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62話 貴方は私の邪魔ばかりする?!貴方がいると集中出来ません?!
しおりを挟む明日は私の誕生日。2月に入り、少し暖かくなってきたからと、睦月さんがこたつを仕舞ってしまい、和室で執筆している。
2月とはいえ、まだまだ気温の寒い日が続き、手足が冷える。睦月さんからもらった膝掛けをぎゅっと胸元まで引き寄せた。
襖がそろ~~っと開き、睦月が顔を覗かせ、私の様子を窺う。パソコンの画面から目線を外し、睦月を見つめた。
「入れば」
「うん」
とん。
襖が閉まる音を聞き、再び画面に目線を戻す。気づいた時には、睦月が私のそばに座っていた。
「何かありました?」
「如月、明日出かけない?」
誕生日だし、サプライズとかかな? 最近、執筆に追われ、デートに誘われても、時間が足りないから断っていた。睦月の瞳から『今日は断るな』と、強い圧力を感じる。
「ん~~お昼からなら」
「じゃあ、昼ごはん食べに行こ!」
「いいですよ」
パソコンの画面と睨み合いながら、話を進めると、睦月が私の膝の上に座った。画面が見えない。邪魔。タイピングしていた手を止め、睦月を見る。
「それ、今やらなきゃダメなの?」
「今やらないでいつやるんですか」
「…………」
ごろん。
不貞腐れたように寝転がり、私の膝の上に頭が乗る。私が連日構っていないせいもあり、甘えてきている部分はあると思う。
構ってあげたいのは山々だが、そんな余裕はない。偽りの新婚生活で執筆を怠ってきた分、執筆が遅れている。悪いな、と思いつつ、キーボードを打ち続ける。
美味しい夕食で腹が膨れ、襲ってくる睡魔と格闘しながら執筆する。ねむー。
「いつ終わるの?」
「いつ……いつ……う~~ん……」
「今日も寝るまで執筆?」
「……終わらなければ」
「ね~~ね~~如月ぃ~~」
構って欲しくて仕方がないらしい。ここで構ったら今、持続している集中力が切れてしまいそう。心を鬼にして、睦月のことを無視する。
「無視?」
「…………」
「こんなに好きなのは俺だけ?」
面倒くさ。まるで、仕事と俺どっちが大切なの? と訊かれているかのよう!!! 私が貴方のことめちゃくちゃ好きなの分かってるくせに。ズルい人。
大きな瞳で、じぃっと私を見つめる睦月の姿に根負けして、少し…少しだけならと、膝の上に乗る頭にそっと触れる。体温が高くて、あったかい。指先を流し、赤らんだ頬を撫でた。
気持ち良さそうに微笑む睦月が可愛くて、綻んでいる口元に、口付けした。
ちゅ。
「んふー」
「お風呂入れば?」
「如月、後から入ってきてくれる?」
「えー……」
「じゃあ、やだぁ」
んーもうっ。仕方な……じゃなくて集中、集中。パソコンに目線を移し、睦月の頬から手を離そうとすると、手が掴まれた。
「如月、すーき」
「はいはい」
画面から目を逸らし、睦月を見つめる。綺麗なくっきり二重の大きな瞳と目が合った。貴方のその大きな瞳は愛くるしくて、いつも私をドキッとさせる。はぁ。これは集中出来ないな。
パソコンの画面を閉じて、睦月の髪を撫でた。
「睦月さん~~」
「えー? なに?」
「なんで私のことだけ名字で呼ぶんですか?」
「え゛」
「他の方のことは基本、下の名前で呼んでいますよね」
頬を赤らめて黙り込む睦月をみて、胸の中がきゅんとする。恥ずかしくて呼べないだけかな。思えば、私のことを名前で呼ぶときは上手に呼べたり、呼べなかったりしている気がする。
呼ばれる私の方も慣れていなくて、恥ずかしさで、挙動不審になってしまう。だけど今更、下の名前で呼ばれたいなんて、ダメだろうか?
横に寝転がっているせいか、睦月のTシャツの裾が捲れ、少し割れた腹筋がいやらしく私を誘ってくる。誘いに乗るように、服の下へ手を忍ばせた。
「ちょっ……」
「私のこと、下の名前で呼んで?」
「な、なんで急に……?」
「ぇえ? 別に? だめ?」
「あっ…まだお風呂入ってないからぁ」
服の中で、胸の突起をきゅっと摘む。睦月の身体がビクビクっと震えた。いつもより感じている。可愛い。親指と人差し指で胸の突起を擦り合わせる。
くにくに。
「あっ…はぁ…んっ…あっ如月だめっ待っ…んっぁあっ……」
「名前は? 名前。ほら、弥生って言ってごらん?」
「……っ……やだ…絶対…言わない……」
目を細め、恥ずかしそうに逸らされた。ふ~~ん? 気持ちよくなりたくて呼ばないつもり? そっちがその気ならこっちにも考えがある!!!
胸部に触れる手をゆっくりと下へ這わせていく。
「待ったぁあぁ!!! 今日汗かいてる!!! まだお風呂入ってないからだめ!!! 絶対だめ!!!!」
「……?? そういうの気にするタイプでしたっけ???」
なんだかすごく必死。頬を赤らめて、私の手を全力で拒否してくる。拒否しても無駄だよ? そんなことされると、羞恥で染まったその顔を、歪ませたくなる。下に這わせた手を強引に下着の中へ入れ、幹に触れた。
ねちゃあ。
おや?
「………………」
「……蜜が溢れたような濡れ感とは思えない湿りを感じます」
「そっ…それは……きっ……如月が……俺を我慢させるからぁ……」
折りたたみ式ローテーブルの上にある自分の手帳を手に取って開く。(※えっちした日は手帳に書く派)執筆が忙しくて、えっちも疎かになっていたのは事実だ。
「1週間と5日」
「へ?」
「……最後にえっちしてから如月が俺を抱かなかった日数」
「え~~と……そこまで日にち経ってないですよね? イクの早すぎません?」
身体を起こし、もじもじしながら俯く睦月の頬を手のひらで撫でる。そこまで放置したつもりはなかったが、睦月さんには結構負担だったらしい。
「……如月がいけないんだもん……全然シてくれないくせに急に触ったりするから……きっ…如月が触ってると思ったらなんか急に……」
なっ、なに?! かっ…かわいい!!! それで出ちゃったんだ?! 顔を真っ赤に染めて、上目遣いで見てくる睦月に鼓動が早くなる。
こ…こんなの可愛すぎて執筆に集中出来ません!!!! むしろ爆発する!!! 明日出かけるなら尚更進めないといけないのに!!!
「きっ、如月ぃ……えっちしよぉ……?」
「…………(くっ……)」
睦月が私の服を指先で摘み、引っ張る。これは計算か?!?! わざとか?!?! 天然か?!?! 養殖か?!?! 名前を呼ばせたかっただけなのに!!! 私の性癖をあざとく突いてくる!!!
同じ部屋で空気を吸っているだけで脳が溶けてしまいそう!!!!!
「ぁああぁあぁああぁあ!!!!」
「えっ? ちょっやめてっえっ?! なに?!?!」
睦月の首根っこを掴み、和室の外へ放り出す。
ぽいっ。
「お風呂、沸いてますよ」
「ちょっ……」
スパン!!!
思いっきり襖を閉める。ごめんなさい。でも今日は許して? 手のひらに広がる、ねっとりした白濁をぺろりと舐めた。
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