如月さん、拾いましたっ!

霜月@サブタイ改稿中

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60話 貴方を抱きしめて寝たいです?!でも寝かせる気はありません?!

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 手を繋いだのは逃さないため。


 これに深い意味はない。なのに、頬を赤らめ、さも私がこの女に気があるかのように、家に着くなり、私の服の裾を指先で引っ張ってくる。


「弥生、怒ってる?」
「…………」


 口も利きたくない。じろりと澪を見つめ、目を逸らす。澪の手を掴み、服の裾から剥がした。


「二度と睦月さんに手を出すな」
「もう何もしないから仲直りしよ?」
「は?」


 仲直りって何? 私たちが喧嘩してるとでも? 都合の良いようにしか考えられないのか? 睦月さんにしてきたことは悪いこと、なんて微塵も思っていないような態度に腹が立つ。


「言っておきますが、私、許していませんから。それに仲良くする気もありません!」
「何それ!!! 婚約したくせに!!!」


 言い合っても澪がヒートアップするだけ。耳から入ってくる罵声をシャットアウトする。聞きたくないから、何も聞こえない。澪に背を向け、自室へ向かう。早くこんな生活やめたい。


「どこ行くの?!?! 話終わってないでしょ?!」


 ドアノブに手をかけ、立ち止まる。振り返り、澪を見た。自分が今日何をしようとして、どうなるところだったのか、何も理解していない。


 いつのまにか、婚約したのに仲直りしようとしない私が悪い話になっている。


 『話すだけ無駄』そう思ってしまい、今日のことを分からせようという気にもならない。一応はそれでも同棲相手。自分の中から優しさを絞り出す。


「……もう疲れたので寝ます。今日は1人で寝てください」


 ばたん。


 澪の返事を聞かず、扉を閉めた。この部屋に寝具はない。寝るとなると寒いし、身体が痛くなる!!!


「澪が寝たら睦月さんのところへ行ってもいいだろうか……」


 願わくば睦月さんを抱きしめて寝たい。澪とは1週間しか過ごしてないが、この生活も疲れた。睦月さんという癒しが欲しい!!! 3日前に会ってるけど!!!


「欲には勝てない」


 夜中に会いに行って勝手に睦月さんの布団に入ろう!!! 床に散乱した小説を片手に取り、澪が眠りにつくまで本を読み続けた。



 *



 ぬくぬく。


 夕飯と片付けが終わり、あったかいお茶を飲みながら、こたつで暖まる俺の幸せな時間が、旭によって妨害されている。


「むっちゃ~~ん、ご褒美ちょうだい」
「やだ」
「お口でするでいいよ?」
「絶対やだ!!!!」


 刑事の如く、隣に張り付いて俺から何かを得ようとしてくる。如月以外の幹を口でとか無理……。なんか……くさそう……。


「今めっちゃ失礼なこと考えたでしょ」
「考えてないし」
「俺が口でシてあげようか?」
「……しなくていい!!!」
「…………(一瞬考えたな)」


 口でなんかされたら絶対立つ!!! 欲求不満のせいか、少し想像してしまい、頬が赤く染まる。そんな俺をみて、旭がクスッと笑う。


 でも、危険な目に遭ってまで、犯人を捕まえてくれたのは事実。何かしてあげたい気もする。


「う~~ん」
「じゃあ一緒にお風呂入ろ」
「やだ……」
「シてるとこ見せて」
「見せるのはイヤだけど、見るならいいよ」
「それはちょっと違う気がするんだけど~~」


 如月にも見せたいと思わないのに!!! それに如月が澪とえっちしないって約束守ってるのに、俺が旭と性的なことする訳にはいかない!!!


「お泊まりするんだからそれがご褒美!!!」
「ん~~……(仕方ないか)」
「じゃあ俺、風呂入るから!!!」
「何怒っーー!!!!」


 旭の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。旭が喜ぶ、俺の出来そうな唯一こと。これで勘弁して!!! 旭の頬が薄紅色に染まったのを確認し、脱衣所へ向かった。


 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー
 *

 

 来てしまった、睦月さんの家へ!!! 後先何も考えずに!!! 我ながら、馬鹿だ。そして、睦月さんが好きすぎる……。情けない。


「はぁ……」


 こそこそと家の中に入り、和室へ行くと、睦月の布団で寝る旭が目に止まった。なんで睦月さんの布団で寝てるの? 少し苛立ちながらも、私の布団で眠る睦月の隣に潜り込む。


「ん~~……」
「……(起こしちゃったかな)」


 子供みたいな無邪気な寝顔が可愛くて、思わず抱きしめる。ぎゅ。無意識なのか、睦月の腕が背中に回り、私を締め付けた。可愛い。少し、ドキドキする。


 ふんわりと香る睦月の甘い匂いに下腹が熱くなる。一緒に過ごさないとこうも耐性がなくなるものなのか。そっと睦月の顎を持ち上げ、無防備な寝顔に唇を重ねた。


 ちゅ。


「ん……」


 寝込みを襲う趣味はないけれど。貴方があまりにも可愛いから。熱を帯び、りんごのように赤くなった頬を手の甲で撫でると、睦月の瞼が薄ら開いた。


「起こしちゃった?」
「……なんでいるの?」
「ん~~まぁちょっと仲直り? 出来なかったみたいな? ふふ」


 訊かれるのは都合が悪くて、目線を逸らす。私が居て嬉しいのか、目を細め、睦月が笑みを溢す。私も自然に笑みが溢れた。


「朝まで隣で寝かせてください」
「寝かせないよ」
「それは困ります」


 片腕で睦月を抱き寄せ、唇を触れ合わせた。布団の中で絡まる脚に鼓動が早くなる。隣では卯月さんも旭さんも寝ている。分かっているのに、止められない。薄く開いた口唇に舌を差し込んだ。


 くちっ。


「んっ……んん……ん……ふ……んっ……んんっ…ふ……」


 親密であたたかい口付けに脳が溺れていく。喘ぐように息を漏らしながら、口唇を濡らす。深く絡み合う、柔らかな舌の感触を楽しむ。


「ーーはあっ……あっ…待っちょっ…あっ…」


 ズボンの中に手を入れると、睦月が肩を震わせた。可愛い。下着の上から幹を撫でただけなのに、ビクビクしている。


「如月っだめ……み、みんな居る……」
「……睦月さんが声出さなきゃ良いんですよ」


 かぷ。赤くなっている耳を甘噛みする。まぁ、睦月さんが声を我慢出来るとは思えませんけど。我慢している姿が見たくて、幹を優しく撫でた。


「~~~~っだっだめ…ん……ほんと…はぁ…んっ……」
「ふぁあ……まぁ…そうですね。眠いですし……この辺で……」


 ほっぺ赤いし、目もとろんとして可愛いけど、朝早いし、寝よう。そっとズボンから手を引き上げると、手首が掴まれ、ズボンの中に戻された。


「や、やめんなよ」
「……言ってることが矛盾してますよ」
「……もっとシて……」


 甘えた顔で見つめられ、恥ずかしくなり、サッと顔を背ける。反則ですって!!! その顔!!! やっぱり耐性がなくなっている気がする?!?!


「如月?」


 ぎゅっと睦月が私の服を掴む。同じ服を掴む動作でも、澪とは全然違う。なんでこんなに可愛いのだろう!!! くっ……!!! 色々抑えきれない!!!


「……ちょっとだけですからね」
「あっ……」
「し~~っ声はだめです。はい、咥えて」
「えっ…やっ……ん~~っ……ん」


 掛け布団の端を掴み、睦月の口内に入れる。腹筋を撫で、下腹に沿い、手を下へ下へと這わせた。


 
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