掴めない雲/エゴイズム

槊灼大地

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エゴイズム

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「綾―?」


不安そうな顔の愁弥を見下ろす俺に更に不安に駆られたのだろうか、情けない声で俺を呼ぶ。


そんな顔をルイにも見せたのか?
ルイに対して沸き起こると思っていた感情が愁弥へと大きく傾く。






「―お前が誘ったんじゃないのか?」


違う、



「なっ!違う!誘ってなんかいない!!」


ほんとはこんな事が言いたいんじゃない



「俺の事が好きだと思ってたのになぁ―、残念だ」


クッ、と喉の奥で笑ってやった


―ほんとは違うのに
怖かったな、ごめんな、って

抱き締めてやって
髪を撫でてやって
落ち着くまで背中を擦ってやって―




「趣旨変えってヤツ?」


ギリギリと音がするくらいに手首を掴んでやった。

痛みに耐える顔が何とも扇情的で



「こんな純粋そうな顔してさ」



口を閉ざして、ただ黙って俺の罵声を聞いている

ほんとは分かってる
愁弥がどれだけ俺の事が好きで
こんなフラフラしてる俺でもずっと一途に想っていてくれてるって

俺は何処まで愁弥を苦しめるのだろう



「なぁ、愁弥?俺とアイツ、どっちがいいか教えろよ?」


愁弥が俺を裏切るなんてないだろ

―根底にある俺の思いも呆気なく黒く塗り潰され。


ほんとは、

ルイをぶっ飛ばして、俺の愁弥に近づくな、とかそんな格好良い事言って
今すぐにでもやるべき事は決まっているのに

目の前で懇願する愁弥をどう酷くしてやろうか、と
その事ばかりが俺の脳味噌を占めていて

何て奴だ、俺は―



「、綾っ!」


首筋から舌を滑らせ、へその辺りを一周すればビクリ、と体を跳ね上がらせる。

その舌を往復させ今度は唇を一周してみる。



「―、口開けろ」


言われた通り、口を開けて舌を差し出して
唇と唇がより密着するように角度を変えて。

お前の何もかもが欲しいと思う俺の欲望は何処まで肥大化するのだろうか


スルスルと下半身へと手を伸ばせば足を捩って抵抗する
―結局最後は足を開いてもっと、と強請るのに



「あーあ、こんなんなってるけど?アイツに触られてもこうなっちゃうの?」


下着の上からゆっくりなぞると厭らしく息が漏れた。
それに気を良くした俺は更に少し強めに擦ってやった。



「ああっ!はっ、」


大袈裟なくらい声を出して

醜い嫉妬と、興奮と、いろんな感情が入り混じって
ああ、どうにかなってしまいそうだ


「すっげ…なぁ、自分でも分かる?」


愁弥の手を自らのソレへと導いた。



「や、やめっ―」

やめて、と口では言っても自分のソレをしっかりと握って放そうとはしない。



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