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三人目:魔王の娘ヘルクレア

別次元の私20

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ゴポオォッ!!!っと血を吐くと、その背中からトンボの羽のようなものが生え
その両手足の筋肉は倍増して膨れ上がっていた。

極限まで膨れ上がった体は緑色から赤色に変化していた。

「これが俺様の究極進化状態だ。今までこの姿を見て生き残ったヤツはいねぇ」

ルドラはその羽をばたつかせ、宙を舞う

あまりの速さに残像が見え、何人もいるようにみえる

「どうしたヘルクレア!!!この俺様を捕らえてみせろ!!ハハッ!!!
お前じゃ俺を捕らえることはできねぇ!!!」

ヘルクレアを中心に飛び回るルドラ

それを見たヘルクレアの口元が緩む。
「少し遊んでやる」

その場に残像を残してヘルクレアが消える。

「!!!、ヤツめ、どこへ!!」

「ばかが、ここだっ!!!」

神速のルドラのすぐ横にヘルクレアが存在していた。

そのまま剣でルドラを切りつける

切りつけられたルドラは出血しながらも距離をとった。

が、距離をとった先にヘルクレアが回りこむ

「どこを見ている!」

「!!!」

ルドラが振り向くとそこにはヘルクレアの存在。

「バカなっっ!!なぜっ!!!なぜだ!!!なぜいる!!!」

咄嗟に軌道を変えてヘルクレアの剣を避ける、剣は空を切る。

「なぜ俺の速さについてこられるんだ!!! ありえねぇ!!!」
「こんなこと・・・あっちゃなんねぇだろ・・・俺が・・俺が、俺が!!!!俺が!!!!!!!!!!」
「俺が最速なはずだああああああ!!!!」
今まで見せたことのない、一番の加速を見せた。

「チェックメイトだ、ルドラ」

ルドラの腹には、ルピエットの剣が突き刺さっていた。



「あなたは本当に足が速いのね」
「父さんも誇りに思うぞ」
頭をなでられて喜んでいる少年の姿
その速さを生かし、配達の仕事をしていた。

しかし、その少年は生まれつき、奇形の姿で生まれてしまう。
人間の間に生まれたはずの子は、なぜかその両手が鎌のようになっていて
全身が緑色がかっていた。

子供を世間の目から隠すため、山倉で暮らしはじめるが
どこで噂を知ったのか、近隣の街の者が、災いになる前にその子供を殺せと強く迫った。
毎日毎日いつやってくるかわからない、ドアを叩く音に恐怖して
家族は肩を寄せ合った。

ある日、子供がいつものように配達の仕事から帰ってくると
玄関のドアが開いていた。

「母さん?」

家の中に入ると、そこに父親と母親が無残にも剣と槍で突き殺されていた。

少年はかけよった。
だが、もはや父親の息はなく。
母親もまた、死の間際であった。

「ごめんね・・・ルドラ・・・こんな人生になってしまって・・」
ごぽっと 口から血が溢れる。

「母さんっ!!!」

「・・・生きて・・・生きるのよ、ルドラ」

母親は息を引き取った。


その時、少年の中で何かが壊れた。
隠れて生きる必要性がなくなった彼は。服を脱ぎ去り人里に下りていく。

幼い少年のその知らぬ刃は、街で研ぎ澄まされていき、全てを切り裂いた。
何もかも全て、自分の人生を台無しにしたこの世界をぶち壊すために。


「あぁ・・・消える・・・ようやく俺もそっちに行けるよ 母さん」
「次は・・・人間に・・生まれ・・」

最後まで言葉を発する前にルドラは消滅した。

星屑となったルドラの魂が私に吸収されていく。

その魔力から感じ取れる感情
「絶大なる力・・・これほどの力を持った相手と戦っていたのだな・・私は」





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