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二人目:吟遊詩人は少女に謳う

少女と詩人3

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男の表情は明らかに、先ほどの煙草の作用なのか かなりとろんとしている。
逃げるなら今しかないと思ったメアリーは思いっきり男をビンタすると
男の掴んでいる両手の力が緩む、その瞬間を突いて するりとベッドから抜け出すと部屋を飛び出した。
無我夢中になって屋敷から飛び出す。
行く宛などないが、ただひたすらに走った。
足は砂まみれで肌は露出するくらいボロボロの服。
気づけば崖の上に私は来ていた。
真っ暗の青暗い空に浮かぶ満月だけが私を見ている。
軽く ふぅ・・と吹きすさぶ風
ここから身を投げ出してしまえば楽になれるのだろうか
いまよりも楽になれるんじゃないかと 私は本気で思った
少女が 吸い込まれるように崖下に 2,3歩 歩いた時に
崖とは正反対の方向から吸い込まれるような音色が聞こえ始める。
「・・・♪・・・・・・~♪・・」

ここからでは何も見えない、でも微かに聞こえる 何かの音
「・・・~♪・・・・・~♪」
「・・・フルート・・?」

私は吸い込まれるようにその音の鳴る方に足を進めた。
その音はだんだん大きくなっていく
森の中に入ったところでポゥ・・・と小さな明かりが見えてくる

切り株に明かりを置いて、銀色のフルート、薄緑のコートを着た男の姿

演奏が急に止まり、ボフッと何かに包まれる感覚におちいる。
それはだんだん暖かく、心地のよい感触に変わった。
「とても、辛い事があったんだね・・もう大丈夫だよ」

私は ハッと我に帰ると
ぎゅっと抱きしめられていた。

何が起きているのかわからないけど、とても顔が熱くなっている。
でも、心地よい、あまりにも心地のよさに私は意識を失いそうになっていた。

その時、ガサガサと草むらを掻き分けて男が出てくる。
旦那様だ。
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