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葛根湯5
しおりを挟む「うぉ!?」
景は思わず驚きの声を上げた。
瑤姫の口にした魔剣という単語の通り、景の手の中にはいつの間にか一振りの剣が握られていた。
魔法のような光景に唖然としつつ、耳に入った言葉を無意識に繰り返す。
「魔剣……葛根湯?いや、刀の方の葛根刀なのか」
剣は片刃で反りがあり、表面には見事な刃文が走っている。外見は完全に日本刀、サムライソードのそれだった。
この推察は瑤姫によって肯定された。
「そう!葛根湯の力を宿した刀、それが魔剣 葛根刀よ!」
ビシィ!
と音でもなりそうなポーズで葛根刀を指差してきた瑤姫だったが、どうにも景はそのテンションについていけなかった。
確かに刀は格好いい。
スラリとした刀身に濡れるような刃文、陽光を照り返して輝く切っ先。流れるような美しい輪郭はどこか清浄な澄んだ存在感がある。
魔剣という響きも、ちょっと中二病入っていて恥ずかしいが、嫌いではない。
だがそれにしても、葛根刀というネーミングはどうだろう。闘薬術もそうだったが、漢字変換がうっとうしい上にかなり間が抜けてはいないかと思った。
「うーん……微妙……」
「なっ!?」
呆れたような景の反応に、瑤姫はことさら驚いてみせた。
「何を言ってるの!?魔剣よ!?魔剣!こういうのって男子はみんな憧れるんじゃないの!?」
信じられないというふうに頭を振っている。
「いや、でもさぁ……葛根湯だろ?どこのドラッグストアでも見かけるアレ。風邪薬コーナーに行ったら一個くらいはあるやつ」
その力が宿ってると言われても、景にはすごさの欠片も感じられなかった。
しかし瑤姫にとってこの感想は意外だったらしい。
「ええっ、葛根湯に不満なわけ!?どうしてよ!?漢方の花形じゃない!戦隊ヒーローで言うところのレッド!乙女ゲーで言うところの殿下よ!」
(仮にも女神がどういう例えをしてんだよ。っていうか戦隊ヒーローのレッドはまだしも、殿下を花形に位置づけるのは完全にお前の趣味だろ。まず殿下が出てくる乙女ゲーって時点で趣味と性癖全開だ)
景は心の中で一息にツッコんだ。
それに、何を言われても景の印象は変わらないのだ。
「そもそも俺、漢方とか嫌いだし」
「……ぇえええ!?」
すでに驚いていた瑤姫だが、さらに今日一番の大声で驚愕した。
「え?え?え?どういうこと?医聖の因子があるのに漢方嫌いとか、意味が分からない」
「いや、そんなこと言われても。俺はむしろそこまで驚かれる意味が分からないし」
「だって、医聖が使う闘薬術って漢方の力を借りるのよ?」
何だそりゃ、と景は古典的にコケてしまいそうな気分になった。
漢方の力で闘うとか、ちょっと何言ってるか分からない。それ本当に戦闘力あるのか?
そんなふうに考えた景だったが、自分の左手を見るに少々認識を改めざるをえない状況ではあった。
(でもまぁ……こうやって刀が出ちゃってるからなぁ)
要は、そういうことなのだろう。漢方の力が込められた武器が出てくる。それが闘薬術というものらしい。
「……嫌だなぁ」
漢方嫌いの景は改めてつぶやきながら、葛根刀を眺めた。
刀が格好良くても、漢方だと思うと微妙な気分にしかならない。
試しに軽く振ってみると、なぜかほとんど重さを感じなかった。何だかオモチャのようだ。
「うーん……」
唸る景の視界の隅で、突如明るさが増した。先ほどから何度も見た光だ。
景はその瞬間、ようやく自分の間抜けに気づいた。
腕輪やら刀やらが出てきたことに気を取られていたが、今は病邪によって命を狙われている最中なのだ。
「ヤバい!」
後悔してももう遅い。
病邪の放つ光線は、どうやっても回避不能なタイミングで射出されていた。飛び退くこともできない。
反射的にかろうじて腕だけ動いた結果、葛根刀が景の身を守るように前に出た。そして光線と葛根刀とがぶつかる。
「うぉおお!?」
手に、腕に、肩に激しい衝撃が伝わってきた。
景はその後に来るはずである肉体の爆散を覚悟したが、衝撃がやんでもなぜか景の体はなんともない。
腕に痺れるような感覚は残っているが、それ以外には傷一つなさそうだった。葛根刀が完全に光線を防いでくれたようだ。
「す、すげぇ……」
「すごいでしょ!?それが闘薬術の力よ!」
ドヤァっという擬音でも聞こえてきそうな顔で瑤姫が誇ってきた。
正直その様子にはイラッとしたものの、確かにこれはすごいと感心した。
あの光線は壁に大穴が空くような威力だった。もしただの鉄の刀であれば、ぶつけただけで防ぐのはどう考えても無理だろう。
つまりこの葛根刀には何らかの超常的な力があり、それによって光線を弾いたということになる。
「これだったらあいつを斬れるんだな!?」
景は瑤姫にそう確認しながら即座に駆け出した。
答えを聞く前に動き始めたのは、早く倒さなければまた光線を撃たれると思ったからだ。
(エネルギーが溜まる前に……)
そう考えての速攻だったのだが、ここで意外なことが二つ起こった。
まず第一に、景の体がありえないような急加速をしたのだ。普通に走り出すよりもずっと速かった。
空港などによくある動く歩道、それに乗った瞬間の感覚を何倍にもしたような加速感だ。
そして第二に、病邪がすぐに光線を撃ってきたのだ。先ほどまでとは違い、ほとんど溜め無しで光がほとばしる。
光線の太さが細いところを見ると、一発一発の威力は弱いのだろう。しかしその分だけ連射できるらしく、細かい光の線が数え切れないほど襲いかかってきた。
「うわっ」
景は焦った。
焦ったが、加速した体は面白いようにそれらを避けていく。いくつかよけ切れないものは葛根刀で素早く弾いた。
(見える……目も良くなってるのか?それにこの体の軽さ、今なら何だってできそうだ)
今まで感じたことがない万能感に高揚した景は、その感情を爆ぜさせるように地面を強く蹴った。その一蹴りだけで十メートル以上の距離を一足に跳ぶ。
景の体は病邪に真正面からぶつかる軌跡を描き、一瞬にして目前まで迫った。
そして実際にぶつかる直前、景は葛根刀を大上段に振りかぶり、素早く振り下ろした。
「……っらあ!!」
気合一閃、病邪の体は正中線に沿って左右半分に斬れ分けられた。気持ちが良いほどの真っ二つだ。
景はそれを吹き飛ばすように突き抜け、床に着地した。
振り返ると、病邪の体は浄化されるように淡い光を放ちながら虚空へと放散されていく。幻想的な光景だ。
そして見る間にその存在は希薄になり、少しすると完全に消滅した。後には倒れた男だけが残っている。
「やった……んだよな?しかも一撃で……」
投石はすり抜けた病邪だったが、葛根刀なら難なく一振りで両断できた。
それに今の景の動き。完全に人間業ではなかった。
「これが闘薬術……」
「うふふふふぅ、すごいでしょう?」
何かやたらと神経にさわる笑い声を発しながら、瑤姫が歩み寄って来た。
言葉通り『すごいでしょ?』という感情を顔中に貼り付けている。
「医聖の因子を持つ者が特別優秀な神の加護によって行使する奇蹟、それが闘薬術なのよ」
台詞の一部分をやたらと強調しながら胸を張っている。この女神らしい態度だと思った。
「今見た通り、あらゆる攻撃が効かない病邪でも闘薬術なら攻撃が通るわ。それに十分体感したと思うけど、術の発動中は身体能力が向上するの」
確かにこれはすごかった。
感情的には、ふふん、と得意げに鼻を鳴らす瑤姫に反発したくはなるものの、今しがた体験した動きは完全に超人めいたものだった。
光線をバンバン弾けたし、あの感じだともしかしたら銃弾とかでも打ち落とせるんじゃなかろうか。そうまで思える。
「確かにすごかったよ。それに、あんな化け物でも一撃で倒せるんだな」
「あー……それは……」
瑤姫は少し言葉を濁した。
「威力に関しては、必ずしも毎回あれだけのものが出るってわけじゃないのよ。闘薬術の効果は病邪の依代になっている人間の体質や症状で決まるの。薬がそれに合えば合うほど威力が増すわ」
「……えっと?つまり、今回は風邪の引き始めだったこの人の体質と症状が葛根湯によく合ってたからよく効いた、ってことか?」
景は足元に倒れたままの男を指さして確認した。
ちなみに男の意識は戻っていないものの、普通に寝息を立てているので眠っているだけのようだ。
瑤姫はうなずいて景の理解を肯定した。
「その通りよ。葛根湯はこの人みたいに首筋から肩、背中のこわばりがある人なんかには特に向いているの。それに、この人が元々肩こり体質だったってこともポイントね。葛根湯は肩こりにも効くから」
「肩こり?そんなことまでいつ分かったんだ?」
「私の使う『四診スコープ』は対象の健康状態を調べることができる神術なのよ」
「ああ……そういえば」
そういえば瑤姫は四診スコープと叫んで光の枠を飛ばしていた。
あれは神術とかいうものの一つだったのかと景は納得した。
「なるほどな。何でもかんでも効くわけじゃないってことだな」
「そうね。でも葛根湯の適応範囲はかなり広いわよ。こわばりなんかがなくても熱、喉、鼻、頭痛……と色々な症状に効くから大抵の風邪で使えるわ。それに今回みたいな引き始めじゃなくても効果はあるし、風邪以外の急性炎症にも応用できるし、免疫賦活作用なんかも示唆されてるわ」
「へぇ……かなり使い勝手がいい処方なんだな」
「そうね。日本の落語でもあるでしょ?『葛根湯医者』って演目が」
「葛根湯医者?聞いたことないけど……」
「何でもかんでも葛根湯を出す医者の噺よ。『先生、頭が痛いんです!』『頭痛か。なら葛根湯をおあがり』『先生、腹が痛いんです!』『腹痛か。なら葛根湯をおあがり』『先生、私は付き添いです!』『付き添いか。退屈だろうから葛根湯をおあがり』……みたいな噺」
何だそりゃ、と景は呆れながら苦笑した。
いくら守備範囲が広い薬だからといって、あまりに無茶な話だろう。
「まぁ落語としては面白いと思うけど……女神がなんでそんなことを知ってるんだ?」
景の疑問に対し、瑤姫は腕を組んでしみじみと答えた。
「もう随分と長いこと下界にいたからねぇ。今回は本当になかなか見つからなかったわ。ようやくって感じ」
「えっと……それって俺のこと?」
「そうよ。私は医聖の因子を持つ人間を探すために現世へ顕現していたの。もうちょっと早く見つかってよね」
(そんなこと言われても知らんがな)
景は当然そう思った。
それに苦労したんだ感を出されても、その合間に落語やら乙女ゲーやらを楽しんでいたことを思うと素直に同情などできない。
にも関わらず苦情を述べられていることに対し、景は眉を寄せて釈然としない顔を見せてやった。
しかし瑤姫は気にも留めない。すぐにご機嫌な笑顔を輝かせ、バンバンと景の肩を叩いてきた。
「でも良かったわぁ!闘薬術はちゃんと発動したし、威力も十分過ぎるくらい!それに初めてであそこまで動けるんだから適性も十分!これからも頑張って病邪を倒してね!」
「はあ?嫌だよ」
この回答に、数秒だけだが瑤姫の時が止まった。
電池の切れた玩具のように、笑顔のまま固まっている。
そしてしばらくしてから首を小さく傾げ、もう一度同じことを言ってきた。どうやら聞き間違いだと思われたらしい。
「あのね、医聖として病邪を倒して……」
「だから嫌だって言ってんだろ」
再び速攻で拒否した景を、瑤姫は目をこれでもかというほど見開いて凝視してきた。橙色の瞳が迫るような眼力を放っている。
景の言うことが信じられないあまり、隠された意図でも見通そうとしているのかもしれない。
しかし隠された意図などどこにもない。景の答えは今しがた口にしたことで全てだ。
「い・や・だ・よ。あんな化け物と戦うなんてまっぴらごめんだ」
ゆっくり噛みしめるように告げてやると、瑤姫はようやく理解してくれた。
ただし、まだ信じられないというように頭を振っている。
「ど、どうしてよ……たった今見たでしょ!?病邪は危険なの!本人だけじゃなくて、周りにもすごく大きな被害が出るんだから!」
「いやいやいや。それってつまり退治する人間も危険ってことだろ?あの光線を見るに、闘薬術を使ったって死ぬ可能性はあるよな?」
「そ、それはそうだけど……」
やっぱりか、と景は嘆息した。
先ほどは上手く剣で防げたが、ちょっと失敗すれば死ぬかもしれなかったわけだ。
少し気を抜けば死ぬかもしれない戦い。そんな所に自ら足を踏み入れるなんてまともな神経の人間がすることではない。少なくとも景はそう思った。
しかし瑤姫にはそういう発想が理解できないらしい。
「でもでもでも!あなたがやらないとたくさんの人が傷つくの!分かってる!?」
景もそれは可哀想なことだとは思うが、だからといって気持ちは変わらない。
「じゃあ頑張って次の人を探してくれ」
きっぱりとそう伝えた。
瑤姫はそれを聞いて、まず顔から全ての表情を消した。一切の筋肉が活動を止めたような、そんな表情だ。
それから少しずつ、少しずつ現れた表情には、明確に一つの感情が浮かんでいた。
怒りだ。
「な……何でそんな非道いことが言えるのよ!あなた、仮にも医聖の因子を持つ人間でしょう!?」
ワナワナと震えながら怒鳴りつけてくる。
しかし怒りたいのはむしろ景の方だ。だから怒鳴り返してやった。
「知るかよ!そんなこと!俺からしたらいきなり責務とか言われて、いきなり死にそうな目に遭わされて、今後も死ぬかもしれない戦いをしろって言われてるんだぞ!そんなもん受け入れられるか!」
「だけど、あなたがやらなかったら傷つく人が……」
「俺だって助けたくないなんて思ってない!でもそれはあくまで俺に危険がない範囲でだ!自分の命を危険にさらしてまで人助けができるか!」
冗談じゃない。
景はそんな気持ちでフンと鼻息を吹いてから、そっぽを向いた。
「な……何でよぉ……医聖の因子があるのに……それなのに……」
怒鳴ったのが効いたのか、瑤姫の声はかなりトーンダウンしていた。
ちょっと涙ぐんだような声に、少し悪いことをしてしまったかと後悔の感情が鎌首をもたげてくる。
が、すぐにそれをかき消した。
(いや、命が懸かってるんだ。ここは心を鬼にして、甘い顔を見せちゃダメだ)
瑤姫に背を向けて無言を貫く。
その背中に瑤姫のつぶやきが落とされた。
「名前だって張仲景とほとんど同じなのに……にんべんがないだけなのに……」
(……張仲景?)
そういえば名前を教えた時にも同じ人名が挙がっていた。
何となく、本当に何となくだがその名前を聞いたことがある気がする。大学の講義で耳にしたような気もするのだが、はっきり思い出せない。
(でも俺の名前は張中景だ。張仲景とは全然違う)
景はそう思ったのだが、瑤姫の中では非常によく似ているらしい。そこが特にショックなようで、呆然とブツブツつぶやき続けている。
しかし次の瞬間、何かに気づいたようでハッと息を飲んだ。それから大声を上げる。
「そうか!にんべんがないってことは!」
景は急な叫びに驚いて振り返った。
その鼻先に人差し指が突きつけられる。
「張中景にはにんべんがない!そうよね!?」
「……?ああ、そうだけど」
「にんべんがない!つまり、人でなしなのよ!」
「……はあ?」
「人でなし!この人でなし!」
この暴言に、景はさすがに腹が立った。
こんな状況に陥らせた張本人から、なぜ人でなし扱いされないといけないのか。
「うっさい!この駄女神!」
言われた瑤姫はいったん目を丸くしてから、すぐにその目を吊り上げた。
「なっ!?なんで私が駄女神なのよ!この超有能な上にクールビューティーな素敵女神が!」
(本当に何言ってんだこいつ)
景にはそんな馬鹿みたいな感想しか持てない。
「女神ってのは人に幸福とかを与えてくれるもんだろうが!でも俺は苛立ちと危険しかもらってない!お前なんか駄女神だ!」
「それはあなたが人でなしだからでしょ!この人でなし!人でなし!」
「うっさい駄女神!駄女神!」
「人でなし!」
「駄女神!」
「人でなし!」
「駄女神!」
二人は声を張り上げ、何度も何度も罵り合った。
喉が疲れるまでそうしていたので、かなり長いこと叫んでいたのだろう。
しかしこれから始まる長い長い腐れ縁に比べれば、こんなものはほんの瞬きほどの時間ですらなかった。
景は思わず驚きの声を上げた。
瑤姫の口にした魔剣という単語の通り、景の手の中にはいつの間にか一振りの剣が握られていた。
魔法のような光景に唖然としつつ、耳に入った言葉を無意識に繰り返す。
「魔剣……葛根湯?いや、刀の方の葛根刀なのか」
剣は片刃で反りがあり、表面には見事な刃文が走っている。外見は完全に日本刀、サムライソードのそれだった。
この推察は瑤姫によって肯定された。
「そう!葛根湯の力を宿した刀、それが魔剣 葛根刀よ!」
ビシィ!
と音でもなりそうなポーズで葛根刀を指差してきた瑤姫だったが、どうにも景はそのテンションについていけなかった。
確かに刀は格好いい。
スラリとした刀身に濡れるような刃文、陽光を照り返して輝く切っ先。流れるような美しい輪郭はどこか清浄な澄んだ存在感がある。
魔剣という響きも、ちょっと中二病入っていて恥ずかしいが、嫌いではない。
だがそれにしても、葛根刀というネーミングはどうだろう。闘薬術もそうだったが、漢字変換がうっとうしい上にかなり間が抜けてはいないかと思った。
「うーん……微妙……」
「なっ!?」
呆れたような景の反応に、瑤姫はことさら驚いてみせた。
「何を言ってるの!?魔剣よ!?魔剣!こういうのって男子はみんな憧れるんじゃないの!?」
信じられないというふうに頭を振っている。
「いや、でもさぁ……葛根湯だろ?どこのドラッグストアでも見かけるアレ。風邪薬コーナーに行ったら一個くらいはあるやつ」
その力が宿ってると言われても、景にはすごさの欠片も感じられなかった。
しかし瑤姫にとってこの感想は意外だったらしい。
「ええっ、葛根湯に不満なわけ!?どうしてよ!?漢方の花形じゃない!戦隊ヒーローで言うところのレッド!乙女ゲーで言うところの殿下よ!」
(仮にも女神がどういう例えをしてんだよ。っていうか戦隊ヒーローのレッドはまだしも、殿下を花形に位置づけるのは完全にお前の趣味だろ。まず殿下が出てくる乙女ゲーって時点で趣味と性癖全開だ)
景は心の中で一息にツッコんだ。
それに、何を言われても景の印象は変わらないのだ。
「そもそも俺、漢方とか嫌いだし」
「……ぇえええ!?」
すでに驚いていた瑤姫だが、さらに今日一番の大声で驚愕した。
「え?え?え?どういうこと?医聖の因子があるのに漢方嫌いとか、意味が分からない」
「いや、そんなこと言われても。俺はむしろそこまで驚かれる意味が分からないし」
「だって、医聖が使う闘薬術って漢方の力を借りるのよ?」
何だそりゃ、と景は古典的にコケてしまいそうな気分になった。
漢方の力で闘うとか、ちょっと何言ってるか分からない。それ本当に戦闘力あるのか?
そんなふうに考えた景だったが、自分の左手を見るに少々認識を改めざるをえない状況ではあった。
(でもまぁ……こうやって刀が出ちゃってるからなぁ)
要は、そういうことなのだろう。漢方の力が込められた武器が出てくる。それが闘薬術というものらしい。
「……嫌だなぁ」
漢方嫌いの景は改めてつぶやきながら、葛根刀を眺めた。
刀が格好良くても、漢方だと思うと微妙な気分にしかならない。
試しに軽く振ってみると、なぜかほとんど重さを感じなかった。何だかオモチャのようだ。
「うーん……」
唸る景の視界の隅で、突如明るさが増した。先ほどから何度も見た光だ。
景はその瞬間、ようやく自分の間抜けに気づいた。
腕輪やら刀やらが出てきたことに気を取られていたが、今は病邪によって命を狙われている最中なのだ。
「ヤバい!」
後悔してももう遅い。
病邪の放つ光線は、どうやっても回避不能なタイミングで射出されていた。飛び退くこともできない。
反射的にかろうじて腕だけ動いた結果、葛根刀が景の身を守るように前に出た。そして光線と葛根刀とがぶつかる。
「うぉおお!?」
手に、腕に、肩に激しい衝撃が伝わってきた。
景はその後に来るはずである肉体の爆散を覚悟したが、衝撃がやんでもなぜか景の体はなんともない。
腕に痺れるような感覚は残っているが、それ以外には傷一つなさそうだった。葛根刀が完全に光線を防いでくれたようだ。
「す、すげぇ……」
「すごいでしょ!?それが闘薬術の力よ!」
ドヤァっという擬音でも聞こえてきそうな顔で瑤姫が誇ってきた。
正直その様子にはイラッとしたものの、確かにこれはすごいと感心した。
あの光線は壁に大穴が空くような威力だった。もしただの鉄の刀であれば、ぶつけただけで防ぐのはどう考えても無理だろう。
つまりこの葛根刀には何らかの超常的な力があり、それによって光線を弾いたということになる。
「これだったらあいつを斬れるんだな!?」
景は瑤姫にそう確認しながら即座に駆け出した。
答えを聞く前に動き始めたのは、早く倒さなければまた光線を撃たれると思ったからだ。
(エネルギーが溜まる前に……)
そう考えての速攻だったのだが、ここで意外なことが二つ起こった。
まず第一に、景の体がありえないような急加速をしたのだ。普通に走り出すよりもずっと速かった。
空港などによくある動く歩道、それに乗った瞬間の感覚を何倍にもしたような加速感だ。
そして第二に、病邪がすぐに光線を撃ってきたのだ。先ほどまでとは違い、ほとんど溜め無しで光がほとばしる。
光線の太さが細いところを見ると、一発一発の威力は弱いのだろう。しかしその分だけ連射できるらしく、細かい光の線が数え切れないほど襲いかかってきた。
「うわっ」
景は焦った。
焦ったが、加速した体は面白いようにそれらを避けていく。いくつかよけ切れないものは葛根刀で素早く弾いた。
(見える……目も良くなってるのか?それにこの体の軽さ、今なら何だってできそうだ)
今まで感じたことがない万能感に高揚した景は、その感情を爆ぜさせるように地面を強く蹴った。その一蹴りだけで十メートル以上の距離を一足に跳ぶ。
景の体は病邪に真正面からぶつかる軌跡を描き、一瞬にして目前まで迫った。
そして実際にぶつかる直前、景は葛根刀を大上段に振りかぶり、素早く振り下ろした。
「……っらあ!!」
気合一閃、病邪の体は正中線に沿って左右半分に斬れ分けられた。気持ちが良いほどの真っ二つだ。
景はそれを吹き飛ばすように突き抜け、床に着地した。
振り返ると、病邪の体は浄化されるように淡い光を放ちながら虚空へと放散されていく。幻想的な光景だ。
そして見る間にその存在は希薄になり、少しすると完全に消滅した。後には倒れた男だけが残っている。
「やった……んだよな?しかも一撃で……」
投石はすり抜けた病邪だったが、葛根刀なら難なく一振りで両断できた。
それに今の景の動き。完全に人間業ではなかった。
「これが闘薬術……」
「うふふふふぅ、すごいでしょう?」
何かやたらと神経にさわる笑い声を発しながら、瑤姫が歩み寄って来た。
言葉通り『すごいでしょ?』という感情を顔中に貼り付けている。
「医聖の因子を持つ者が特別優秀な神の加護によって行使する奇蹟、それが闘薬術なのよ」
台詞の一部分をやたらと強調しながら胸を張っている。この女神らしい態度だと思った。
「今見た通り、あらゆる攻撃が効かない病邪でも闘薬術なら攻撃が通るわ。それに十分体感したと思うけど、術の発動中は身体能力が向上するの」
確かにこれはすごかった。
感情的には、ふふん、と得意げに鼻を鳴らす瑤姫に反発したくはなるものの、今しがた体験した動きは完全に超人めいたものだった。
光線をバンバン弾けたし、あの感じだともしかしたら銃弾とかでも打ち落とせるんじゃなかろうか。そうまで思える。
「確かにすごかったよ。それに、あんな化け物でも一撃で倒せるんだな」
「あー……それは……」
瑤姫は少し言葉を濁した。
「威力に関しては、必ずしも毎回あれだけのものが出るってわけじゃないのよ。闘薬術の効果は病邪の依代になっている人間の体質や症状で決まるの。薬がそれに合えば合うほど威力が増すわ」
「……えっと?つまり、今回は風邪の引き始めだったこの人の体質と症状が葛根湯によく合ってたからよく効いた、ってことか?」
景は足元に倒れたままの男を指さして確認した。
ちなみに男の意識は戻っていないものの、普通に寝息を立てているので眠っているだけのようだ。
瑤姫はうなずいて景の理解を肯定した。
「その通りよ。葛根湯はこの人みたいに首筋から肩、背中のこわばりがある人なんかには特に向いているの。それに、この人が元々肩こり体質だったってこともポイントね。葛根湯は肩こりにも効くから」
「肩こり?そんなことまでいつ分かったんだ?」
「私の使う『四診スコープ』は対象の健康状態を調べることができる神術なのよ」
「ああ……そういえば」
そういえば瑤姫は四診スコープと叫んで光の枠を飛ばしていた。
あれは神術とかいうものの一つだったのかと景は納得した。
「なるほどな。何でもかんでも効くわけじゃないってことだな」
「そうね。でも葛根湯の適応範囲はかなり広いわよ。こわばりなんかがなくても熱、喉、鼻、頭痛……と色々な症状に効くから大抵の風邪で使えるわ。それに今回みたいな引き始めじゃなくても効果はあるし、風邪以外の急性炎症にも応用できるし、免疫賦活作用なんかも示唆されてるわ」
「へぇ……かなり使い勝手がいい処方なんだな」
「そうね。日本の落語でもあるでしょ?『葛根湯医者』って演目が」
「葛根湯医者?聞いたことないけど……」
「何でもかんでも葛根湯を出す医者の噺よ。『先生、頭が痛いんです!』『頭痛か。なら葛根湯をおあがり』『先生、腹が痛いんです!』『腹痛か。なら葛根湯をおあがり』『先生、私は付き添いです!』『付き添いか。退屈だろうから葛根湯をおあがり』……みたいな噺」
何だそりゃ、と景は呆れながら苦笑した。
いくら守備範囲が広い薬だからといって、あまりに無茶な話だろう。
「まぁ落語としては面白いと思うけど……女神がなんでそんなことを知ってるんだ?」
景の疑問に対し、瑤姫は腕を組んでしみじみと答えた。
「もう随分と長いこと下界にいたからねぇ。今回は本当になかなか見つからなかったわ。ようやくって感じ」
「えっと……それって俺のこと?」
「そうよ。私は医聖の因子を持つ人間を探すために現世へ顕現していたの。もうちょっと早く見つかってよね」
(そんなこと言われても知らんがな)
景は当然そう思った。
それに苦労したんだ感を出されても、その合間に落語やら乙女ゲーやらを楽しんでいたことを思うと素直に同情などできない。
にも関わらず苦情を述べられていることに対し、景は眉を寄せて釈然としない顔を見せてやった。
しかし瑤姫は気にも留めない。すぐにご機嫌な笑顔を輝かせ、バンバンと景の肩を叩いてきた。
「でも良かったわぁ!闘薬術はちゃんと発動したし、威力も十分過ぎるくらい!それに初めてであそこまで動けるんだから適性も十分!これからも頑張って病邪を倒してね!」
「はあ?嫌だよ」
この回答に、数秒だけだが瑤姫の時が止まった。
電池の切れた玩具のように、笑顔のまま固まっている。
そしてしばらくしてから首を小さく傾げ、もう一度同じことを言ってきた。どうやら聞き間違いだと思われたらしい。
「あのね、医聖として病邪を倒して……」
「だから嫌だって言ってんだろ」
再び速攻で拒否した景を、瑤姫は目をこれでもかというほど見開いて凝視してきた。橙色の瞳が迫るような眼力を放っている。
景の言うことが信じられないあまり、隠された意図でも見通そうとしているのかもしれない。
しかし隠された意図などどこにもない。景の答えは今しがた口にしたことで全てだ。
「い・や・だ・よ。あんな化け物と戦うなんてまっぴらごめんだ」
ゆっくり噛みしめるように告げてやると、瑤姫はようやく理解してくれた。
ただし、まだ信じられないというように頭を振っている。
「ど、どうしてよ……たった今見たでしょ!?病邪は危険なの!本人だけじゃなくて、周りにもすごく大きな被害が出るんだから!」
「いやいやいや。それってつまり退治する人間も危険ってことだろ?あの光線を見るに、闘薬術を使ったって死ぬ可能性はあるよな?」
「そ、それはそうだけど……」
やっぱりか、と景は嘆息した。
先ほどは上手く剣で防げたが、ちょっと失敗すれば死ぬかもしれなかったわけだ。
少し気を抜けば死ぬかもしれない戦い。そんな所に自ら足を踏み入れるなんてまともな神経の人間がすることではない。少なくとも景はそう思った。
しかし瑤姫にはそういう発想が理解できないらしい。
「でもでもでも!あなたがやらないとたくさんの人が傷つくの!分かってる!?」
景もそれは可哀想なことだとは思うが、だからといって気持ちは変わらない。
「じゃあ頑張って次の人を探してくれ」
きっぱりとそう伝えた。
瑤姫はそれを聞いて、まず顔から全ての表情を消した。一切の筋肉が活動を止めたような、そんな表情だ。
それから少しずつ、少しずつ現れた表情には、明確に一つの感情が浮かんでいた。
怒りだ。
「な……何でそんな非道いことが言えるのよ!あなた、仮にも医聖の因子を持つ人間でしょう!?」
ワナワナと震えながら怒鳴りつけてくる。
しかし怒りたいのはむしろ景の方だ。だから怒鳴り返してやった。
「知るかよ!そんなこと!俺からしたらいきなり責務とか言われて、いきなり死にそうな目に遭わされて、今後も死ぬかもしれない戦いをしろって言われてるんだぞ!そんなもん受け入れられるか!」
「だけど、あなたがやらなかったら傷つく人が……」
「俺だって助けたくないなんて思ってない!でもそれはあくまで俺に危険がない範囲でだ!自分の命を危険にさらしてまで人助けができるか!」
冗談じゃない。
景はそんな気持ちでフンと鼻息を吹いてから、そっぽを向いた。
「な……何でよぉ……医聖の因子があるのに……それなのに……」
怒鳴ったのが効いたのか、瑤姫の声はかなりトーンダウンしていた。
ちょっと涙ぐんだような声に、少し悪いことをしてしまったかと後悔の感情が鎌首をもたげてくる。
が、すぐにそれをかき消した。
(いや、命が懸かってるんだ。ここは心を鬼にして、甘い顔を見せちゃダメだ)
瑤姫に背を向けて無言を貫く。
その背中に瑤姫のつぶやきが落とされた。
「名前だって張仲景とほとんど同じなのに……にんべんがないだけなのに……」
(……張仲景?)
そういえば名前を教えた時にも同じ人名が挙がっていた。
何となく、本当に何となくだがその名前を聞いたことがある気がする。大学の講義で耳にしたような気もするのだが、はっきり思い出せない。
(でも俺の名前は張中景だ。張仲景とは全然違う)
景はそう思ったのだが、瑤姫の中では非常によく似ているらしい。そこが特にショックなようで、呆然とブツブツつぶやき続けている。
しかし次の瞬間、何かに気づいたようでハッと息を飲んだ。それから大声を上げる。
「そうか!にんべんがないってことは!」
景は急な叫びに驚いて振り返った。
その鼻先に人差し指が突きつけられる。
「張中景にはにんべんがない!そうよね!?」
「……?ああ、そうだけど」
「にんべんがない!つまり、人でなしなのよ!」
「……はあ?」
「人でなし!この人でなし!」
この暴言に、景はさすがに腹が立った。
こんな状況に陥らせた張本人から、なぜ人でなし扱いされないといけないのか。
「うっさい!この駄女神!」
言われた瑤姫はいったん目を丸くしてから、すぐにその目を吊り上げた。
「なっ!?なんで私が駄女神なのよ!この超有能な上にクールビューティーな素敵女神が!」
(本当に何言ってんだこいつ)
景にはそんな馬鹿みたいな感想しか持てない。
「女神ってのは人に幸福とかを与えてくれるもんだろうが!でも俺は苛立ちと危険しかもらってない!お前なんか駄女神だ!」
「それはあなたが人でなしだからでしょ!この人でなし!人でなし!」
「うっさい駄女神!駄女神!」
「人でなし!」
「駄女神!」
「人でなし!」
「駄女神!」
二人は声を張り上げ、何度も何度も罵り合った。
喉が疲れるまでそうしていたので、かなり長いこと叫んでいたのだろう。
しかしこれから始まる長い長い腐れ縁に比べれば、こんなものはほんの瞬きほどの時間ですらなかった。
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