅の肩を抱きしめながらテリーに注意をした。



「《アル…》」 


「《ねぇ雅、エリックは今ひとりで泣いていると思う。僕は彼を愛してるからほっとけない。その涙は僕じゃなくて君にしか止められないんだけど、協力してくれないかな?》」



「《なんなんだよ…二人して…俺は…俺は…》」



雅の目からは涙が溢れていた。




「《俺は―…弱くて…こんな俺…》」


「《雅、エリックは君に守られたいなんて思っていないはずだよ。弱くてもいい》」


「《俺なんかがエリックを幸せに出来るのかな…》」


「《君が隣にいるだけでエリックは幸せだよ。さぁ行こう雅》」



そのまま雅の肩を抱いたまま車まで移動し、エリックの家まで向かった。



深夜2時。



全員無言で、街中のネオンを見ながら移動した。



テリーがスペアキーで玄関を開ける。



僕は、一歩踏み出すのを躊躇している雅の背中をポンッと叩いた。



「《さぁ、勇気を出して。愛する人の涙を止めて、君の涙も止めてもらうんだ》」



そしてその背中に追いた手をグッと押すと、雅が歩き始める。









「“いいのかアルベルト?エリックを自分のものにするチャンスだったのに”」


「“あのさぁ、僕に協力させたのテリーでしょ”」








“空港に到着した。しかし飛行機のチケットはキャンセルしようと思う”






「“こんなメール送ってきて、そんなこと言うの?”」


「“ははは。俺は【思う】って言ったんだ。アルが【今から空港にエリックを連れて行くよ】なんて返事してこなきゃ俺たちは今頃雲の上だったかもなぁ”」


「“なにそれ。まぁ…僕はエリックを譲られたいんじゃなくて、奪いたいんだ。エリックの気持ちごとね”」


「“それは盗賊に頼んでも難しいな”」


「“じゃあ僕が優秀な盗賊に転職しないとね”」




僕はエリックの幸せを願ってるから。



さぁ雅、あとは君次第だよ―…



エリックを幸せにするのも、
君が幸せになるのも、




―…あとは全て君たち次第



【to be continued】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

処理中です...