41 / 99
囚愛Ⅱ《エリックside》
囚愛Ⅱ《エリックside》3
しおりを挟む雅様は私の元へ駆け寄り、手を掴んでどこかへと歩き出した。
「帰ろうエリック」
「打ち上げはよろしいのですか雅様?」
無視。
何か怒っていらっしゃるのか…?
手を引く力が強い。
「雅様?」
向かっている先は寮だった。
打ち上げはしないで本当に帰るつもりなのだろうか。
寮の部屋の鍵を開けて、半ば強引に私を中へ連れ込んだ。
「私ならどこかで時間を潰して待って―…ん」
そして私が話し終わる前に、ドアに押し付けてキスをする。
いつもとは違う、雅様らしくない強引で優しくないキス。
一体どうしたのだろうか。
「《暇潰しって…哀沢先生と?》」
両手で私の頬を押さえ、私を見つめて無表情で英語で問いかける雅様。
「んっ…は…ーっ…ん…n」
NOと答えたいのに、再び唇が重なり、舌を遊ばれる。
「Say something」
何か気に触ることをしてしまったのか?
本気で怒っている時、雅様は日本語を使わない。
「―…んっ―…は、…あ、…ん」
「Did you hear what i said? 」
考える時間も、答える時間も、キスによって封じられてしまう。
「んっ…みや―…ふぁ…んん」
「C'mon」
私のサングラスが床に落ちても雅様はキスを続ける。
「《俺とセックスするときみたいに髪の毛おろして、哀沢先生とどこか行ったって言われたら嫉妬するに決まってる》」
「《ん―…ヒカリは、別に…んっ…は…ん…》」
「《他の男の名前呼ばないで》」
嫉妬…?
こんなにも感情的になるほど私がヒカリと一緒に居たことに苛立っているのか。
「《エリックに逢いたくて逢いたくてたまらなかった。打ち上げなんてどうでもいい》」
その嫉妬が嬉しいと感じてしまった。
愛されていると実感してしまう。
「キスだけでこんなに硬くして…ヤらしい」
いつものように俺のキスだけで硬くなっている私の股間をさする。
そしてキスをしながら私のズボンの中に手を入れて、硬くなっているモノを掴んでゆっくりと上下に動かした。
「嫌…です!こんな…場所、でっ!アッ、―…あっ、あっ」
こんな、学校で。
文化祭で人が多い時に。
竜が帰ってきてしまうかもしれない部屋で。
廊下に誰かいるのかもしれないのに。
「これ鎮めないと帰れないでしょ」
「はっ、あっ、ん…手、―…止めっ、あっ…」
「嫌だって言いながらこんなにヌルヌルさせてさ…ここどこだか分かってる?」
そして手を離し、屈んで私のズボンを下げて硬くなったモノを露にさせて口に含んだ。
「雅様っ…!!」
「誰が来るか分からないから早く出しちゃおっか。声出さないようにねエリック」
そう言って再びフェラチオを続ける。
2ヶ月ぶりに感じる下半身の快感に私は立っていられず、ドアに背中をつけたまま座り込んだ。
「あっ…アッ…んん―…み、や…」
嫌がって雅様の頭を掴み離そうとするものの、私の腕の力よりも雅様の首の力が強く、離せない。
亀頭だけを口に含んで舌を動かされたり、裏筋に舌を這わせて吸い上げたりを繰り返されると、嫌なのに声が制御できずにされるがまま。
「はっ―…あっ…ンンッ」
「人が来たらまずいから、声出さないように指咥えてて」
「ふぁ…んっ…は―…」
雅様は舌の裏側で性器を刺激しながら右手の中指と人差し指で私の舌を弄る。
唾液を吸う暇なんて与えてもらえない。
左手で私のモノを上下させながら口で含む動作を繰り返すと、自分でも呼吸が荒いのが分かった。
「雅、様…放し、て…もうっ」
行き場を無くした唾液を口から垂らし、力なんて入らないのに再び雅様の頭を掴んで放そうとする。
しかし止まらない。
無力にも、唾液が雅様の指をつたって床に垂れる。
やばい。
もう、そろそろ―…
「いいよ。イッて」
「―…ッ!」
そして2ヶ月ぶりに快感と同時に主様の口内に精液を出した。
雅様はそれを全て飲み込み、舌で自分の唇を1周させたあと放心状態の私を見つめて言う。
「続きは帰ってからね」
お互い普段と変わらぬ様子で帰宅し、いつものように皆で夕食をとり、23時に部屋をノックする音が聞こえた。
ああ、本当に雅様が帰ってきたのだと実感した。
ベッドの上で本を読んでいる私に近づき、キスをする。
「あぁ2ヶ月長かった。愛してるよエリック」
2ヶ月ぶりに雅様に抱かれ、自分の気持ちを再確認した。
初めて雅様を愛していると自分自身で認識してからのセックス。
心も体も満たされる。
こんな感情知らなかった。
この感情が一時的なものであって欲しいのに、日に日に雅様への気持ちが深くなってしまう。
―…あぁ、ならば尚更離れなくては
―10月某日―
庭のテーブルでティータイムを楽しんでいるソフィア様とテリーの元へ向かった。
「ソフィア様…やはり春になったら日本を離れます」
その発言に、テリーは驚いていた。
ソフィア様はゆっくりと紅茶を飲み、そして私を見上げて言った。
「…雅を愛しているから?」
なぜ分かってしまったのかと一瞬驚いたが、長年お世話になった方に嘘はつけなかった。
「はい」
「私はエリックと雅が一緒になって欲しいと思っているわ。私が許可しても離れたい?」
これ以上ない程、光栄なことなのに。
それでも私は―…
「私は雅彦様を守れなかった。本来死ぬべきは私でした。だから幸せになる権利など無いのです」
「あれはあなたのせいじゃないわ。あの日が私の誕生日でなければ…」
「違いますよソフィア様。あの日、私は雅彦様に付いていくべきだったのです。職務放棄も同然…執事失格です」
ずっと心の奥底で眠っていた感情。
何年経っても、誰に何を言われても、自分が自分を許すことができない。
自分のせいだと思わないと、あの方の死を受け入れることが出来ない。
雅彦様を守れなかったのに、
本来死ぬべきは私だったのに、
幸せになどなれない。
「雅様を愛して、愛されて、満たされて、幸せを感じる度に自分が憎くて仕方ないのです。雅彦様が死ななければ今は無い。今を喜んではいけないのに…」
満たされる度に苦しくて、
愛される度に嬉しくて、
愛する度に消えたくて、
だから、離れなくては―…
「エリック…」
気付けば私の目から涙が溢れていた。
ソフィア様もテリーも困っているのに、涙が止まってくれない。
「分かったわエリック。でも条件があるの。それを呑んでくれたら契約を終了するわ」
「条件…?」
「L.A.校は、あなたの実家からも近いのよね?つまり雅彦が幼少期に住んでいたアメリカの屋敷も近い。だから、そこに住んで欲しい。条件はそれだけ」
私が最期まで雅彦様と共に過ごしたあのアメリカの豪邸。
たくさんの想い出が詰まったあの場所。
「もちろん雅にあなたの居場所を伝えないし、こちらからも必要最低限な連絡はしない。雅彦のこと思い出して辛いかもしれないけれど…どうかしら?」
またあの場所に帰れるのか。
とても光栄なことだ。
「いいえ。ありがとうございますソフィア様。契約終了まで宜しくお願いします」
そして後日、
【雅様との執事契約を高校卒業する前日で終了する】という契約書にサインをした。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。
してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。
そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる…
ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。
有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。
美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。
真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。
家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。
こんな私でもやり直せるの?
幸せを願っても…いいの?
動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる