私の旅

龍牙

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2日目

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満身創痍の私は、
満身創痍の私の心臓を抱え







歩いている。








この場所は、よく解らない。
ただ薄暗く、歩けども歩けども
その先に光が見えない。

もしや、
私は真っ直ぐ前を向いて歩いてはいるが、
それは私がここをトンネルの様なものと思い込んでいるからなのだが。
本当は、もしかして上に
上に出口があるのではないだろうか。


天を仰ぐ。


ただ、真っ暗な世界しかそこには無い。
上に昇る事が正しいのだろうか。
徐に上げた右手が、何も無い筈の黒い壁を触った。
驚いた。
上を認識したと思ったら、目の前に壁が出来ている。
私は果ての無いトンネルではなく、巨大な井戸の穴の中に落とされていたのだろうか。
闇の壁はゴツゴツと取っ掛かりがあり、
さも、登るべきだと言いたげに私の掌に主張してくる。



これは、登るべきなのか…。


右腕を伸ばし、できるだけ高い位置の取っ掛かりに手を掛けた。左足を持ち上げられるだけ持ち上げ、手頃な取っ掛かりを踏みしめ




ふと、思い返した。











進めばいいのか…










登ればいいのか…











足が、







止まった。








不自然に伸ばした右手と左足を戻した。





そして、






前を向き





闇の壁に向かって歩き出してみた。







私の足は、




壁に阻まれる事なく、





再び闇の中を進むべく、







前に出る。




















何だ、これは。



何だこれは!何だこれは!?
何なんだ!?






ここは、どうしたと言うのか。











進むべき道が解らない。
私には見えない。





恐怖と絶望がこの身に降りかかってくる。







どこへ歩けばいい。



何をすればいい?


何をしたらいい?










動けない。











私の心臓が小さくなっていく。








あぁ、









とても眠たい。











鼓動が眠気を訴えている。








私は脱力した体をその場に横たえ








ただ、










ひたすらに
















眠りに就いた。
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