上 下
70 / 93
三人目:魔王の娘ヘルクレア

魔王の娘ヘルクレア6

しおりを挟む
「ワカッタダロウ、ヘルクレア。ボクガ、ズット味ワッテキタコノ屈辱ヲ」

ヘルクレアは剣にしがみつくように重力に逆らいながら言う

「ああ・・・ドーンベルグ、貴様の気持ちはよくわかった・・・だからどうした・・」

「ナニ?」

「だからどうしたと言ったんだ。戻ってこい・・ドーンベルグ!!」

「何ヲ言イ出スカト思エバ、話ニナラナイネ、戻ッテコイダッテ?馬鹿ニスルナ!!!!」

「馬鹿になどしていないさ・・・お前は、私にとっては唯一の血脈、たった一人の「弟」なのだからな」

「ウルサイッ!!!!!!!ウルサイ!!!ウルサイウルサイウルサイウルサイ!!!!ダマレ!!!!!」

魔神龍の気に触れたのか、自分でも制御しきれないほどの魔重力をヘルクレアにかせる。

「グアアアッ・・・アアアアアアッ!!!!!!!!」

メキメキと体が軋む音がする。

「モウ、ボクニハ戻レル場所ナンテアルワケガナイダロッ!!!ソレニ・・・戻ルツモリナンテ・・
ボクニハ・・・ボクニハナインダアアアアアアアアア!!!!」

魔神龍は、おそらく自分の中にある全ての魔力を振り絞って私を魔力の圧で殺そうとし始めた。

「わからずやっ・・・・・!!!!!」
ヘルクレアは唇を噛みしめて、そう告げると体に力を入れ始める。

強大な魔力の重力に膝を落としそうになりながらも、握り締めている剣に力をこめる。

大地に突き刺さっている剣がオレンジ色に光り始める。

「はああああっ!!!!!」

じょじょに重力の圧が緩くなっていく、それはヘルクレアから放出される魔力の波動によるもの。
ヘルクレアの体は白い光を仄かに放ちながら、髪の毛や服が浮き始める。

「獄炎の業火にその身を刻め!!!爆炎剣!!イグニスブレイカーーーッ!!!!!」

大地に突き刺さっている剣から大地が一直線に龍に向けてひび割れていき
一瞬足元が光ったと思うと、爆発したかのように勢いよく、灼熱の炎の柱が舞い上がり、あっという間に龍を炎で隠した。

「グアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

強大な魔力の波動により魔神龍の両手足、頭の角などが一瞬で吹き飛び、噴出した血は一瞬で蒸発した。

「バ、バカナ・・・コンナコトガ・・・神ヲ・・超エルトイウノカ・・」

「アアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

強大な魔力と魔力のぶつかり合いによる、地震により大地が上下に激しく揺さぶられている。
その中、ヘルクレアが渾身の叫砲をすると同時に剣を大地から勢いよく引き抜き
自分の背に振ると、極限まで加熱された空気と炎が混ざり大爆発を引き起こした。

半径500mくらいの範囲が円を描くように爆発し、魔神龍ドーンベルグの体は木っ端微塵に粉砕した。
魔力の源だったドラゴンの心臓を失ったドーンベルグは本来の姿に戻っていた。

空から白煙を身にまとわりつかせ落下してくる弟が心に語りかけてくる。

「ボクはね・・・ただ・・・認められたかっただけなんだ・・」
キラキラとドーンベルグの体が光り始める

「ああ」

うっ・・・と片手でお腹を押さえながら、剣を大地に突き立て、足をガクガクさせながら立つ。

「もう・・一人はイヤだよ・・・・・・ヘルクレア・・姉さん」

空にいる弟に手をかざし、その手をぎゅっと握る。

「お前はもう、一人じゃないよ、私の中で生き続けるんだ」

そう言うとドーンベルグは笑顔を見せた


その言葉を最後に星屑となって私の体内に吸収された。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...