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09ハーピー2
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ガルーダの羽根が数度空を打っただけで、掴まれた私の体は信じられないほど加速した。視界の中の地面が急速に遠ざかり、あらゆるものが小さくなっていく。
ただ幸いなことに、ガルーダは私をすぐに殺す気はないようだった。
爪が立たないように掴まれているし、握る力も強くはない。
サスケからもらったネックレスに魔素を込めて体を強化しているおかげでもあるだろうが、痛みもさして感じはしなかった。
(でも……高すぎ……)
私は眼下に広がる光景に全身を震わせた。落ちたら死ぬのは考えるまでもない、自明の理だ。
生物としての本能が私の感情を恐怖一色に染め上げる。
そしてその恐怖が神経を冒し、意思に反してある反射を起こさせてしまった。
「あ……やっちゃった……」
私の理性は絶望的な気持ちでそうつぶやいた。しかし体の方は理性とは反対に、心地の良い開放感に包まれている。
そもそもずっと我慢していたのだ。それなのに胴体を掴まれて圧迫され、さらに高所での恐怖を与えられた。
私の体は、もはや耐えれなかったのだ。
おしっこを。
夕焼け空に解き放たれた私がキラキラと流れていく。その光景と下腹部の開放感とが、私に色々なことへの諦観を与えてくれた。
ぐったりと脱力してガルーダの爪にぶら下がっていると、突然私の耳に聞き覚えのある声が響いてきた。
「クウ!!生きてるか!?」
空飛ぶヤンキー、ハルさんだ。ガルーダの後方からすごいスピードで追いかけて来ていた。
「ハルさん!!」
私は地獄に仏を見た気がしたが、ハルさんはたった一人だ。ガルーダに勝てるとは思えない。
「来ちゃだめです!!逃げて!!」
私はそう叫んだが、ハルさんは無視してガルーダの周りを旋回し始めた。
そして次々に風魔法を繰り出す。
先ほどの一斉攻撃を見ていて分かったが、風魔法での攻撃手法は主に三種類だ。
強風を発生させて物や相手自身を吹き飛ばす、カマイタチを発生させて斬る、竜巻を発生させてもみくちゃにする。
ハルさんはそのどれもを実行したが、全てガルーダの風魔法で防がれた。
もし当たっていたとしても、先ほどの様子から考えると大したダメージにはならなかっただろう。
そして逆にガルーダが起こした乱気流でハルさんは態勢を崩されて、その爪に捕まってしまった。
私とは反対側の爪に掴まれたハルさんは、私と顔を合わせる形になった。
「くっそ!!カッコわりぃな!!」
ハルさんはそう悪態をついたが、私にはそう思えなかった。
むしろ敵わないと分かっているのに挑んでくれたハルさんは、すごくカッコいい。
「ハルさん、なんでこんな無茶を……」
「お前のことは俺が守るって言っただろうが。俺は約束を破るような卑怯な男じゃねぇ。それに、アステリオスの旦那にぶっとばされちまうしな」
こんな状況でも春風のような爽やかさで笑うハルさんに、私の胸はドキリとした。
「だが……こんな状況じゃどうしようもねぇな。このままじゃ巣に持ち帰られてゆっくり食われるだけだ。モンスターにとっちゃ人間の魔素はご馳走らしいからな」
あ、やっぱり食べられるんだ。
っていうか、モンスターは魔素目的で人間を襲うのか。
だったら私の魔質Sってのは狙われやすいってことになるのでは?あのお爺さんめ……
「クウ、なんかこの状態でも攻撃できる使役モンスターはいねぇか?」
そう、それが問題なのだ。私の攻撃の基本はスライムたちを弾丸のように飛ばすアタックだが、空中では弾む所がないので威力が出せない。
軽く触れる程度にして熱や冷気を当てる方法もあるが、すぐに落とされるだろう。それにこの特殊な羽毛を相手にしてどこまで効くか分からない。電気は私たちまで感電してしまうし。
「うちの子たちは空中じゃ上手く攻撃できないんです。それにこの羽毛……」
そこまで言ったところで、ガルーダが口を開けて小さく鳴き声を上げた。
私はそれを見てハッとした。
「……そうだ!ハルさん、私がスライムを出しますから、こうこうこんな感じにしてもらって、こうなった時にこうして下さい!」
私は喋りながら、必死に両腕を振って説明した。
主に『こう』しか言ってはいないが、腕の動きでハルさんは私の意図を理解してくれたようだった。
「……なるほどな、やってみるか!!」
その返事を聞き、私はすぐにブルーを喚び出した。
最近は格納筒の内部から直接召喚して使役しているので、空中に降って湧いたようにブルーが現れた。
ブルーには飛行能力がないので何もしなければ当然落ちていくのだが、それをハルさんが風魔法を使って飛ばしてくれた。
気流を調節し、ガルーダの顔の前まで移動させる。そしてそこで適当に動かして、ガルーダの視界をウロチョロとさせた。
ガルーダにとってスライムなど大した脅威には映らなかっただろう。
しかし、さすがに顔の前をハエのように飛ばれてはうざったいようだ。ガルーダはクチバシを開けてブルーをついばもうとした。
「……っしゃあ!!」
ハルさんは気合を入れ、ブルーの背中を思い切り押し込む風を作った。
ガルーダの口に向けて。
「ガァッ……ング」
ガルーダの驚くような声に続いて低い音が鳴り、ブルーは丸飲みにされた。
私はすぐにブルーにローションを大量に出して体を包むように命じた。そうすれば、すぐに胃酸でやられることはないだろう。
そして胃にたどり着いた頃、そのローションに最大出力で温度低下の効果を付与させた。急激な冷気がガルーダの胃を内側から凍りつかせる。
ガルーダは高い声を上げて苦しみ始めた。体を激しくよじらせて、私たちにも強いGがかかった。
しかし、私はそれでも力を弱めない。できる限りの魔素を送り続けた。
「こりゃ効いてんな……いいぞクウ!!やっちまえ!!」
ハルさんは熱のこもった応援の声を上げつつ、私たちへの負担ができるだけ小さくなるよう風魔法でガルーダの動きを抑えていた。
一瞬だけガルーダの体が光って熱を持ったが、すぐに光は消えた。
恐らく胃以外の器官も凍りついたため、あの技を出すことが出来なくなったのだろう。
ガルーダの声は次第に小さくなっていく。翼の動きもだんだんと弱々しくなった。
そしてついに羽ばたきを止め、羽根を広げただけの滑空になった。
その段になってようやく私たちを掴んでいた爪が開かれた。
締め付けられていた体の開放感とともに、気味の悪い浮遊感が私の神経を襲う。
「キャアァァ!!」
落下への恐怖に悲鳴を上げる私の前に、ハルさんが飛んできた。
「俺を掴め!!」
ハーピーは腕に翼がついているので、飛んだ状態では私を掴むことはできない。だから目の前まで来て掴めと言っているのだ。
膝を曲げ、そこに腕を引っかかりやすくしてくれている。私はハルさんの太ももに前から抱きつく形で体を固定した。
「よし、問題ないな!?降りるぞ!!」
ハルさんはそう言って滑空を始めた。落下速度が落ちて浮遊感が消失する。
そうして落下の恐怖は小さくなったものの、私はまた別の問題にぶち当たっていた。
(問題ないっていうか……コレ大問題なんですけど!!)
なぜなら私の顔の前にはハルさんの股間があるからだ。落ちないように強く抱きつくと、必然的に股間に顔をうずめる格好になる。
産まれてこの方、こんな所にここまで接近したことなどない。
私はこの体勢にドキドキして、吐息を熱くしてしまった。
(し、しっかり抱きつかないと落ちちゃうから……それに物理的にもくっついてた方が摩擦が発生して落ちにくいよね……)
私は自分にそう言い聞かせ、ハルさんの股間に顔を押し付けた。その感触に、頭の中が真っ白になる。
(そ、そうだ……上手く体を固定できるポジションを探すためにちょっとモゾモゾしちゃうのも仕方ないよね……)
また自分そう言い聞かせ、スリスリと頬ずりしてみたりする。
「おい、クウ」
(しまった!やりすぎたか!)
声をかけられた私はそう思ったが、ハルさんの用事は全く別のことだった。
「わりぃが重量オーバーだ。俺らはそもそもあんま重い物は運べねぇし、魔素もあと少ししかねぇ。上手く着地できるか分かんねぇから適当な川に落とすぞ。合図したら手ぇ離せ」
「わ、分かりました」
くそぅ、名残惜しいが仕方ない。
私は川面が近づくまでの時間を堪能した。
「よし、離せっ」
言われた通りに腕を離すと、足から水面に落下した。結構低い所まで降りくれていたのでそれほど強い衝撃はない。
水中でのごく短い静寂の後、私は水面から顔を上げて大きく息を吐いた。
「た、助かったぁ……」
その言葉には二つ意味がある。
一つはガルーダから開放されて助かったということ。
そしてもう一つは、おしっこを漏らしていたのが川へのダイブでごまかせたことだ。
着衣水泳で岸辺へ向かう私のところへハルさんがやって来た。そして私の手を取って浅瀬へと引き上げてくれる。
「お疲れさん。いやぁ、マジでヒヤヒヤしたぜ」
そう笑いながら、私の横を通って川の深い方へと入って行く。そしてなぜか頭まで水に浸かって、勢いよく出てきた。
「ぷはぁ……クウ、作戦が狂って悪かったな。あのガルーダが光って熱くなる攻撃……ゴッドバードって呼ばれてんだが、あれを使えるのはある程度成長した個体だけらしいんだよ。アイツくらいだとまだ使えないって話だったし、実際に今まで使ってこなかったんだが……この戦いの最中に成長しやがったんだな。あのバケモンめ」
ハルさんは作戦ミスの原因を説明しながら、なぜか川の中で体や頭を擦っていた。
疑問に思った私はそれについて尋ねてみる。
「どうしたんですか?水浴びなんかして」
「お前を追っかけてる時、空中でガルーダのションベンを頭から浴びちまったんだよ。それを洗い流してたところだ」
(……ごめんなさい、多分それガルーダのじゃありません)
私は心の中だけで謝りながら冷汗をかいていた。
しかしそれと同時に、ヤンキーのようなハルさんに頭からおしっこをかけたという事実に、なぜか背筋がゾクゾクするような快感を覚えていた。
(あ、ダメだ。これも開けちゃいけない扉だ)
私が必死に自分の心に蓋をしようとしていると、ハルさんが私の体を見てから急にそっぽを向いた。
頬を紅潮させながら、恥ずかしそうに目を伏せている。
「そ、そんな格好にさせちまって悪かったな。とりあえずコレ羽織っといてくれ。すぐに仲間を呼んで、服も持って来るから」
私が自分の体を見下ろすと、シャツが濡れて下着が透けていた。
しかし先日も同じような状況になったが、サスケもネウロイさんも何の反応も示してはくれなかった。
(このヤンキーハーピーさん、女性に対しては変に純情なんだな)
可愛い表情を残して飛び立つハルさんを見送りながら、私は少し愉快な気持ちになっていた。
それから川岸に腰を下ろし、ハルさんが仲間たちを呼んで来てくれるのを待っていた。
すると突然、首筋の後ろにチリチリしたものを感じた。ガルーダが現れた時に感じたのと同じ感覚だ。
その感覚に押されて川上の方へ首を向けると、水に浮いたガルーダがゆっくりと流されて来た。
どうやらガルーダも川へと墜落したらしい。もし落下の衝撃をやわらげるためにわざとそうしたのなら、やはり相当頭の良い鳥だ。
ガルーダはピクリとも動きはしなかったが、私は念のためにブルーを召喚した。ガルーダから逃れた後、すぐに召喚を解除して胃の中からは戻している。
私は川へ入り、ガルーダが流されてくるのを恐る恐る待った。
そして手が触れられる距離まで来ると、呪文を唱えた。
「セルウス・リートゥス」
私の指が青く光り、ガルーダの体の中へ入っていった。そしてガルーダの体全体が青く光り出す。
(やっぱり死んでなかった!)
チリチリしたプレッシャーのようなものを感じたのでそうでないかとは思っていたが、この怪物は案の定まだ生きていた。
体の中から内臓を凍らされたのに、なんて生命力だ。
隷属魔法をかけられたモンスターはその傷を回復させる。ガルーダはすぐにムクリと起き上がった。
と、同時に、私はその場に倒れ込みたくなるような脱力感を感じた。
「……え?なにこれ?」
それは大量の魔素消費によって生じたものだった。
しかし、今まで隷属魔法を使ってこのようになった事など一度ない。
(強いモンスターだから、魔素消費も大きいってことかな……?)
私は意識をしっかりと保ち、起き上がったガルーダの首筋を撫でてやった。
意外なほど柔らかい羽毛が、手のひらに心地良い弾力を返してくる。
「君の名前は……ガル!よろしくね、ガル」
私の命名に応えるように、ガルは小さな声でクルクルと喉を鳴らしてくれた。
それから私はガルを一度格納筒へ入れ、岸辺に戻ってから召喚してみた。
ガルは問題なく喚び出されたが、やはり強い魔素の消費を感じる。
(これはヤバイな……簡単に使えるモンスターじゃない。技なんか出させたら、もっと大変かも)
私はガルを川に入れ、試しに例の全身が光る発熱攻撃、ゴッドバードを発動させてみた。
(軽くだよ、軽く)
そう命じたのだが、それでも川の水が水蒸気爆発を起こして飛び散った。
そして、私の魔素が一気に枯渇しかける。
「も、戻って……!」
私はガルの召喚を解除し、その場に座り込んだ。
眠い。魔素切れのせいで強い眠気を感じるのと同時に、めっちゃムラムラする。
私は上から見えないよう、茂みの中へと入っていった。
本当ならハルさんたちに見つけてもらわないといけないので開けた場所にいるべきなのだが、逆に隠れた。
それから今日あったことを思い出す。
ヤンキーのようなハルさんに頭からおしっこをかけてしまったこと、その股間に顔をうずめてスリスリしたこと、そして私の透けた下着を見て恥ずかしそうに赤面するハルさんの表情。
それらの記憶が神経を昂ぶらせ、私のセルフケアはこの上もなく捗るのだった。
***************
☆元ネタ&雑学コーナー☆
ここから先は筆者が話の元ネタなどを気の向くままに書き記しているコーナーです。
本編のストーリーとは関係ないので興味ない方は読み飛ばしてください。
〈ハーピー〉
ギリシア神話に出てくる半人半鳥の生き物です。
羽根が生えたキャラということで、可愛く魅力的に描かれることが多いですよね。
筆者が小学生の頃に初めて見たハーピーは魔導物語(ぷよぷよの元になったRPG)のやつですが、やっぱり天使みたいで可愛いです。
ですが元ネタのギリシア神話だと、醜い上に汚物を撒き散らすという最悪なキャラでして……
醜いのはともかく、汚物は……
羽根=素敵キャラというのは、そういう作品を見慣れた現代人の先入観なのかもしれませんね。
〈龍涎香〉
現実世界にも龍涎香はあるのですが、その正体はマッコウクジラの腸内に生成される結石です。
ドラゴン関係ありませんね。
この龍涎香は古くから香料として使われてきました。
海岸に打ち上がってるのを偶然拾うものだったため結石とは分からず、『龍の涎が固まったものだろう』ってことで付いた名前らしいです。
っていうか腸内にできる結石って……ウ○コやん!!香料になんの!?
って思ったあなた、正解です。
実は出てきたての龍涎香はやっぱりウ○コの臭いがするらしいです。
でもそれが長期間プカプカと海面を漂う内に良い匂いになるんだとか。
まぁそんな知ったかぶりを書いてますが、筆者はこの龍涎香の匂いを嗅いだことがありません。
一度嗅いでみたい気もするんですけど、準ウ○コだと思うと嗅ぎたくもないような……
でも『臭いもの嗅いでみたさ』ってありますよね。不思議。
〈ガルーダ〉
ガルーダはインド神話に登場する神鳥です。
最強クラスの神様であるヴィシュヌの乗り物になる契約をしていますが(その代わりガルーダは不死になれた)、ただの鳥とは違いガルーダ自身にもしっかり理性があります。
『すごい鳥』というよりは『神様がたまたま鳥の形をしている』というイメージが正しいでしょう。
本編のモンスターのように光り輝いて高熱を発するという特殊能力を持っています。
その威力はマジでヤバかったらしく、産まれてからピカピカメラメラやってたら周りの神様たちがビビってゴマすりしてきたほど。
その強さでナーガという蛇神(一部では龍とも)を捕食するのですが、仏教ではそのナーガを煩悩と見立てて、『煩悩を喰らう仏教の守護神、迦楼羅』とされています。
……ふぅ、今回は汚物とかウ○コとか言いまくってたけど最後はキレイに締められて良かった。
***************
お読みいただき、ありがとうございました。
気が向いたらブクマ、評価、レビュー、感想等よろしくお願いします。
それと誤字脱字など指摘してくださる方々、めっちゃ助かってます。m(_ _)m
ただ幸いなことに、ガルーダは私をすぐに殺す気はないようだった。
爪が立たないように掴まれているし、握る力も強くはない。
サスケからもらったネックレスに魔素を込めて体を強化しているおかげでもあるだろうが、痛みもさして感じはしなかった。
(でも……高すぎ……)
私は眼下に広がる光景に全身を震わせた。落ちたら死ぬのは考えるまでもない、自明の理だ。
生物としての本能が私の感情を恐怖一色に染め上げる。
そしてその恐怖が神経を冒し、意思に反してある反射を起こさせてしまった。
「あ……やっちゃった……」
私の理性は絶望的な気持ちでそうつぶやいた。しかし体の方は理性とは反対に、心地の良い開放感に包まれている。
そもそもずっと我慢していたのだ。それなのに胴体を掴まれて圧迫され、さらに高所での恐怖を与えられた。
私の体は、もはや耐えれなかったのだ。
おしっこを。
夕焼け空に解き放たれた私がキラキラと流れていく。その光景と下腹部の開放感とが、私に色々なことへの諦観を与えてくれた。
ぐったりと脱力してガルーダの爪にぶら下がっていると、突然私の耳に聞き覚えのある声が響いてきた。
「クウ!!生きてるか!?」
空飛ぶヤンキー、ハルさんだ。ガルーダの後方からすごいスピードで追いかけて来ていた。
「ハルさん!!」
私は地獄に仏を見た気がしたが、ハルさんはたった一人だ。ガルーダに勝てるとは思えない。
「来ちゃだめです!!逃げて!!」
私はそう叫んだが、ハルさんは無視してガルーダの周りを旋回し始めた。
そして次々に風魔法を繰り出す。
先ほどの一斉攻撃を見ていて分かったが、風魔法での攻撃手法は主に三種類だ。
強風を発生させて物や相手自身を吹き飛ばす、カマイタチを発生させて斬る、竜巻を発生させてもみくちゃにする。
ハルさんはそのどれもを実行したが、全てガルーダの風魔法で防がれた。
もし当たっていたとしても、先ほどの様子から考えると大したダメージにはならなかっただろう。
そして逆にガルーダが起こした乱気流でハルさんは態勢を崩されて、その爪に捕まってしまった。
私とは反対側の爪に掴まれたハルさんは、私と顔を合わせる形になった。
「くっそ!!カッコわりぃな!!」
ハルさんはそう悪態をついたが、私にはそう思えなかった。
むしろ敵わないと分かっているのに挑んでくれたハルさんは、すごくカッコいい。
「ハルさん、なんでこんな無茶を……」
「お前のことは俺が守るって言っただろうが。俺は約束を破るような卑怯な男じゃねぇ。それに、アステリオスの旦那にぶっとばされちまうしな」
こんな状況でも春風のような爽やかさで笑うハルさんに、私の胸はドキリとした。
「だが……こんな状況じゃどうしようもねぇな。このままじゃ巣に持ち帰られてゆっくり食われるだけだ。モンスターにとっちゃ人間の魔素はご馳走らしいからな」
あ、やっぱり食べられるんだ。
っていうか、モンスターは魔素目的で人間を襲うのか。
だったら私の魔質Sってのは狙われやすいってことになるのでは?あのお爺さんめ……
「クウ、なんかこの状態でも攻撃できる使役モンスターはいねぇか?」
そう、それが問題なのだ。私の攻撃の基本はスライムたちを弾丸のように飛ばすアタックだが、空中では弾む所がないので威力が出せない。
軽く触れる程度にして熱や冷気を当てる方法もあるが、すぐに落とされるだろう。それにこの特殊な羽毛を相手にしてどこまで効くか分からない。電気は私たちまで感電してしまうし。
「うちの子たちは空中じゃ上手く攻撃できないんです。それにこの羽毛……」
そこまで言ったところで、ガルーダが口を開けて小さく鳴き声を上げた。
私はそれを見てハッとした。
「……そうだ!ハルさん、私がスライムを出しますから、こうこうこんな感じにしてもらって、こうなった時にこうして下さい!」
私は喋りながら、必死に両腕を振って説明した。
主に『こう』しか言ってはいないが、腕の動きでハルさんは私の意図を理解してくれたようだった。
「……なるほどな、やってみるか!!」
その返事を聞き、私はすぐにブルーを喚び出した。
最近は格納筒の内部から直接召喚して使役しているので、空中に降って湧いたようにブルーが現れた。
ブルーには飛行能力がないので何もしなければ当然落ちていくのだが、それをハルさんが風魔法を使って飛ばしてくれた。
気流を調節し、ガルーダの顔の前まで移動させる。そしてそこで適当に動かして、ガルーダの視界をウロチョロとさせた。
ガルーダにとってスライムなど大した脅威には映らなかっただろう。
しかし、さすがに顔の前をハエのように飛ばれてはうざったいようだ。ガルーダはクチバシを開けてブルーをついばもうとした。
「……っしゃあ!!」
ハルさんは気合を入れ、ブルーの背中を思い切り押し込む風を作った。
ガルーダの口に向けて。
「ガァッ……ング」
ガルーダの驚くような声に続いて低い音が鳴り、ブルーは丸飲みにされた。
私はすぐにブルーにローションを大量に出して体を包むように命じた。そうすれば、すぐに胃酸でやられることはないだろう。
そして胃にたどり着いた頃、そのローションに最大出力で温度低下の効果を付与させた。急激な冷気がガルーダの胃を内側から凍りつかせる。
ガルーダは高い声を上げて苦しみ始めた。体を激しくよじらせて、私たちにも強いGがかかった。
しかし、私はそれでも力を弱めない。できる限りの魔素を送り続けた。
「こりゃ効いてんな……いいぞクウ!!やっちまえ!!」
ハルさんは熱のこもった応援の声を上げつつ、私たちへの負担ができるだけ小さくなるよう風魔法でガルーダの動きを抑えていた。
一瞬だけガルーダの体が光って熱を持ったが、すぐに光は消えた。
恐らく胃以外の器官も凍りついたため、あの技を出すことが出来なくなったのだろう。
ガルーダの声は次第に小さくなっていく。翼の動きもだんだんと弱々しくなった。
そしてついに羽ばたきを止め、羽根を広げただけの滑空になった。
その段になってようやく私たちを掴んでいた爪が開かれた。
締め付けられていた体の開放感とともに、気味の悪い浮遊感が私の神経を襲う。
「キャアァァ!!」
落下への恐怖に悲鳴を上げる私の前に、ハルさんが飛んできた。
「俺を掴め!!」
ハーピーは腕に翼がついているので、飛んだ状態では私を掴むことはできない。だから目の前まで来て掴めと言っているのだ。
膝を曲げ、そこに腕を引っかかりやすくしてくれている。私はハルさんの太ももに前から抱きつく形で体を固定した。
「よし、問題ないな!?降りるぞ!!」
ハルさんはそう言って滑空を始めた。落下速度が落ちて浮遊感が消失する。
そうして落下の恐怖は小さくなったものの、私はまた別の問題にぶち当たっていた。
(問題ないっていうか……コレ大問題なんですけど!!)
なぜなら私の顔の前にはハルさんの股間があるからだ。落ちないように強く抱きつくと、必然的に股間に顔をうずめる格好になる。
産まれてこの方、こんな所にここまで接近したことなどない。
私はこの体勢にドキドキして、吐息を熱くしてしまった。
(し、しっかり抱きつかないと落ちちゃうから……それに物理的にもくっついてた方が摩擦が発生して落ちにくいよね……)
私は自分にそう言い聞かせ、ハルさんの股間に顔を押し付けた。その感触に、頭の中が真っ白になる。
(そ、そうだ……上手く体を固定できるポジションを探すためにちょっとモゾモゾしちゃうのも仕方ないよね……)
また自分そう言い聞かせ、スリスリと頬ずりしてみたりする。
「おい、クウ」
(しまった!やりすぎたか!)
声をかけられた私はそう思ったが、ハルさんの用事は全く別のことだった。
「わりぃが重量オーバーだ。俺らはそもそもあんま重い物は運べねぇし、魔素もあと少ししかねぇ。上手く着地できるか分かんねぇから適当な川に落とすぞ。合図したら手ぇ離せ」
「わ、分かりました」
くそぅ、名残惜しいが仕方ない。
私は川面が近づくまでの時間を堪能した。
「よし、離せっ」
言われた通りに腕を離すと、足から水面に落下した。結構低い所まで降りくれていたのでそれほど強い衝撃はない。
水中でのごく短い静寂の後、私は水面から顔を上げて大きく息を吐いた。
「た、助かったぁ……」
その言葉には二つ意味がある。
一つはガルーダから開放されて助かったということ。
そしてもう一つは、おしっこを漏らしていたのが川へのダイブでごまかせたことだ。
着衣水泳で岸辺へ向かう私のところへハルさんがやって来た。そして私の手を取って浅瀬へと引き上げてくれる。
「お疲れさん。いやぁ、マジでヒヤヒヤしたぜ」
そう笑いながら、私の横を通って川の深い方へと入って行く。そしてなぜか頭まで水に浸かって、勢いよく出てきた。
「ぷはぁ……クウ、作戦が狂って悪かったな。あのガルーダが光って熱くなる攻撃……ゴッドバードって呼ばれてんだが、あれを使えるのはある程度成長した個体だけらしいんだよ。アイツくらいだとまだ使えないって話だったし、実際に今まで使ってこなかったんだが……この戦いの最中に成長しやがったんだな。あのバケモンめ」
ハルさんは作戦ミスの原因を説明しながら、なぜか川の中で体や頭を擦っていた。
疑問に思った私はそれについて尋ねてみる。
「どうしたんですか?水浴びなんかして」
「お前を追っかけてる時、空中でガルーダのションベンを頭から浴びちまったんだよ。それを洗い流してたところだ」
(……ごめんなさい、多分それガルーダのじゃありません)
私は心の中だけで謝りながら冷汗をかいていた。
しかしそれと同時に、ヤンキーのようなハルさんに頭からおしっこをかけたという事実に、なぜか背筋がゾクゾクするような快感を覚えていた。
(あ、ダメだ。これも開けちゃいけない扉だ)
私が必死に自分の心に蓋をしようとしていると、ハルさんが私の体を見てから急にそっぽを向いた。
頬を紅潮させながら、恥ずかしそうに目を伏せている。
「そ、そんな格好にさせちまって悪かったな。とりあえずコレ羽織っといてくれ。すぐに仲間を呼んで、服も持って来るから」
私が自分の体を見下ろすと、シャツが濡れて下着が透けていた。
しかし先日も同じような状況になったが、サスケもネウロイさんも何の反応も示してはくれなかった。
(このヤンキーハーピーさん、女性に対しては変に純情なんだな)
可愛い表情を残して飛び立つハルさんを見送りながら、私は少し愉快な気持ちになっていた。
それから川岸に腰を下ろし、ハルさんが仲間たちを呼んで来てくれるのを待っていた。
すると突然、首筋の後ろにチリチリしたものを感じた。ガルーダが現れた時に感じたのと同じ感覚だ。
その感覚に押されて川上の方へ首を向けると、水に浮いたガルーダがゆっくりと流されて来た。
どうやらガルーダも川へと墜落したらしい。もし落下の衝撃をやわらげるためにわざとそうしたのなら、やはり相当頭の良い鳥だ。
ガルーダはピクリとも動きはしなかったが、私は念のためにブルーを召喚した。ガルーダから逃れた後、すぐに召喚を解除して胃の中からは戻している。
私は川へ入り、ガルーダが流されてくるのを恐る恐る待った。
そして手が触れられる距離まで来ると、呪文を唱えた。
「セルウス・リートゥス」
私の指が青く光り、ガルーダの体の中へ入っていった。そしてガルーダの体全体が青く光り出す。
(やっぱり死んでなかった!)
チリチリしたプレッシャーのようなものを感じたのでそうでないかとは思っていたが、この怪物は案の定まだ生きていた。
体の中から内臓を凍らされたのに、なんて生命力だ。
隷属魔法をかけられたモンスターはその傷を回復させる。ガルーダはすぐにムクリと起き上がった。
と、同時に、私はその場に倒れ込みたくなるような脱力感を感じた。
「……え?なにこれ?」
それは大量の魔素消費によって生じたものだった。
しかし、今まで隷属魔法を使ってこのようになった事など一度ない。
(強いモンスターだから、魔素消費も大きいってことかな……?)
私は意識をしっかりと保ち、起き上がったガルーダの首筋を撫でてやった。
意外なほど柔らかい羽毛が、手のひらに心地良い弾力を返してくる。
「君の名前は……ガル!よろしくね、ガル」
私の命名に応えるように、ガルは小さな声でクルクルと喉を鳴らしてくれた。
それから私はガルを一度格納筒へ入れ、岸辺に戻ってから召喚してみた。
ガルは問題なく喚び出されたが、やはり強い魔素の消費を感じる。
(これはヤバイな……簡単に使えるモンスターじゃない。技なんか出させたら、もっと大変かも)
私はガルを川に入れ、試しに例の全身が光る発熱攻撃、ゴッドバードを発動させてみた。
(軽くだよ、軽く)
そう命じたのだが、それでも川の水が水蒸気爆発を起こして飛び散った。
そして、私の魔素が一気に枯渇しかける。
「も、戻って……!」
私はガルの召喚を解除し、その場に座り込んだ。
眠い。魔素切れのせいで強い眠気を感じるのと同時に、めっちゃムラムラする。
私は上から見えないよう、茂みの中へと入っていった。
本当ならハルさんたちに見つけてもらわないといけないので開けた場所にいるべきなのだが、逆に隠れた。
それから今日あったことを思い出す。
ヤンキーのようなハルさんに頭からおしっこをかけてしまったこと、その股間に顔をうずめてスリスリしたこと、そして私の透けた下着を見て恥ずかしそうに赤面するハルさんの表情。
それらの記憶が神経を昂ぶらせ、私のセルフケアはこの上もなく捗るのだった。
***************
☆元ネタ&雑学コーナー☆
ここから先は筆者が話の元ネタなどを気の向くままに書き記しているコーナーです。
本編のストーリーとは関係ないので興味ない方は読み飛ばしてください。
〈ハーピー〉
ギリシア神話に出てくる半人半鳥の生き物です。
羽根が生えたキャラということで、可愛く魅力的に描かれることが多いですよね。
筆者が小学生の頃に初めて見たハーピーは魔導物語(ぷよぷよの元になったRPG)のやつですが、やっぱり天使みたいで可愛いです。
ですが元ネタのギリシア神話だと、醜い上に汚物を撒き散らすという最悪なキャラでして……
醜いのはともかく、汚物は……
羽根=素敵キャラというのは、そういう作品を見慣れた現代人の先入観なのかもしれませんね。
〈龍涎香〉
現実世界にも龍涎香はあるのですが、その正体はマッコウクジラの腸内に生成される結石です。
ドラゴン関係ありませんね。
この龍涎香は古くから香料として使われてきました。
海岸に打ち上がってるのを偶然拾うものだったため結石とは分からず、『龍の涎が固まったものだろう』ってことで付いた名前らしいです。
っていうか腸内にできる結石って……ウ○コやん!!香料になんの!?
って思ったあなた、正解です。
実は出てきたての龍涎香はやっぱりウ○コの臭いがするらしいです。
でもそれが長期間プカプカと海面を漂う内に良い匂いになるんだとか。
まぁそんな知ったかぶりを書いてますが、筆者はこの龍涎香の匂いを嗅いだことがありません。
一度嗅いでみたい気もするんですけど、準ウ○コだと思うと嗅ぎたくもないような……
でも『臭いもの嗅いでみたさ』ってありますよね。不思議。
〈ガルーダ〉
ガルーダはインド神話に登場する神鳥です。
最強クラスの神様であるヴィシュヌの乗り物になる契約をしていますが(その代わりガルーダは不死になれた)、ただの鳥とは違いガルーダ自身にもしっかり理性があります。
『すごい鳥』というよりは『神様がたまたま鳥の形をしている』というイメージが正しいでしょう。
本編のモンスターのように光り輝いて高熱を発するという特殊能力を持っています。
その威力はマジでヤバかったらしく、産まれてからピカピカメラメラやってたら周りの神様たちがビビってゴマすりしてきたほど。
その強さでナーガという蛇神(一部では龍とも)を捕食するのですが、仏教ではそのナーガを煩悩と見立てて、『煩悩を喰らう仏教の守護神、迦楼羅』とされています。
……ふぅ、今回は汚物とかウ○コとか言いまくってたけど最後はキレイに締められて良かった。
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お読みいただき、ありがとうございました。
気が向いたらブクマ、評価、レビュー、感想等よろしくお願いします。
それと誤字脱字など指摘してくださる方々、めっちゃ助かってます。m(_ _)m
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