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二人目:吟遊詩人は少女に謳う

詩人と少女13

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「メアリー」
音色が止まり、振り向く
「あ・・アベルさん・・ごめんなさい 勝手に笛借りてしまって」
アベルは近くに寄る
「いいよ、しかし驚いたな どうして君がこの曲を? 私は一度も教えたことがないのに」
「あー・・・なんとなくですけど・・音色 覚えちゃって 頭から離れなくて
どうしても一度吹いてみたいと思っていたんです。」
アベルはメアリーの肩にポンと手を置く
「そう・・ねぇ、よかったら教えてあげようか 吹き方教えてあげる」
「いいんですか?!」
「いいよ」
アベルは優しく微笑むとメアリーと同じ位置に腰をおろす。
練習は少しの間だけだったけど、メアリーは飲み込みが早く
数日もすれば完璧に吹ける感じに思えた。
「そうだ、メアリー この仕事が終わるまで その笛は メアリーが預かっててくれないかな?」
「いいんですか・・?」
「うん」
メアリーは嬉しそうな表情をしていた。
しかし何かに気づいたのか、少しもじもじしている。
「・・・?」

チラチラと私の指を見ていた
なんだろう、私の指珍しいかな?
自分の指を見てみると、左手の薬指にレーネの指輪がはまっていた。
「アアアアアアッ!!ちがっ こ、これは ちがうん!!知り合いから貰ったってだけで!!結婚指輪とかじゃないからっ!!!」
バババッ!!と焦りながら指輪を外しポケットに隠す。
「そ、そうだったんですね・・・私・・てっきり・・・」
すごい顔が赤くなってる
「ち、ちがうからね?!?!勘違いしないでね!!私が好きなのはメアリーだから!!!」
すっごいストレートに好きといわれて さらに顔が赤くなるメアリー
「は、はぃっ」
「そうだ、よかったらこの指輪も持っててくれないかな?」
「えっ?? で、でも大切なものなんじゃ」

「うんまぁ それなりに大事なのかなぁ? とゆっても困ったら路銀にでもしろって言われて渡されたような指輪だから」
「そうなんですね・・・でも受け取れないですよ・・・高価なものならなおさらです・・
いまだってもう アベルさんにこの恩を返せるかどうか・・・」

メアリーの左手を掴むと ゆっくりと自分の前に寄せる
彼女の薬指に指輪をスポッとはめた。
「はい、しっかり持っててね 仕事上、私が持ってると無くす可能性がありそうだからさ」
こうしてみると完全に婚約指輪にしか見えない
メアリーはそうイメージしてしまって顔が赤くなる。
「わ、わかりました・・・無くさない様にしますね」
(あわわ・・・・アベルさんから指輪つけられちゃったよお・・・・ど、どうしよう・・・)
メアリーは頭の中がぐるぐるして気絶してしまった。
「ああっメアリー!メアリーー!!!」
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