もう一度7歳からやりなおし!王太子妃にはなりません

片桐葵

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12歳

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やり直しでは我が儘を言わずすぐに謝り感謝し迷惑をかけないと心掛けた。

そして祖父のいるデールで過ごそうと決めていた。
デールは王都から離れた田舎で隣国の国境に近い港町だ。
母方の祖父は引退するまで文官として務め語学が堪能で博識な人だ。
1回目は本に囲まれて過ごす祖父に興味が持てず本など読んだことなかった。

やり直しでは度々祖父の元を訪れて本を読み隣国のエール語を教えてもらった。
祖父が若い頃にエール国との交易が始まりエール国の王宮でも働いていた。
そこで1人の女性と知り合い恋人同士になった。
まだ正式に結婚する事は認められていなかったが、いずれ国にもどって結婚するつもりで暮らしていた。
子供も2人生まれたが、ある日エール国内で内紛が起こり祖父と子供達だけが国に戻る事になった。

落ち着いたらすぐに祖母も追いかけてくるはずが病気で亡くなってしまった。
祖父は再婚しなかった。
母も叔母も祖母には似ていないそうだ。

エール国ではプラチナブロンドと緑の瞳の女性が美しいとされている。
長く信仰されている女神の姿に近いのだという。王族の女性に多く、エール国ではもてるらしい。

しかしこの国ではプラチナブロンドの人はほとんどいない。不気味に思われる事の方が多い。
1回目ではあまりにも堂々と振る舞っていた為、陰口を言われる事がなかった。

やり直し7歳からは地味に静かにユリウス様との接点もなく過ごした。

「セシル、ユリウス様が婚約者候補を探してるのよ」
「…候補?」
12歳になった時、お母様が爆弾を落としてきた。

「候補を何人か選んでユリウス様が成人する頃に婚約者を決めるの」
「そうなの」
「そうなのじゃないわよ。あなたも候補になるのよ」
「え!どうして?」
「王妃様にお願いして、ねじこんでもらったわ」
「…そんな…」
「あなた、急にユリウス様に興味をなくしたわよね」
「…もう好きじゃないの。私じゃユリウス様に釣り合わないでしょう」
「でもせめて候補でいてよ、お願いよ」

お母様の涙目には弱い。
祖父は男爵だ。お母様は学院で今の王妃様や国王様に出会ったが、身分が低く王族とは婚姻できなかった。
気持ちはなんとなく解る…。

妃教育は仕方ないとして、ユリウス様には会わなければいい。
いずれアリシアが登場するのだからその時、婚約者候補を交代すれば丸くおさまるだろう。


4人の令嬢がユリウスの13歳の誕生日に王宮に招かれた。
公爵令嬢のリアーナ13歳、伯爵令嬢のアニエス14歳、地方伯令嬢のベアトリス12歳。とセシル。
この時は簡単だが礼拝堂で儀式もある為4人がお揃いのドレスを身に付け、髪型も簡素に背中に流しアクセサリーは身に付けない。

「みんな美しいわ。この中の1人がユリウスの未来の妃になるのね!」
王妃は4人を眺めて楽しげに言った。
セシルはやり直しが決まってから地味な色の簡素な服しか着ていない。髪も地味な色のリボンで一つに束ね、去年からは伊達眼鏡を掛けている。
つくづく知性の感じられない顔立ちだと思っていたので頭が良く見えるのではないかと思ったのだ。
しかし、今日は外すようにとお母様に睨まれ仕方なく外した。

この後は1人ずつユリウス様とお話しする事ができる。
礼拝堂を出るとセシルは早く帰りたくて仕方なかった。
お母様は王妃様と話ながら移動していく。

1回目ではユリウス様に会うというより、王妃様に会ってご機嫌を取ってばかりいた。
ユリウスはセシルが苦手めで王宮に来た事が解ると避けていた。
アレンは今は騎士団で訓練中なので前程一緒にはいないようだが、何かの儀式やイベントの時はやはり側にいる。1回目はユリウスにもアレンにも嫌われていた。
害虫並に嫌われていた。

庭の端の方に庭師を見かけた。
花ではなく草も育てているようだ。
薬草だ。
修道院でも育てていた。他にも薬草の事を知っていて、
ちゃんと育て方を知っていたら死なずにすんだかもしれない。
自分が死ぬ前も村の老人や子供がひどい風邪にかかっていた。

「あの、ごきげんよう。すみません、それは薬草ですか」
「え、あ、はい。こっちがハハコグサで、煎じて飲むと咳が和らぎます」
「そうなんですか!」
しゃがみこんで薬草を近くで見た。
「こちらは?」

庭師は日焼けした中年の男性で聞けば何でも答えてくれた。

「セシル嬢」
顔を上げるとアレンが立っていた。
「は、はい…」
1回目のトラウマのせいでアレンが怖いので怯えてしまう。

「ユリウス様とお話しされてないのはセシル嬢だけですよ」
「あ、ああ、…でもユリウス様お疲れではないですか?私はこのまま帰りますが」
「ユリウス様がお話ししたいそうです」
「何を?」
つい真顔で聞いてしまう。
「…とにかく、ユリウス様がお待ちですので」
苛立ちが混じっていて怖いので庭師の方にお礼を言ってアレンに付いていく。

アレン様は今、14歳か…。
短い黒髪にグレーの瞳で文武両道、硬派なイメージだったな。それでアリシアの事が好きだったんだよね。
確か、公爵家の三男で2人のお兄さんとは母親が違う…とかいう噂を聞いたけど。
ユリウス様とは対照的にクールで一部の女性に人気があった。


「セシル、どこにいたの?」
「申し訳ありません。庭に…」
「そうなんだ。待たせてごめんね」
眩しい金色の髪に青い瞳。王妃様に似た美しい顔立ちで柔らかく笑った。
アリシアと結婚したユリウス様はどんな国を築いていったんだろう…子供は何人いたのだろう。

「寒くなかった?お茶をどうぞ」
「はい…」

この人が好きだった。だからアリシアに心を奪われていくユリウス様を認めたくなかった。アリシアさえいなくなればと思うようになって…。
愚かな女だわ。こんな女をユリウス様が好きになるわけがないのに。

セシルは口を閉ざして俯いた。
「最後に会ったの7歳の時だね」
「はい…」
「手紙も本当に届かなくて、ちょっと寂しいなって思ってた」
「幼かったとはいえ毎日手紙を書いてしまい申し訳ありませんでした…それなのに婚約者候補になってしまうなんて」
「僕は嬉しいよ。嫌われたのかと思ってたから」
嫌いというか距離を取らないと修道院で死ぬんですけど。

「お母様が、王妃様にどうしてもとお願いしたので…でも私は婚約者候補なんて荷が重いのです」
「そう…」
「ユリウス様から王妃様に言ってもらえませんか?私を婚約者候補から外してほしいと」

「え…」
側に控えていたアレンが思わず声をもらした。
「うーん、僕からはちょっと…もう儀式も終わったし」
「…そうですか…。婚約者に選ばれる事はないと解ってるんですけど…」
「それもまだ解らないよ」
いやいや、アリシアと恋に落ちて婚約者捨てるんだからそんなものに選ばれても無駄だわ。

「いいえ、ユリウス様は私を選んだりしません!」
「そんなに自信満々に言わなくても…」
「では失礼いたします。今後も顔を合わせないように気を付けます」

足早に部屋を出てそのまま走って馬車にかけよる。
「あれ、セシル様だけですか」
身の回りの事をしてくれる乳兄妹のウィリアムが、扉を開けてくれる。

「え、お母様まだ来てないの」
「はい。遅いですね」
ウィルは2歳年上だ。1回目ではかなり我が儘を言って困らせたが、今回は昔から兄のように慕い仲が良い。
確か二十歳くらいで屋敷で働いていた侍女と結婚した。

セシルには10歳年の離れた妹・セーラがいるのだが、ユリウス様にも年の離れた弟・アンドレアがいる。
国王には側室が1人いて、側室様が産んだ王子が1人いる。
そうなるとごちゃごちゃしてきて王宮内は面倒な事になりがちだ。
王妃派か側室派かとか。
一回目ではそういうの全部頭に入れて、あちこち挨拶に行ったりお茶会や夜会で声を掛けて根回ししたり。
あーやだやだ。

一回目ではセシルも王太子妃になる気満々だったから両親も全力で応援してくれて惜しげもなくお金を使ってくれた。
しかし今回はセシルに妃になる気が全くないので、お母様はすでにセーラを第三王子の妃にと画策している。

婚約者ではなく婚約者候補か…。
ユリウス様には関わりたくなかったのにとセシルは少し考え込んだ。

「あ、セシル様、ドレスに泥が付いてます」
「え!やだ~これ売り払おうと思ってるのに」
「売るんですか」
「そうよ。ソフィーの実家って色んなお店を経営してるんだけど、古着の買いとりもしてるのよ」
「へえ」
「買い取るのは貴族からで、平民の客が来る店で販売するの。だから滅多な事では貴族の目にはとまらないでしょ」
「なる程。うまくできてますね」
「落ちるかな~」
「ユリウス様とは久しぶりに会ったんでしょう。どうでした?」
「二人だけだしその言葉遣いしないで」

乳母のマリーや他の人がいる時はくだけた口調を注意される。一回目ではそんなの許していなかったが、やり直しでは使用人達を味方に付けたくてなんでも気にせず仲良くなっていた。
ウィリアムとは特に仲が良い為本当に気安く付き合っていた。

「じゃあ、奥様が戻られるまで」
「何が婚約者候補よ!ユリウス様はどうせ好きな女性ができて婚約者なんか捨てるのよ」
「何それ?」
「ゆ、夢よ。多分予知夢ね」
「予知って…」
ウィリアムが疑わし気な眼差しを寄越してくる。

「7歳の時、恐ろしい夢を見たの」
「7歳…あーセシルの性格が良くなった頃?」
「そう!それまで死ぬほど性格悪かったでしょ」
「悪かった!嫌いだったし」
「性格が変わるくらいの恐ろしい夢だったわ。
夢の中で、私は12歳でユリウス様の婚約者になるの。
我が儘と高慢さに磨きがかかってそれは嫌な女だった…」
「へえ…」
「でもね、私が17歳の時に両親が遠縁の女の子を養女に迎えるの」
「養女?」
「そう。義理の妹ができるの。私より少し年下ですごく美しくて頭も良いの。…それでまあ夢だしなんやかんやで、妹はユリウス様といつの間にか恋に落ちて恋人同士になるのよ!」

だんだん話に熱が入ってしまう。
「でも夢でしょ」
「怖いのはこれからよ!
私は嫉妬に狂って妹にいじめや嫌がらせをし、最終的には殺そうとしてしまうの」
「怖!で?」
「すぐにアレン様に見つかって牢屋に入れられた」
「あーあの顔怖い騎士の人?」
「そうそう!それで、私は修道院行き。
貧しい村の貧しい修道院の前で降ろされて…アレン様が、私の髪を鷲掴みにして、短剣を突きつけて『王都に戻ったら殺す』って私の髪をめちゃくちゃに切るの!
本当に怖かったわ…」
「それは怖いかも…夢とはいえ。迫力ありそう」
「アレン様が魔王にしか見えないのよ」

「えーでもアレン様には罪はないよね」
「でもすごいリアルだったんだもん。思い出すだけで怖くて漏らしそう」
「漏らすとか止めなよ」
「で、修道女になって過ごすんだけど、かなり貧しくてね。ある冬の日に風邪をこじらせて肺炎にかかってあっけなく死ぬのよ」
「ふーん」
「ふーんじゃないわよ。
その夢を見て心を入れ換えたのよ!
ユリウス様にも悪いイメージしかないし、アレン様に至っては視界に入っただけで軽く膝が震えるのよ」

思い出して身震いする。
「じゃあ今日もユリウス様とゆっくり話したわけじゃないの?」
「そうよ。さっさと退出してきたわ。ユリウス様も疲れてるでしょ」
「そりゃそうだけど。向こうは王太子だろ」
「私の顔見ても不愉快かと思って。アレン様もいて怖いし」
「あ、でもアレン様ってセシルが5歳の時謝りに来たような…」
「アレン様が?全く記憶にない」
「3日くらい連続で来た」
「あたし二年間王宮出禁だったし、釘を刺しに来たんだろうね」
「セシル、やんちゃだったからね」

と、馬車の扉がノックされた。
ウィリアムが急いで扉を開け外に出た。
アレンが小さなバスケットを持って立っていた。
セシルも外に出る。

「すみません。ユリウス様がお菓子を持っていくようにと」
アレンからバスケットを差し出される。

「あ、ありがとうございます。わざわざ申し訳ありません」
受け取ってアレン様を見上げた。
『こ、怖い…』
眼差しに隙がない。気を抜いたら殺られる…。
「セシル嬢、お伺いしても?」
「あ、はい」

「先程、ユリウス様は自分を選ばないと言っていましたが。婚約者に選ばれなかったらどうするのですか」
「え、ああ。祖父の仕事を手伝います」
「お祖父様の…」
「デールに住んでいます」
「そこで結婚するんですか」
「多分しないと思います…」
アレン様が何か考えるように視線を落とした。

「では、その時は私と結婚しませんか」
「…あーあはは。面白い冗談デスネ」
笑いたくなかったが、笑わないと殺されるかもしれないと思いひきつりながら笑顔を作る。

「冗談とか言わないですから。
否定されなかったので、結婚していただけると思ってもいいですか」
「え…ええと、でも婚約者が決まるのは6年後ですよ。アレン様にはそれまでに婚約者か恋人とかが見付かるはずです」
「そうでしょうか」
「そうです!今もアレン様は一部のご令嬢達に人気がありますし」
「一部…」
「好みというものがありますから…。それにアレン様は私がお嫌いでしょう」
「いいえ。確かに5歳の時は元気で奔放すぎてどうかと思っていましたが、その後はとても静かで聡明な感じなので、かなり好きです」

こいつ、からかってるな…。
普段表情筋が死んでいるアレン様がうっすらと笑っていた。
「結婚の件は検討いたします…」
「ありがとう。ぜひ前向きに」
見上げると見たことのない綺麗な笑顔でセシルを見下ろしていた。
「アレン様?」
「忘れないで下さいね。では、お気を付けて」

アレン様は建物の中へ入っていった。
「結婚ねえ…」
背後に控えていたウィリアムが言う。
セシルは馬車に乗り扉を閉めた。
「からかってるのよ。私がブスだからって!」
持ってきてくれたお菓子をむさぼる。
「からかってたかなあ…」

「それ以外に何があるのよ」
「意外と本気なんじゃないの。
セシル、ブスじゃないし。この国では珍しい髪と目の色だけど」
セシルはウィリアムにお菓子を差し出す。
「エール国では美人なんですって。でもここはエールじゃないのよ!」

「まあでも、アレン様は将来的にはユリウス様の近衛騎士…側近として遣えるだろうし。実家は公爵家だし。格好いいし脚も長いしさ。いいんじゃないの」
ウィリアムはお菓子を頬張る。
「良いわけないわよ。そんな人とはみんな結婚したがるわよ」
「まあもてる…だろう…ね…」
焼き菓子は2人の口のなかの水分を全て奪っていったので一端沈黙しているとお母様が戻ってきた。


妃教育が次に数回王宮で行われるので、座学やマナーやダンス等を少しずつ学んでいく。
ここは、優秀ではいけない。
エール語以外は手を抜くしかなかった。

ユリウス様と2カ月に1回会う機会がある。
今は2人とユリウス様、3人でお茶会でお話しする。
15歳からは二人きりになるそうだ。

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