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52話(7)スイーツデートで出会う謎の女?!馴れ馴れしいあの女は誰?!
しおりを挟む……げっそり。(※如月)
「如月、ご、ごめん!!!」
「これ以上やったら実家に帰らせて頂きます」
「ぇえ~~っっ!!! 分かった!! 今日もうえっちしない!! 攻めやらない!!!」
じぃっ。
嘘くさくて睦月を睨む。さっきだって、反省するとか言った5分後に私を抱いてきた。信用できない。睦月さんを攻めにすると厄介だ!!! 肉食過ぎる!!! 性欲も強くて己の肉体がついていけない!!!
「朝ごはん……」
「はい!!! 今やります!!」
「ソファから動けない。サイドテーブルに朝食持ってきて」
「はい!!! 分かりました!!」
あんなにシてるのに、元気だな。朝ごはんを温め直す睦月を遠い目で眺める。もうしばらくえっちはいいかな。乱れた衣服を正す。
はぁ。不本意ながら、奥を突かれる気持ち良さはある。でもこの終わった後の屈辱感。はぁあぁああ……。
サイドテーブルに温められた朝食が並べられ、私の服がぎゅっと掴まれた。
「ほんと、ごめん。お願いだから実家に帰らないで」
「…………」
ばかめ。こんな可愛い人を置いて、実家に帰るわけないだろう。不安そうな表情を浮かべる睦月の手を引っ張り抱き寄せた。
「一緒にごはん食べよ」
「俺の朝食、あっちなんだけど」
「はい、あ~~ん」
スプーンでスープを掬い、ふーふーっと息を吹きかけ、睦月の口元へ運ぶ。口唇を少し開け、スープを待つ睦月が可愛くて、ぷっと笑みが溢れる。開けられた口にスプーンを入れ、スープを流し込む。すぐに唇を触れ合わせた。
「あーーっ…んっんんっ」
睦月の後頭部を掴み、密着させるように、私へ引き寄せる。あんなに私をめちゃくちゃにするなら、もっとキスして。睦月の口唇を舌でこじ開け、口内のスープを分け合う。口元からスープがだらしなく溢れた。
「ーーんっはぁっ……」
「あ~~美味しい」
「もっ、もぉっ!!! ご飯持ってくる!!!」
顔を真っ赤にして、朝食に取りに行く姿を見て、思わずクスッと笑ってしまう。やっぱり攻めてる姿より、こういう可愛らしい姿が私は見たい。
脚の間に睦月を挟み、一緒に座りながら、朝食を食べる。少し食べづらいが、腕の中に睦月を感じられて、幸福感がある。
「あ。母から新年に挨拶に来るように連絡がありました。卯月さんもぜひ一緒に、と」
「ほんとっ?! いく!!!」
「初詣、一緒に行きましょうね」
「うん!!!」
嬉しそうに笑う睦月が愛しくて、頬を指の背で撫でる。あれ、顔にご飯粒付いてるし。可愛いなぁ、もう。睦月の頬に顔を近づけ、ご飯粒を唇で取った。ちゅ。
「なっなに?!」
「ふふ、ご飯粒がついていました」
「嘘っどこ?!?!」
「もう取りましたよ」
食事が終わり、温かいお茶を飲みながら、卯月からもらった本を読む。隣に座る睦月がちらちらと私を見てくる。何かな?
「何か言いたいことでも?」
「いや、言いたいことっていうか……その……一応まだクリスマスだし……えと……でーとしない……?」
上目遣いで、じぃ~~っと私を見つめ、催促するように服の裾が引っ張られた。デートかぁ。正直なところ、今日は家で1日中本でも読んでいたいところだが、可愛い恋人のおねだり。身体は怠いが出掛けよう。
ぱたんと、本を両手で閉じる。
「遠出とかアクティブなデート以外なら」
「やったあ!!! 何がいいかな?!」
「この時期イルミネーションばかりですよね」
「う~~ん。あ! 寒いしスパとか行く?!」
「私にこの身体で温泉に入れって言うんですか(※噛み痕、キスマだらけ)」
「あぁ~~……」
本をサイドテーブルに置き、しょぼんとする睦月の頭を撫でる。色々考えてくれて、ありがとうね。なでなで。
「甘いものでも食べに行きませんか?」
「甘いもの?」
「スイーツ的な……」
「いいね! 調べる!!」
ごろん。
私の膝の上に睦月の頭が乗る。睦月の髪に指先でそっと触れ、前髪を横に流す。睦月の黒目が私の指先を追った。ふふ、可愛い。
「ここは? ここ~~」
「いいのでは?」
見せられたスマホの画面を見つめ、睦月に微笑みかける。睦月の背中に腕を回し、抱き起こす。穏やかに唇を触れ合わせた。
「…ん……」
ちゅ。
ーー貴方と一緒ならどこへでも。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
*
「都会から外れたこんな場所にカフェが……?」
「一応……この川の近くにあるみたいだけど……」
もう少し調べてから選べばよかった。駅からどんどん離れている。身体の調子があまり良くないというのに、沢山歩かせて、申し訳ない。しばらく歩くと、古民家のような少し古い外観のカフェが見えてきた。
「あそこですかね?」
「たぶん~~」
重たい扉を引き、中へ入る。ちりんちりんと、鈴の音が鳴り響いた。木目調で統一された机や椅子がなんだかお洒落。外観ほど古さは感じない。
店員を待っていると、胸元まで髪のある綺麗な女性がこちらに近づいてきた。
「あれ? 弥生じゃない?」
「????」
いや、俺の方見られても。如月が首を傾げ、俺を見てくる。俺が知るわけないじゃん。誰だよ。如月に馴れ馴れしく話しかける女性に嫌な気持ちになる。
「覚えてないの? ひどい! 小学校の頃、縁側でよく一緒に遊んだじゃない!」
「あーー……澪? 綺麗になっていて、分からなかった」
「やだぁ~~もう!! 弥生ってば」
「いたっ……」
少し頬を染め、如月の肩を叩く澪とかいう女性を睨む。なんなの? 同級生ってこと? どういう関係? 心の中に不安が広がる。
「結婚は……してないよね。そちらのイケメンくんは友達?」
「いや友達では……」
「恋人です!!!」
ハッキリ言わない如月に苛立ち、如月の前へ一歩出て、澪を牽制する。恋人関係を知らしめるように、如月の手を握った。
「あぁ~~そうなんだぁ! 可愛いね!」
「え、あ、はい。可愛いです。とても」
「…………(イライラ)」
「あ、やだ! 私行かなきゃ! 年明けからまたよろしくね! ばいばーい!」
俺たちに手を振り、澪はカフェを出て行った。じとりと如月を見つめる。気まずそうに目線が逸らされた。店員に席を案内され、向かい合って座る。
あの女のことを訊こう。それでスッキリするかは分からないけど、モヤモヤし続けるよりはきっといい。メニューを見つめながら口を開いた。
「……澪さんとはどういう……」
「んーー。地主同士親が仲良くて、年の近い澪が親にひっついてうちに遊びに来たり、私も父について行って、澪の家に遊びに行ったりするような間柄だったというか……」
ぱらぱらと、如月がメニュー表を捲る。如月も俺と同じように、どこか不安げだ。俺がこんな顔していたら、如月だって不安にもなるか。両手で如月の手をぎゅっと包んだ。
「私より4つほど年下だったかと思います。連絡を取り合ったり、関係を持ったりとかそういうのはないですよ」
「うん。ごめん。べつに疑ってるわけじゃないけど、少しだけ不安になっちゃった」
薄く笑みを浮かべ、如月を見ると、頭がくしゃっと撫でられた。少し引っかかる言葉もあったけど、きっと大丈夫。
にかっと歯を見せて、如月へ笑いかける。
「なに食べる?!」
「ぇえ~~どれにしようかなぁ?」
ふわふわのパンケーキや色とりどりのパフェの写真を眺めながら、静かに聴こえる川のせせらぎの音に耳を澄ませた。
胸の底にある不安を落ち着かせるかのようにーー。
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