76 / 93
三人目:魔王の娘ヘルクレア
魔王の娘ヘルクレア12
しおりを挟む
(ああ・・・僕はまた・・)
「にいさんっ!」
ドンッと兄に体を押され床に尻餅をつく。
兄は突然現れた大人の男と取っ組み合いになった。
僕は恐怖のあまり足がすくんで、立ち上がることすらできなく、ただその場で怯えることしかできなかった。
流石に大の大人の力と10代の子供の力では力量差はまるで違った。
兄を床に組み伏せると顔を何度も殴りつけた。
兄の顔は一瞬でボコボコに腫れあがり、殴られるたびに、大量の血と歯が飛び散った。
あまりの恐怖に気づけば僕は失禁していた。
玄関の開く音と共に父親が帰宅する。
玄関先で異常な光景を目にした父親は大声をあげた。
「貴様ぁあああ!!!」
父は手に持っていた仕事用の鞄を男に投げつけると男に飛び掛った。
ゴロゴロと転がるように組み伏せあいが繰り返され、父がマウントした状態になった。
「よくも・・・!!よくもっっ息子をっっ!!!!!」
ガッ!!と男の首を掴み一気に締め上げる父の姿を、ただ漠然と見ることしかできなかった。
大声をあげて父が男の喉を締め上げていたが、男は弱った手つきでポケットに手を入れて何かを取り出し
それを父の懐に突き立てた。
その瞬間に父の手は緩み、するりと抜け出すと男は家から逃走した。
漠然とした光景を目にして動けない少年、近づいてくるサイレンの音。
(もういやだ・・・・誰も・・・僕は・・っ!!)
「滝谷っっ!!!」
パアンッ!!と一発の銃声が鳴り響くと、一人の女性の体を貫いた。
「母さんっ!!!母さんっ!!!あああっ!!ああああああ!!!!!血!血がっ!!あああ!!!」
「かあさんっ!!!かあさんっ!!!かああさんっ!!ああああ!ああああ!!ああああ!!!!!」
ぎゅっと母親の体を抱きしめて何度も母親の名を叫んだ
「なんでだよっ・・・どうしてまた、こんな・・・ひどいよっ・・どうして!!ああああっ!!」
「やべぇ!おまわりだ!てめぇらズラかるぞ!!!!」
銀行強盗にやってきた男達は窓のガラスをぶち破り逃走した。
僕は絶対に許さない、助けることができなかった僕自身の勇気に。
今、目の前で助けられるかもしれない人をほおっておけるはずがない。
「僕はもう・・・二度と逃げないって・・立ち向かう勇気を、誓ったんだっ・・・!!」
大粒の涙を滝のように流し、止まることのない涙、何度目を閉じても潤んだ目。
ガチガチと震えていた歯は、いつしか噛み切るように力強く食いしばっていた。
「もう僕の目の前で人を殺させやしないんだああああああああっ!!!!!」
ファントムダンサーをヘルクレアのお腹に突き立てた。
「アアアアアアアアアアアッ!!!!!!やれええええええええええええっっっっ!!!!!!!」
激しい叫び声が鋭く耳を破ると同時に大粒の涙が宙に弾けとんだ。
「にいさんっ!」
ドンッと兄に体を押され床に尻餅をつく。
兄は突然現れた大人の男と取っ組み合いになった。
僕は恐怖のあまり足がすくんで、立ち上がることすらできなく、ただその場で怯えることしかできなかった。
流石に大の大人の力と10代の子供の力では力量差はまるで違った。
兄を床に組み伏せると顔を何度も殴りつけた。
兄の顔は一瞬でボコボコに腫れあがり、殴られるたびに、大量の血と歯が飛び散った。
あまりの恐怖に気づけば僕は失禁していた。
玄関の開く音と共に父親が帰宅する。
玄関先で異常な光景を目にした父親は大声をあげた。
「貴様ぁあああ!!!」
父は手に持っていた仕事用の鞄を男に投げつけると男に飛び掛った。
ゴロゴロと転がるように組み伏せあいが繰り返され、父がマウントした状態になった。
「よくも・・・!!よくもっっ息子をっっ!!!!!」
ガッ!!と男の首を掴み一気に締め上げる父の姿を、ただ漠然と見ることしかできなかった。
大声をあげて父が男の喉を締め上げていたが、男は弱った手つきでポケットに手を入れて何かを取り出し
それを父の懐に突き立てた。
その瞬間に父の手は緩み、するりと抜け出すと男は家から逃走した。
漠然とした光景を目にして動けない少年、近づいてくるサイレンの音。
(もういやだ・・・・誰も・・・僕は・・っ!!)
「滝谷っっ!!!」
パアンッ!!と一発の銃声が鳴り響くと、一人の女性の体を貫いた。
「母さんっ!!!母さんっ!!!あああっ!!ああああああ!!!!!血!血がっ!!あああ!!!」
「かあさんっ!!!かあさんっ!!!かああさんっ!!ああああ!ああああ!!ああああ!!!!!」
ぎゅっと母親の体を抱きしめて何度も母親の名を叫んだ
「なんでだよっ・・・どうしてまた、こんな・・・ひどいよっ・・どうして!!ああああっ!!」
「やべぇ!おまわりだ!てめぇらズラかるぞ!!!!」
銀行強盗にやってきた男達は窓のガラスをぶち破り逃走した。
僕は絶対に許さない、助けることができなかった僕自身の勇気に。
今、目の前で助けられるかもしれない人をほおっておけるはずがない。
「僕はもう・・・二度と逃げないって・・立ち向かう勇気を、誓ったんだっ・・・!!」
大粒の涙を滝のように流し、止まることのない涙、何度目を閉じても潤んだ目。
ガチガチと震えていた歯は、いつしか噛み切るように力強く食いしばっていた。
「もう僕の目の前で人を殺させやしないんだああああああああっ!!!!!」
ファントムダンサーをヘルクレアのお腹に突き立てた。
「アアアアアアアアアアアッ!!!!!!やれええええええええええええっっっっ!!!!!!!」
激しい叫び声が鋭く耳を破ると同時に大粒の涙が宙に弾けとんだ。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる