如月さん、拾いましたっ!

霜月@サブタイ改稿中

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61話(4)苦しい期間ももう終わり?!人事を尽くして天命を待つ! X140字&ラフ画

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 ーー受験発表当日。



「ぁあぁああぁあ!!!! 私…受かってるかな?! 落ちてたら…落ちてたらどうしよう!!!」
「ぁぁああぁあぁ!!!! 卯月大丈夫かな?! 落ちてたら…落ちてたらどうしよう!!!」
「一応自己採点では合格ラインでしたから大丈夫じゃないですか?」
「「なんで如月はそんなに冷静なの!!!」」


 兄と同時に如月の服を掴む。如月が「ぷっ」と口元を押さえて笑った。イラっ。絶対今、お兄ちゃんと似てるとか思ったでしょ!!!


 来なくていいって言ったのに、合格発表に兄と如月が付き添いで来てくれた。学校の掲示板の前には多くの生徒が集まり、緊張と期待の感情で、重々しい雰囲気を感じる。


 最後の冬の冷たい風が吹き抜ける中、私も生徒の集まりに紛れ、掲示板に貼られた紙を見つめた。緊張で鼓動が早くなる。


「は、ははは張り出しが始まった!!!」


 兄の服の裾をぎゅっと握る。掲示板に試験結果が張り出され、騒がしかった辺りは一気に静まり返った。自分の受験番号を確認し、一生懸命、番号を探す。


 自分の受験番号が目に入り、今までの努力が報われた気がして、喜びで涙が溢れた。


「あ……あぁああ…あったぁあぁあ!!!! お兄ちゃんあった!!! うわぁあっ!!!」
「良かったぁ~~ふぇ……うぅ…卯月が受かって……良かったぁ……ひっぐ……」
「なんでお兄ちゃんが泣くのさ~~」


 如月に抱きしめられ、ぐずぐず泣く兄を見て少し恥ずかしくなる。こんなところで大泣きするなよ。


 周りを見渡すと、友達と両手を合わせて祝い合う姿や、悔しさに涙をする姿が入り混じっていた。本当に、本当に、努力が報われたんだ。勉強の面倒を見てくれた、小春さんや兄たちへ感謝の気持ちでいっぱいになった。


「星奈は?! 星奈はどこ?!?!」


 きょろきょろと辺りを探す。私より成績が良いのだから、もちろん受かってるよね?! 星奈の姿が見えず、心が不安になる。


 ずしっ。


「卯月ちゃあ~~んっ!!!」
「おわっ!!!」


 後ろから星奈がのしかかってきた。この喜び様、結果は聞かなくても分かる。


「受かったよぉ!!! 卯月ちゃん!!!」
「星奈ぁあぁあ!!! 私も受かったよぉお!!! 来年も一緒に推し活しようね!!!」
「もちろん!!!」
「あっ、小春さんに合格知らせなきゃ!!!」


 スマホを制服のポケットから取り出し、誇らしげにメッセージを送る。小春さん、本当に本当にありがとう!!!


「お兄ちゃん!」
「う? ぐすっ…」
「お兄ちゃんも頑張れ!!」
「言われなくてもぉ……」


 私にとって今日が新たな一歩を踏み出す日となった。これからきっと、また色んなことが始まる。楽しいことも、辛いこともいっぱいあるだろう。


 そんな自分の未来へ、希望を胸に膨らませた。



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 X140字企画。『』は今週のお題です。
 Xは万人向けになってるので、こちらでは如月さん向けに少し編集してます。(読みやすく、小説向けに改良してあります)




 ーー旭目線。『冬眠』



 お前を想い続けて8年。自分の気持ちに蓋をして、お前の幸せだけを願う日々。


 お前を想う俺の気持ちは、ずっと冬眠状態だ。


「みて! 雪、降ってきた!」


 曇りのない笑顔で俺に笑いかける。好きだよ、お前のことが。心の中で囁く。


 雪が溶けたら、眠り続けている俺の気持ちにも春は来るだろうか。

 

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 ーー如月目線。『イルミネーション』



「手、繋ごう!」

 光のアーチをくぐりに恋人が集うこの場所で、手を握ることを躊躇う。私達は同性だ。少し人目が気になる。


 私を見つめる彼の目はイルミネーションの光が目に映り、まるで星が瞳に入り込んだみたいに輝いていた。


「ん!」


 その瞳で見るのは反則だよ。促してくる手に指先を絡めた。



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 ーー如月目線。『プレゼント』



「欲しいものある?」
「んー……」


 欲しいものなんてない。貴方がそばに居てくれるだけで私は他に何も要らない。


 貴方と過ごす時間が、貴方が私に与える言動の全てが、私とっては贈り物で幸せでしかない。


「ちょっともらいすぎかもね」


 欲張りな私は恋人を抱きしめ、首筋に所有の口付けをした。



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 ーー睦月目線。『プレゼント』



「欲しいものありますか?」
「え~~?」


 欲しいもの? そんなのひとつしかない。綺麗事のような甘い言葉や一緒に居るだけで幸せなんて、俺は思えやしない。


 俺はお前の全てが欲しい。


「ちょっ待っ……んっ」
「プレゼントはお前でいいよ」


 隣で寛ぐ恋人に上から覆い被さり服の下に手を忍ばせた。



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 ーー旭目線。『クリスマス』



 どこを歩いても街中はクリスマスだ。今年は俺ではなくあの人とお前は聖夜を過ごす。


 考えないようにしても瞼の裏に浮かぶ、お前との去年のクリスマス。


 俺は去年と同じように今年もツリーで輝く星へ、お前に心を捧げることを誓う。


 お前が俺の気持ちに気づいていなくてもこの想いは変わらないーー。



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 あとがき。



 みなさん、こんにちわ! いつも『如月さん、拾いましたっ!』をご愛読頂き、ありがとうございます!!!



 たくさんのブクマ、いいね、ラッパ! 本当にありがとうございます! 創作の励みになります!!! 本当に本当にありがとうございます!



 今回は本編&X140字です。どうしても、次のストーリーはそのepiで立てたくて。ラフ画もあるし、合体(?)させました。




 では、X140字解説(誰得)からしていきたいと思います!!




 『冬眠』

 これな、地味に気に入ってます。無駄に。片想いなんだけど、相手の顔を見て笑みが溢れる(そういう描写はないが)感じが、ほっこり。




 『イルミネーション』

 ちょっと、推しの子(?)的な描写にはなってしまったのですが。直接的なイルミネーションの描写ではなく、


 睦月の瞳から見えるイルミネーションって感じです。目が気になるがテーマでもあります。




 『プレゼント』

 同じ内容で、受けと攻めを視点入れ替えで書いてます。同じ内容でも、ちょっと俺様な睦月の視点の方が世間的には良かったようです。


 ん~~難しい。



 『クリスマス』

 メインの設定とは少しズレてるのですが(笑)ラストクリスマスをテーマに書いています。


 会話文は一切ないけど、なんかもう、切ない……。




 毎週投稿してるので、よかったら見に来てくださいね! あ、でも最近の140字は如月さんではないものを投稿してるかも……。



 如月さんもいよいよ、大詰めです。



 まぁ、もう終わりです。(寂)



 あともう少しだけ、いちゃらぶと甘々えっちして完結します。



 最後まで如月と睦月と卯月の行末をあたたかく見守って頂けると幸いです。



 ブクマ、イイネ、ラッパ本当にありがとうございます!!! 後少し頑張ります!! 今後もよろしくお願いします!!



 ラフ画です!
 福笑いで卯月ちゃんが見えない間に、もぉ~~っ!! ナニしようとしてるの?! 睦月のデレに悶えます(笑)




 




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