23 / 99
囚愛《エリックside》
囚愛《エリックside》2
しおりを挟む毎年夏頃になると、雅様はU-15のダンス大会に出場する。
その時私はリモート講義を1週間ほど休み、雅様と共に遠征する。
15歳の夏の大会。
優勝した日の夜、ホテルの部屋の手配でトラブルが起きた。
「ツインではなくてダブル…ですか?」
「申し訳ございません。部屋にトラブルがありまして…ツインは満室で空いていないんです」
「困りましたね…」
大会前にあんなに練習をして、疲れているであろう雅様がゆっくり夜に眠れないのは戴けない。
別のホテルを探すか?
「いいよエリック。どうせ寝るだけだし」
そう言って雅様は、フロントマンから部屋のキーを奪って部屋へ向かった。
「すみません、雅様…」
「大丈夫だよ」
夕食を済ませ、そろそろシャワーを浴びようと準備していると雅様に押し倒された。
ベッドの軋む音と共に、私を見下ろしている雅様がいた。
一瞬、何が起こっているのか脳が理解する前に首筋を舐められ、雅様の荒い呼吸が耳元から聞こえる。
「雅様―…?」
「エリック…好きだ…」
そして雅様は自分のズボンをさげ、私のシャツのボタンを外し、上半身を露にさせた裸体を見た瞬間―…
「―…!!」
私の腹部に雅様から放たれたばかりの熱を帯びた精液が飛び散る。
恥ずかしそうな雅様の顔を見て、冷静になれた自分がいた。
そうか。
そうだよな。
もう雅様も15歳で中3なんだ。
そういうお年頃だ。
私は自分の腹部に放出された雅様の精液を拭き取りながら、笑顔で言った。
「ふふ…雅様もそういうお年頃なのですね。言ってくだされば練習相手になったのに」
なぜ気付かなかったのだろうか。
「さぁ、もう寝ましょう」
翌日は前日の夜に何事もなかったかのように観光を楽しんだ。
しかし、その間も私は雅様の性欲について今後どうしていくべきなのかを考えていた。
「テリー」
「ん?」
「雅様も年頃のようで。セックスについてきちんと教えないといけないんだよな。どうしようか悩む」
「何かあったのか?」
そこでテリーに今回の夜のことを伝えると、テリーはとても悲しそうな顔をしていた。
「Oh…雅様…」
「どう教えていくべきか。私も性欲が無いから勉強をしないといけない…」
その日から休日を利用して性に関する情報を収集したり、動画などを見て知識を付けた。
雅様が私を押し倒したということは、女性じゃなくて男性を抱きたいのかもしれないと思い、念のためどちらの知識も頭に入れることにした。
そもそも私は性欲が無い。
そういう類いのものを見ても興奮せず、体も反応しない。
「俺じゃダメなのか」
「私に魅力がないからなの」
何人の恋人にそう言われて別れを告げられたか。
恋愛はよく分からない。
好きという感情も。
そもそも恋人がいたのも執事学校時代のみで、卒業後は雅彦様に遣えていたし、もう20年も恋人がいない。
いたとしても、どうせ悲しませてしまう。
自分はこうして主に遣え、執事業をしている方が性に合うのだ。
こんな私には恋愛は向いていないと今回改めて思った。
それから雅様に押し倒されることもなく、2年が過ぎた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
明日、君は僕を愛さない
山田太郎
BL
昨日自分を振ったはずの男が帰ってきた。ちょうど一年分の記憶を失って。
山野純平と高遠英介は大学時代からのパートナーだが、大学卒業とともに二人の関係はぎこちなくすれ違っていくばかりだった。そんなある日、高遠に新しい恋人がいることを聞かされてーー。
憧れの先輩に抱かれたくて尿道開発している僕の話
聖性ヤドン
BL
主人公の広夢は同じ学生寮に住む先輩・日向に恋をしている。
同性同士だとわかっていながら思い余って告白した広夢に、日向は「付き合えないが抱けはする」と返事。
しかしモテる日向は普通のセックスには飽きていて、広夢に尿道でイクことを要求する。
童貞の広夢に尿道はハードルが高かった。
そんな中、広夢と同室の五十嵐が広夢に好意を抱いていることがわかる。
日向に広夢を取られたくない五十嵐は、下心全開で広夢の尿道開発を手伝おうとするのだが……。
そんな三つ巴の恋とエロで物語は展開します。
※基本的に全シーン濡れ場、という縛りで書いています。
僕の宿命の人は黒耳のもふもふ尻尾の狛犬でした!【完結】
華周夏
BL
かつての恋を彼は忘れている。運命は、あるのか。繋がった赤い糸。ほどけてしまった赤い糸。繋ぎ直した赤い糸。切れてしまった赤い糸──。その先は?糸ごと君を抱きしめればいい。宿命に翻弄される神の子と、眷属の恋物語【*マークはちょっとHです】
王のβ~異世界後宮物語~
トモモト ヨシユキ
BL
売春宿で男娼をしているセイは、『いかずのセイ』と呼ばれていた。
ある夜に出会ったアルファの客に抱かれたセイだったが、その翌日、王宮からの使者に連れていかれたのは、王の後宮で・・
エブリスタ、フジョッシーにも掲載しています。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる