囚愛-shuai-

槊灼大地

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囚愛Ⅱ《SS》

囚愛Ⅱ《テリーSS》

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「ソフィア様…やはり春になったら日本を離れます」




天気の良い午後のティータイム。



推しであり自分の主であるソフィア様と楽しんでいるその場所で、エリックが衝撃の発言をする。



ソフィア様はゆっくりと紅茶を飲み、そしてエリックを見上げて言った。



「…雅を愛しているから?」



ソフィア様の落ち着きよう。
まさかこの件を知っていたのか?



「はい」



雅様がエリックを愛しているのは知っている。



そしてエリックも雅様を徐々に愛し初めているのは感じ取れていた。



「私はエリックと雅が一緒になって欲しいと思っているわ。私が許可しても離れたい?」



執事と主の関係。



それが理由で離れるのならば、ソフィア様の許可をもらってハッピーエンドだろう。
  


「私は雅彦様を守れなかった。本来死ぬべきは私でした。だから幸せになる権利など無いのです」



「あれはあなたのせいじゃないわ。あの日が私の誕生日でなければ…」



「違いますよソフィア様。あの日、私は雅彦様に付いていくべきだったのです。職務放棄も同然…執事失格です」




違う。



エリックのせいでもない。
ソフィア様のせいでもない。
雅様のせいでもない。




「雅様を愛して、愛されて、満たされて、幸せを感じる度に自分が憎くて仕方ないのです。雅彦様が死ななければ今は無い。今を喜んではいけないのに…」



「エリック…」




そして後日、【雅様との執事契約を卒業する日で終了する】という契約書にサインをするエリックに問う。



「エリック。本当にいいのか?」


「もう決めたことだ」

 
「雅様を愛してるんだろう?」


「愛しているから…だから、雅様が生きててよかったと思ってしまう自分が嫌なんだ。私は雅彦様を守れなかった」




違う―…




「あのとき、共に行動していれば守れた命だった。私は幸せになってはいけない。死ぬべきは私だった」




違う、違う、違う
違う、違う、違う




「あれはお前のせいじゃない。お前がいても守れたかどうか―…」



俺は知ってたんだ。



あの日、雅彦様が命を狙われていることを。










―…13年前のあの日





エリックの母が亡くなり、雅彦様が一人でスイスに来ることになった。




その情報をソフィア様から仕入れたコルビナ様から俺に連絡が入る。






『《帰国の空港で三科雅彦を殺すわ、協力しなさいテリー》』





そう言われて、三科雅彦が狙われているのは知っていた。



だから帰国の空港でお守りすればいいと思っていた。



暗殺しようとしている怪しいやつを見つけて、何か理由をつけて失敗したと伝えればいいと思っていた。



雅彦様のスイスの滞在期間は2週間を予定していた。





「《テリー、ディナーの予約の日を1日ずらしてくれる?そしてその日は休暇を取りなさい。家族だけで楽しむ日にするわ》」


「《―…かしこまりました》」




ソフィア様の誕生日の翌日、家族だけで楽しみたいと言われ内心は苛々したものの従うしかなかった。



ソフィア様は三科雅彦を心から愛しているから。



だから楽しんで欲しいと思ったんだ。




―…油断した




実際はスイスに着た翌日、予約していたレストランで殺された。本来の殺害予定とは別の日に。



ソフィア様と雅様の前で射殺されたんだ。




「《コルビナ様!殺害予定は帰国日でしたよね!?》」



国際電話でコルビナ様に確認をするも、彼女は電話越しでも分かる笑みを浮かべて俺に言った。



『《まずは味方から騙さないと。念には念を、ねぇ》』




俺は唯一彼が狙われていたのを知ってた。
それなのに守れなかった。



だから、三科雅彦が死んだのは俺のせいなのに。




それでも事実を言えばソフィア様に軽蔑される。



もう一緒にいることはできない。



だからずっと、この事実を言えないでいる。



一番最低なのは俺なのに。














「《なんだよこれ…知ってたのかテリー!?エリックがいなくなること!母さんも!》」




卒業式が終わり、エリックにプロポーズをしようと張り切っていた雅様が枯れた白薔薇を手に握りしめて俺とソフィア様を睨みながら怒鳴る。



「《…エリックが選んだことです》」


「《私は引き留めたわ。でもエリックは離れることを選んだの。行き先も分からないわ》」




あぁエリック…


この取り乱す雅様を見せたら、お前は戻ってくるのか?



俺が事実を言って、本当は俺のせいで三科雅彦が死んだと伝えれば、お前たちは結ばれるのか?




「《なん…だよ…それ…嘘だよね?戻ってくるよね?》」



「《エリックのサインがしてあります。契約終了の契約書です》」




―…俺が事実を伝えれば




お前たちが離れる理由なんてないのに。



あぁ、



事実を言えない俺をどうか憎んで―…




【to be continued】
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